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SHOES MASTER Vol.25
188-189P
UBIQ “Made in Japan” Collection
Photo: Kazumasa Takeuchi (STUH)
Text: Hidenori Matsuoka (HIDDEN CHAMPION)
 
01
 

東京発のUBIQによる完全な
“メイド・イン・ジャパン”コレクション
 
“都会的なデザインと快適な履き心地”をコンセプトに、2002年より展開している東京発のシューズブランド“UBIQ”(ユービック)が、2016年春夏より“メイド・イン・ジャパン”コレクションを展開している。東京・浅草にある、革靴を手掛ける工場へ依頼したというこの“メイド・イン・ジャパン”コレクションは、スニーカーのデザインを持ちながら、高級なドレスシューズを思わせる雰囲気を醸し出すほど、一見しただけで“良いモノ”であることが伝わってくる。素材、縫製、仕上げまで、妥協なく完成した“メイド・イン・ジャパン”コレクションについて、UBIQデザイナーである小坂氏と共に工場を訪れ、話を伺った。
 

−−まず、今回改めて“メイド・イン・ジャパン”を始めた経緯を教えてください。
小坂智之(以下 小坂)UBIQでは、2012年頃から海外の展示会に出展する機会があり、海外のバイヤーと話をするなかで“メイド・イン・ジャパン”のフレーズをよく耳にするようになっていました。また、日本へ来る海外の旅行者も増えていて、“メイド・イン・ジャパン”というものを求めているという声も大きくなっていたので、UBIQでも一昨年頃から工場を探しサンプルを作り始めて、ようやく今回の発表に至りました。
 
−−使用している素材も日本のものだと聞きましたが、どのように選んだのでしょうか?
小坂 今回のコレクションでは主に“ヌメ革”を使用しています。上品で重厚な雰囲気と経年変化を楽しみながら長く履けるスニーカーにしたいと考えました。コート、ランニングという2つのカテゴリーのデザインを落とし込んでいるのですが、コートシューズではミッドソールにヌメ革を巻き、スニーカーのソールに見せるようにヒール部分以外を白くペイントしています。アウトソールには耐久性、摩擦に強いビブラムソールを使用しました。ミッドソールにはEVAを使用しているので、見た目の重量感とは違いとても軽量に仕上がっています。ランニングシューズも同様にミッドソールにEVA、アウトソールにビブラムソールを使用しています。
 
−−日本の工場の縫製技術などはいかがでしたか?
小坂 多くの工場では、効率を良くするために人の手を省いていますが、日本の工場の熟練の職人さんによる丁寧な仕事によって上がってきたスニーカーを見たときは、技術だけでなく、仕事に対しての誇りと愛情を感じました。
 
−−日本製だからこそ出来ると感じたところはどういうことでしょうか?
小坂 靴の完成イメージを共有できるということが一番大きかったですね。丁寧な仕事や経験による細かいニュアンスを汲みとってくれるので、無駄な作業というものが無かったです。
 
−−この“メイド・イン・ジャパン”コレクションのデザイン面に関しての特徴を教えてください。
小坂 ややロングノーズの木型を使用していてドレスシューズのような上品な雰囲気を持つように仕上げています。今回お願いしている工場は、いわゆる“革靴”を生産しているところなので、職人さんが慣れている方法でスニーカーを作るということを尊重しました。デザインに関してはあくまで“スニーカー”という位置づけです。“メイド・イン・ジャパン”だからというデザインではなく、日本の職人さんと靴作りをしているというところで“メイド・イン・ジャパン”を反映しています。
 
−−今後のUBIQでの展望や、予定を教えてください。
小坂 引き続き“メイド・イン・ジャパン”コレクションを展開していくのと、もちろん従来のラインも継続していきます。バルカナイズのラインも好調で、工場との連携もスムーズになってきました。価格帯は違ってもブランドのアイデンティティは変わらないので、UBIQのようなインディペンデントなブランドだからこそ出来ることを反映したモノ作りを引き続きできればと思っています。
 

02

1. 丁寧に保管されているレザーの裁断に用いる抜き型は、一つのパーツでもサイズごとに作られている。この管理の良さにもモノを大切にする拘りが見える。

2. 思い描いたデザインに近づけるため、サンプルに直接修正点が記されている。こうしてイメージを共有出来るのも国産の良さと言えるだろう。

3. 一つの工程のためだけに様々な機械が存在している。写真はアッパーとソールを圧着する、シューズにとって要ともいえる部分。

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