Photo : Masataka Nakada(STUH)
Edit : Shin Kawase

ASICS SportStyle
GEL-LYTE III 30th ANNIVERSARY

今年30周年を迎えたアシックスの名作ランニングシューズ、ゲルライトスリー。シュータン部と足首部を一体化させ、縦に大きく分割する独自のスプリットタンは、1990年当時のランニングシーンに多大な影響を与えた。30年前に誕生したランニングシューズが、なぜ今なおスニーカーファンに支持されているのか?その愛される理由について世界を代表するスニーカーショップ、キス、ミタスニーカーズ、アトモスを取材した。

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About GEL-LYTE III
by Ronnie Fieg (KITH)

Ronnie Fieg (KITH)
ロニー・ファイグ / キス ファウンダー、クリエイティブ・ディレクター

–––ゲルライトスリーが今なお愛される理由は何だと思いますか?
ゲルライトスリーは、アシックスの中で最もアイコニックなシルエットであると私は考えています。このモデルの最大の特徴は、レトロランニングとクラシックデザインのギャップが完璧にマッチしているところです。これまでに多くの人々を夢中にさせ、日々のスタイルへと根付いてきた深い歴史があります。

–––アシックスの展開を始めたのはいつからですか?
私が初めてアシックスと取引を始めたのは、2006年にDavid Zでバイヤーをしていた頃です。当時、私たちの店ではアスレチックシューズは取り扱っておらず、革靴を中心に展開を行っておりました。子供の頃からアスレチックシューズが好きだった私は、アシックスを含む様々なアスレチックブランドのアカウントを開設し始めました。そして、後の2007年に初めてフットウェアのコラボレーションへと発展しました。それが3足のゲルライトスリーです。

–––歴代アシックスモデルのベスト3を挙げるとしたら?
私のお気に入りのシルエットはゲルライトスリーですが、これは私にとって本当に特別な存在です。私が最初に手がけたモデルであり、今でもアシックスとのパートナーシップの中心的な存在であり続けています。2007年以降は、1年を除いて毎年ゲルライトスリーのコラボレーションに取り組んできました。その他のモデルについては、2つに絞ることができませんでした。これまでアシックスとは、ゲルライトファイブ、ゲルサガ、GTクールエクスプレス、ゲルマイなど、多くのシルエットを手がけてきましたが、どれも異なる理由で私にとって重要なものばかりです。

ASICS SportStyle
GEL-LYTE III 30th ANNIVERSARY by KITH

Ronnie Fieg for
Asics GEL-LYTE Ⅲ OG – The Palette

Price: ¥ 20,000 + tax
Release date: Friday, November 27
Store: KITH Only

 

About ASICS SportStyle
by Ronnie Fieg (KITH)

–––他メーカーにはないアシックスの強み、武器とは何だと思いますか?
アシックスのランニングスタイルのアーカイブは非常に強力です。彼らのデザインは1990年代には非常に先鋭的で、時代を先取りしていました。だからこそ今、彼らのシルエットにようやくマーケットが追いついてきたことで、多くの人々から注目されるようになったのだと考えています。

–––未来のアシックスに期待することは何ですか?
実は、私たちとアシックスの間で非常にインパクトのある企画が控えています。まだ現時点では何も語ることはできませんが、来年はKithの10周年なので期待していてください。

 

About GEL-LYTE III
by Shigeyuki Kunii (mita sneakers)

Shigeyuki Kunii (mita sneakers)
国井栄之 / ミタスニーカーズクリエイティブディレクター

–––ゲルライトスリーが今なお愛される理由は何だと思いますか?
やっぱりエポックメイキングっていうところ。スプリットタンは他スポーツブランドにもすごく影響を与えた機能ですし。普通はオリジナルっていうか、初代モデルが崇められるんですけど三代目がここまで崇められているって、他のブランドでも珍しい事例だと思うんですよね。画期的なものって今でもそうですけど、賛否両論が出るじゃないですか。でも時代がそこにフィットした。アメリカで発売されていたゲルライトスリーを見た時は衝撃的でした。本当にメチャクチャ格好良かったんです。基本的に僕らは装飾美より機能美に魅かれるので。

–––今後のゲルライトスリーに期待することは?
30周年といっても北米を中心に販売していて日本での展開はなかった。だから、物が生まれてからは30年ですけど、日本でスニーカーカルチャーの中でゲルライトスリーが登場して存在感が増してからはまだ10年位。まだまだ伸びしろはあると思いますし、継続的にペースを上げすぎもせず、一気に止めることもなく、淡々と定番として定着させる方向に進んでいくことを期待します。その中でプラスアルファ、また新しいアイデアを搭載したものや画期的なカラーリングとかも出てくると思いますし。7月にスニーカーウルフがアレンジしたゲルライトXXXみたいに、またさらに進化していくような感じの提案もできたらいいですね。

About ASICS SportStyle
by Shigeyuki Kunii (mita sneakers)

