adidas ENERGY Part3 “Tokyo ENERGY” 2022 NAIJEL GRAPH Interview
via
SHOES MASTER
Web SPECIAL
Photo: Masataka Nakada(STUH)
ウェブスペシャルで特集した
「トーキョー エナジー」を手掛けた
アーティストのナイジェルグラフ氏の
インタビュー記事を紹介。
adidas ENERGY Part3
Tokyo ENERGY 2022
NAIJEL GRAPH
Interview
アディダスのキーシティである東京に向けて発信する「トーキョー エナジー」から、10月リリース予定の2モデルが編集部に届いた。「ブランドとしての熱を、プロダクトとそれにまつわるストーリーを通して高めていくこと」がミッションのアディダス エナジーをもっと深く知るために発信する側の2人のアーティストを取材した。まず1人目は、イラストやアートを手掛けるアーティストのナイジェルグラフ氏。(インタビュー取材:2022年8月下旬)
About NAIJEL GRAPH
–––最近の活動について教えてください
絵を描くことを基本に、アーティストとして活動しています。コラボレーション企画なども多くて、最近ですと、9月に特別上映された『ワイルド・スタイル』40周年記念では、、ポスターやTシャツなどのコラボグッズを作りました。あと映画『E.T.』では公開40周年を記念した特別なプロジェクトとしてで展覧会を実施しました。そしてこの秋冬でアディダスの「トーキョー エナジー」のお話をいただきました。
–––ナイジェルグラフさんが考える「よいアート」「よいデザイン」とは?
自分は偏った考えを持つアーティストかもしれないので、あくまで一意見になりますが、アートって好みや趣味が前提にあると思うので自由で良いのかなと。自分が好きな物を好きなように描くことが「よいアート」っていう。もちろん、違う意見もあると思うので、それが全てと一概には言えませんが、基本、よいアートとは「好きなことを表現するもの」っていう感じですね。そういった意味で道具やキャンバスも、こだわりがないほうが良いと思っていまして、高価だったり特殊だったりする物ではなく、身近な物でどれだけやれるかっていうモチベーションを常に持っています。「よいデザイン」については答えが難しいのですが、作り手の気持ちが入っているかどうかですかね。魂が。例えばペン一つにしてもサイズだったりインクだったり、ユーザビリティ(使いやすさ)に作り手がどれだけこだわっているかじゃないでしょうか。
–––色々な作品を手掛ける際に大切にしていることは?
やっぱり気持ちですかね。魂が入ってると言うか、想いだと思います。後はこだわらないということですかね。むしろ常に挑戦したい気持ちのほうが強いので、様々な仕事のオファーもいただきますが、僕らしい「よいアート」が表現でき、クライアントさんとお客さんが満足できるのであれば、そこは柔軟にお引き受けすることがほとんどです。でも、僕らしくない時にはお断りするようにしています。仕事=お金、だけじゃないことを大切にしているつもりです。
About adidas
–––初めて履いたアディダスのことを教えてください
高校2年生の時に買ったキャンパスです。高校時代は本気で野球に打ち込む高校球児で、大学も野球でって考えた時期もあったのですが、絵も好きだったので桑沢デザイン研究所に進みました。その後、アートやファッションに傾倒しながらも、高2ぐらいで知ったヒップホップも変わらずずっと好きでした。当時はビースティ・ボーイズ全盛で、代表的なアルバム『チェック・ユア・ヘッド』のジャケ写は言うまでもなく、その影響から一番最初に買ったのがアディダスのキャンパスでした。周りにDJの友人もいたので、エービーシー・マートで買った黒に白いスリーストライプのキャンパスを履いてクラブに遊びに行ったり。スケーターはシェルのお陰でダメージを受けにくいからか、スーパースターも多かったのですが、当時、音楽好きを含め本当にお洒落な人はキャンパスが多かった気がします。もちろん、スタンスミスもよく見かけていたし、僕の周りにはアディダスを履いてる人が多かったですね。おそらくファッション好きはナイキで、ストリートカルチャー全般が好きでこだわりの強い人はアディダス。特にビースティ人気の背景もあってキャンパスを選ぶ傾向があったのではないでしょうか。だから僕の場合、どちらかと言うとビースティ・ボーイズを通じてアディダスを好きになっていったと言うことになりますね。
–––アディダスの魅力とは何でしょうか?
