2013 | 04.01 | Mon | 01:40

東京マラソン2013 〜サブ4への道〜 vol.1 序章「マラソン初心者、月間250キロの猛特訓」の巻

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去年の夏頃、ふと思い立ってランニングを始めた。動機は、運動不足解消のため。平たく言えば、ダイエット。まあ、よくある話だ。

走る時間帯は、主に夜。仕事を終えて帰宅したらランニングウェアに着替え、近所の公園を気の向くままに30分ほどジョグ。ほどよく汗をかいて家に戻り、シャワーを浴びて、缶ビールをプシュッ。うまい。蒸し暑い夏の夜、運動後に飲むビールほどうまいものはない。

健康のために走るというよりも、うまいビールを飲むために走る。しばらくはそんな享楽的なスタイルでランニングを続けていたのだが……

9月末に届いた一通のメールをきっかけにして、状況は大きく変わることになる。

「このたびは東京マラソン2013にお申し込みいただき、誠にありがとうございました。定員を超えるお申込みがあり、厳正なる抽選を行いましたところ、当選となりました」

勢いで申し込んだ東京マラソン、なんと当選してしまったのだ。

発表によると、申込人数は30万3450人。倍率は10.3倍。いずれも過去最高らしい。そんな狭き門に当選してしまうとは、我ながらなんたるヒキの強さ。マラソンの大会自体いままで出たことがないし、42.195キロなんて完走できるかどうかも怪しいけれど、これは何かの啓示に違いない。どうせ出るなら、やれるだけやってみるか。そんな思いを胸に、翌年2月24日の本番に向けて、本格的なトレーニングを始めることにした。

まずはランニング関連の書籍を片っ端から読み漁り、フルマラソンを走るためのトレーニングメソッドを徹底的に研究。それに従って10月から2月までの5ヶ月間、ほぼ毎日走り続けた。当初は3キロも走れば息が上がっていたが、トレーニングを積み重ねていくうちにどんどんラクに走れるようになり、5キロ、7キロ、10キロとすこしずつ距離が伸びていった。体重はみるみるうちに減っていき、いつの間にか10キロ減。

できなかったことが、できるようになる。やればやっただけ、結果が出る。ふと気づくと、そんなランニングのシンプルな面白さにすっかり魅了されていた。相手を必要とせず、思い立ったときにひとりで気軽にできることも、自分の性格にあっていたのかもしれない。家の近くにランニングに適した広い公園があるのも幸いした。


参考にしたランニング関連書籍の一部。まずは理屈から入り、メソッドを徹底的に頭に叩き込むのが僕のやり方。

それなりに走れるようになってからは、ただ漫然と走るだけでは飽き足らず、ジョグやLSD(Long Slow Distance)といったスロー系から、インターバルやビルドアップといったスピード系まで、緩急をつけながらトレーニングを積み重ねた。脚力を強化するために坂道やオフロードも積極的に走ったし、スタミナをつけるために20キロ、30キロのロング走もやった。月間走行距離は200~250キロほど。この内容はランニングを始めて半年ほどの初心者としてはかなりハードな部類に入ると思う。僕は基本的には無精者だけど、やると決めたらとことんやる人間なのだ。

12月には前哨戦として、わざわざ台湾まで足を運び(他に選択肢がなかった)、台北ハーフマラソンに出場。余力を残しながら1時間53分で完走し、それなりの手応えを得ることができた。


台北ハーフマラソンのレース中のひとコマ。異国でのマラソン大会は非日常感が半端じゃない。

本番が近づくにつれて、具体的な目標タイムを考えるようになる。いろいろと調べていくうちに、サブ4(=フルマラソンを4時間以内に完走すること)がいっぱしのランナーの証であり、多くの市民ランナーの目標となっていることが改めてわかった。僕は以前、仕事でホノルルマラソンを取材したことがあって(2010年と2011年の二度、アンダーカバー高橋盾さん率いるランニングチームTeam GIRAを現地で密着取材)、42.195キロを4時間以内に走り切るとはどういうことか、そしてそれがどれほど大変なことか、ある程度は理解していた。でも、ここまで走り込みを重ねてきたわけだし、せっかくだから、挑戦してみるか。初のフルマラソンでサブ4、話のネタとしてもおいしそうだ(僕はネタとしておいしいかどうかで行動を決めることが少なくない)。ということで、年が明けたくらいのタイミングで目標をサブ4に設定することを決意。周囲には「こんど東京マラソンに出るんだけど、4時間以内に完走するから」と公言して自分を追い込み、大会の直前までトレーニングを積み重ねた。故障などが起こらないよう、コンディショニングには十分に気を配りつつ。

2月23日、土曜日。大会前日の夜。緊張してなかなか寝付けない。さすがにこの日ばかりは禁酒しようと自分に誓っていたのだが、やむなく、缶ビールをプシュッ。ぷはっ。うまい。いや、いかんいかん。二日酔いでフルマラソンは走れない。鉄の意志で1本にとどめ、就寝。

そしていよいよ東京マラソン大会当日。初めてのフルマラソン、どうなることやら……。

vol.2 レース編 前編「序盤、ランナーの波に飲まれる」へ続く〜

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・2)東京マラソン2013 〜サブ4への道〜 vol.2 レース編 前編「序盤、ランナーの波に飲まれる」の巻
・3)東京マラソン2013 〜サブ4への道〜 vol.3 レース編 後編「そして栄光のフィニッシュラインへ」の巻
・4)東京マラソン2013 〜サブ4への道〜 vol.4 最終章「初めての42.195キロを振り返る」の巻

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