–––アシックスの展開を始めたのはいつからですか?
かなり古いですね。僕がミタスニーカーズに入る1996年より前から多分あったと思います。

–––他ブランドにはないアシックスの強み、武器とは何だと思いますか?
日本のブランドっていうところで、ヨーロッパやアメリカにはない物作りに対する姿勢ですね。もともとのお膝元で各ブランドの色が出るので。

–––逆にアシックスに惜しいと思うところはありますか?
2020年がこういう状況になったこと。僕が生きている間にオリンピックが自国開催される、しかもアシックスが冠で。確率として宝くじが当たってしまうよりすごいんじゃないかって思っていたので。

–––歴代アシックスモデルのベスト3を挙げるとしたら?
ゲルライトスリー、ゲルマイ。あとゲルイエティですね。

–––個人的なマイフェイバリットモデルは?
やっぱり一番履いているゲルライトスリーですね…。アシックスが北米市場を取りにいくためにニューヨークにデザインオフィスを構えて、そこにゲルライトスリーの生みの親であるデザイナーの三ツ井さんが行って作ったストーリーも含めて。ゲルライトスリーを海外だけで販売している時から、日本でも展開させてほしいって、アシックスジャパンにずっと言ってたんです。結局、2008年のアシックス キリモミ プロジェクトで念願叶って、2009年にミタスニーカーズと初コラボレーションできた。その2カラーが今でもマイフェイバリットモデルです。インスタグラムで #mitasneakers のハッシュタグを検索すると、いまだに投稿してくれている人も多いんです。ゲルイエティ、ゲルマイは10年以上前から普通に履いてたし、ゲルイエティに関しては日本でバリエーション展開した時には企画にも携わらせてもらいました。

–––ずばり、アシックスの魅力を一言で
日本が世界に誇るブランドであること。

–––未来のアシックスに期待することは何ですか?
残念ながら、オリンピックは延期になりましたけど、ここを起点に新しいモノやコトをスタートさせようとしていたアシックスの人たちのマインドは変わってないと思うので、ここからどういう風に加速していくかがすごく楽しみです。

About GEL-LYTE III
Hidefumi Hommyo (atmos)

Hidefumi Hommyo (atmos)
本明秀文 / アトモス代表

––ゲルライトスリーが今なお愛される理由は何だと思いますか?
理屈じゃなくて、パッと見たバランスがいいところだと思いますね。結局ずっと残る靴って、見た目のバランスがすごくいいんです。逆に言うとバランスが良くないと売れ続けていくことはできない。例えば、ナイキのエア マックスシリーズにしても残っているのって、エア マックス ワン、90、95、97位ですよね。数えるほどしかない。でもそんなバランスのいい靴でも、時代に合った素材、色に変えて作っていかないとダメだと思っています。なので、6月に発売してすぐにソールドアウトしたショーン・ワザースプーンと一緒にやったゲルライトスリー30周年記念モデルは、素材をコーデュロイにして、靴の側面をすべて別のカラーで作りました。ちょっとやり過ぎな位に。そしたらちゃんとその結果反応するんです。

––––今後のゲルライトスリーに期待することは?
もう少し若い人にアプローチして、もっと提案して行ってほしいですね。支持する層は、やっぱり年々と年齢層が高くなってきているので。それはそれでいいですけどね(笑)。

About ASICS SportStyle
Hidefumi Hommyo (atmos)

––––アシックスの展開を始めたのはいつからですか?
10年位前からです。オニツカタイガー、アシックスタイガーなどが出てくるより前からになりますね。

––––他メーカーにはないアシックスの強み、武器とは何だと思いますか?
強みが弱みだと思うんですけど、素材とか作りに関して物凄く厳しい社内規定がある。だから履きやすいし、履き心地も抜群なんですけど、無理したデザインができない。なかなか面白い素材が使えないこととか。これは何度もコラボレーションしているので高い壁を感じています。面白いことをやろうとすると上手くいかない。そのジレンマが惜しいですね。あと、技術を持っている若いスタッフにもっともっと活躍してほしいです。

––––歴代アシックスモデルのベスト3を挙げるとしたら?
ゲルライトスリー、ゲルサガ、PTGですね。ゲルカヤノもすごくいいんですけど、アトモスの立場から言えば、ゲルカヤノは男性にはすごく人気がある反面、、女の子には売れないんです。でもゲルサガは女の子も買って行くんです。

––––個人的なマイフェイバリットモデルは?
ゲルライトスリーが一番好きです。だって画期的だったじゃないですか、シュータンが割れてるって。だから考えた人は正直、天才だと思います。あと、GT-2000のニューヨークシリーズも好きですね。

––––ずばり、アシックスの魅力を一言で
見た目のテクノロジーではなく、履き心地のテクノロジーに優れていること。僕、月間に350キロ位歩いているので、1ヶ月位履くとシューズがヘタってくるんです。でもアシックスはヘタらない。色々なブランドを試した中で、やっぱり日本人の体形、日本人の足にはアシックスが一番合う気がします。