やはり音楽とのクロスオーバーでしょうか。当時はインターネットが無かったので、ビースティ・ボーイズのアルバムジャケット、ポスターや雑誌を見て熱狂し、そこで彼らが履いていたアディダスにも影響され、お店に買いに走る。やっぱりそれが一番大きいですね。ちょっと話が逸れますが、以前、ビースティ・ボーイズと仕事をする機会があって、日本には入ってきませんでしたがTシャツなどグッズを作らせてもらったんですけど、メンバーの一人、マイクDに連絡して今回のコラボレーションモデルを薦めたらすごく喜んでくれて。今回はスタンスミスだけどビースティ・ボーイズが履いていたキャンパスへのオマージュの意味合いもあるんだって伝えたんです。返事はもちろん「是非履かせてくれ」と。亡くなったMCAにもお子さんが3人いて、履きたいってメールが届いたときもすごく嬉しかったですね。憧れのビースティが自分の手がけたスニーカーを履いてくれる。しかも息子さんまで。その繋がりがすごく温かいし魂が受け継がれてる感じがアディダスの魅力ですよね。
About Tokyo ENERGY
–––コラボレーションした「トーキョー エナジー」のテーマを教えてください
履く人が一瞬でもハッピーな気分になったり、ポジティブでいられたりするような、そういったモチベーションを生む花を咲かせたいというイメージで“MAKE BLOOM IN HEART”(心に花を咲かせよう)がテーマです。このスニーカーを履いてハッピーな気分で出掛けてほしいなって思います。あと、もともとテーマの候補で“PEACE”もあって、現在の世界情勢に対する平和への願いも込めました。モチーフとなった花はオリーブで平和の象徴。不安定な情勢ですが、みんなの心に花を届けたいと思っています。非売品ですが今回のスタンスミスの靴をベースにした花瓶も作ってもらいました。
オリーブじゃなくても良いから何かお花を挿せるようにと。無責任に強い主張はできませんが、何人かでも良いのでその思いを感じてくれたら嬉しいです。また、自分がビースティ・ボーイズのどこに魅力を感じてるのかを考えたときに、世界が抱える問題に対して音楽の力で訴えかけた彼らの姿もあったんです。もちろん彼らだけではなく、ジョン・レノンが平和を訴える活動や、マイケル・ジャクソンなど、アフリカの飢餓と貧困を解消する目的のため錚々たるミュージシャンが集結した「ウィー・アー・ザ・ワールド」をはじめ、エイズ撲滅、フリー・チベットなどを目的に様々な音楽イベントがありますが、その音楽が起こすムーヴメントにオマージュを捧げてもいるんです。
–––「トーキョー エナジー」モデルで一番こだわった所はどこですか?
コラボレーションで陥りがちなのが、アート作品みたいなやり過ぎ感。そうならないようにこだわりました。いろいろコンセプトを盛り込みたくなりますが、本来のスニーカーの域を超えたデザインになってしまっては履けないですよね。キャンパスやスタンスミスがこれまでキープしてきた元々のイメージをあまり壊したくない気持ちと、実際に履いてもらえるスニーカーにしたかったので、コーディネートしやすさとか、履きやすそうとか、実用的な部分も大切にしました。カラーリングは僕の好きな色、自分でも履きたい3カラーです。その上で、ワンポイントのオリーブを深掘りした時に“PEACE”のメッセージに辿り着いてくれたら嬉しいなと思っています。
Tokyo ENERGY
STAN SMITH – NAIJEL GRAPH
WHITE, BEIGE, BLACK ¥15,400(10月4日発売)
BILLY’S ENT
https://www.billys-tokyo.net/shop/pages/e471.aspx