––––未来のアシックスに期待することは何ですか?
企業としてもっともっとグローバル化してほしいですね。スニーカーに関しては、アメリカにもっと力を入れて攻めてほしいです。

 

About GEL-LYTE III
by Masahiro Minai (Runners Pulse)

Masahiro Minai (Runners Pulse)
Commentary
南井正弘 / ランナーズパルス編集長

1990年、1足のランニングシューズが大きなインパクトを与えた。それがアシックスのゲルライトスリーだ。その名の通り軽量性を重視したランニングシューズであり、初代が発表された1987年以降、一定の評価を得ていたが、この第3弾で大きな注目を集めることとなった理由が、このモデルから採用されたスプリットタンの存在。この構造はシュータンの両サイドをアッパーと一体化させ、中央で2分割。その結果足の甲への圧迫感を軽減。さらには優れたフィット性をキープしつつ、イージーな着脱を可能にした。こうした斬新なスペックを主張したゲルライトスリーは、1990年当時もパフォーマンスシューズとして成功を収めたが、2015年にスポーツスタイルのブランドとしてアシックスタイガーが発表された際に、メインアイテムのひとつとして選定されたことも記憶に新しい。以降、ゲルライトスリーは、アシックス タイガーを代表するプロダクトとして確固たるポジションを築くことに成功。現在に至っているが、30周年を迎えた現在も、そのデザインは古さを感じさせない。今後もその独自のデザインと、時代にマッチしたカラー&マテリアルミックスを融合することで、スニーカーフリークを楽しませてくれるだろう。

 

ASICS SportStyle
2020 FALL / WINTER SELLECTION
GEL-LYTE III OG

Text : Fumihito Kouzu

GEL-LYTE III OG
WHITE / ORANGE
1990年に発売された軽量ランニングシューズ、ゲルライトスリーをベースにした復刻モデル。往年のランニングシューズを彷彿とさせるカラーリングは、現代のライフスタイルシーンにマッチする。シュータン部と足首部を一体化させ、縦に二分割する独自のスプリットタンが大きな特徴。
12,000円+税

 

GEL-LYTE III OG
BLACK DENIM&MIDNIGHT DENIM
過去に数々の人気ファッションブランドやスニーカーブティックとのコラボレーションを果たしてきたゲルライトスリー。ブランドを代表する人気モデルのアッパーに、世界的なデニムの産地として知られる岡山産のデニムを採用した特別仕様のモデルが登場。ブラックとミッドナイトの2色が展開される。
各13,000円+税

 

GEL-LYTE III OG G-TX
優れた防水透湿性で知られるゴアテックス ファブリクスをアッパーに採用した、GEL-LYTE III OG G-TX。雨の日でも足元は好きなスニーカーを履いていたいと思う人は、一足持っておきたいシューズだろう。ランニングシューズに用いられる衝撃緩衝材のGELによる優れたクッション性も魅力。
16,000円+税

 

ASICS SportStyle
2020 FALL / WINTER SELLECTION

GEL-QUANTUM 360 6 KNIT
BLACK / GRAPHITE GREY
ソールの周囲にぐるりとGELを搭載。シューズ全体のクッション性を高めながら、インパクトあるデザインにも貢献している。ソールの中足部を補強したトラスティック構造により、運動時にねじれが生じやすい中足部の剛性を高めている。タウンユースにも、アクティブなシーンにも対応する。ニット製のアッパーは足にナチュラルかつ滑らかにフィット。
18,000円+税

 

GEL-1090
BLACK / BLACK 
2003年に登場したレジェンドモデルのスペシャルバージョン。ブラックベースのアッパーはスウェード素材で切り替え、透け感のあるメッシュを採用したスケルトン仕様。アシックスストライプ部分にはリフレクティブ素材を使っている。また、インナーソールには書芸家の赤間紫動氏によるグラフィックを採用。和×スポーツ×モードを表現している。
14,000円+税

 

GEL-NANDI HI
G-TX

GRAPHITE GREY / BLACK
2000年に登場したトレイルシューズをベースに、ライフスタイルモデルとして復刻したハイカットモデル。レイヤーが多い構造のアッパーは耐久性が高いだけでなく、クラシックなアウトドアスタイルを感じさせてくれる。アウトドアテイストがトレンドのひとつになっている現在のスニーカーシーンにもマッチした一足だ。ゴアテックス ファブリクスを採用しており、雨の日にも対応する。
16,000円+税

 

GEL-QUANTUM 180 5 G-TX
GRAPHITE GREY / BLACK
GELをソールのかかと部分から外側の中足部にかけて搭載し、クッション性を高めたモデル。ビジブルのGELは、デザイン上の大きなポイントにもなっている。アッパーにゴアテックス ファブリクスを採用した本モデルは、雨の日にも対応でき、活躍の範囲が広い。機能性が高いのでタウンユースはもちろん、アクティブなシーンでの使用にも適している。
17,000円+税

INFORMATION
アシックスジャパン株式会社 お客様相談室 
0120-068-806 
asics.com

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