Photo : Masataka Nakada (STUH)
Text : Hirohito Iso
Interviewer & Edit : Shin Kawase

KEEN 2021 WINTER
HOOD COLLECTION
by TOKYO DESIGN CENTER

日本主導の企画、デザインをして商品化していくことを目的にキーン・ジャパン内に設立された“TDC”(東京デザインセンター)。昨年、TDC名義のフッドコレクションがローンチされると大きな反響を呼び、好セールスを記録。買えなかったキーンファンも多数いたという。2021年冬、そのフッドコレクションが本格的にスタート。今後の展開を詳しく知るためにTDCのキーマンである鈴木英之氏を再び取材した。

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About TOKYO DESIGN CENTER
Hideyuki Suzuki(KEEN JAPAN)
Interview

キーン・ジャパン合同会社
東京デザインセンター 
デザイナー 鈴木英之

鈴木英之氏プロフィール:
東京・浅草橋出身。少年時代は機械が好きで、高校3年時に友人が履いていたナイキ コルテッツに衝撃を受け、スニーカーに目覚め、御徒町のスポーツ店に足繫く通う日々を送る。大学は、機械の設計を学び、卒業後には業務用制御機器のプログラマー及び、筐体設計として活躍。その後、電子部品商社を経て、スポーツ店の紹介で1989年にニューバランスジャパンに入社。1400、576コードバンなどを発案し、世に送り出す。その後、ゴールドウインに転職し、日本で展開するノースフェイスのシューズのほぼすべてを手掛け、ヌプシブーツなどのロングセラーモデルを生み出す。2018年、キーンのTDC設立を機にキーン・ジャパンに入社し、現在、TDCのデザイナーを務めている

–––昨年を振り返って2020年秋にスタートしたフッドコレクションの反響はどうでしたか?
コロナ禍で緊急事態宣言が発令中だったんですけど、発売直後の初動(売れ行き)からすごく良くて、全体的な市場の反響も良かったですね。特に直営店はすごくて、その中でもフッドゼラなんかはすぐにサイズ欠けしちゃいました。

–––日本企画ということで待望されていたようですね
そうですね。しかし、昨年は販路を絞って流通を限定して販売したので買えなかった方には申し訳なかったですね。でも2021年秋冬はほぼ全ての御取引先様がお取り扱いいただけるようになったので、幅広い地域でお店に並ぶ予定になっています。

–––ヨーロッパでの評判も良いとか
そうなんですよ。例えば、ロンドンの有名なスニーカーセレクトショップのフットパトロールもフッドコレクションに非常に興味を示しているんです。やはりダウンジャケットの素材を使ってカジュアルダウンした履物、いわゆるスニーカー感覚で履けるブーツっていうのは評価が高いみたいですね。ヨーロッパでも今、アウトドアファッションの需要がすごく高まってきているんです。

–––それではあらためてフッドコレクションと新色を紹介してもらえますか?
フッドコレクションは、アーバンアウトドア的なカラーリングで構成しています。フッドロメオも新色はベージュ、キーンではサファリというカラー名なんですけど、メンズもレディースもキーンの鉄板カラーでもあります。スニーカーのトレンドカラーというか定番カラーですが、アウトドアブランドではあまり使ってないので、キーンの唯一無二な個性を出す意味でこのカラーリングにしています。特徴を簡単に言うと、防水で靴の中は保温性が高く、新たに設計した滑りにくいソールと、履きやすくて脱ぎやすいのにフィット感がある、というのがフッドロメオになります。

HOODROMEO WP

–––ソールのデザインも鈴木さんが全部描いたんですよね
はい。描いたソールパターンはイラストレーターで全部作っています。麻の葉模様の絵を描いてるんですが、滑りにくく、グリップ力が強化されています。グリップ力を上げると、よりフィット感が大切になるので、履き口にバンジーコードを付けて、履き口のフィット感を調整できるのも特徴のひとつですね。これだけの機能性があるブーツとしてはコストパフォーマンスが高い一足だと思います。

–––フッドゼラとその新色については
アーバンアウトドアのミリタリー版という感じに仕上げています。MA-1ジャケットみたいな分かりやすいイメージで。基本的な機能はフッドロメオと一緒なのですが、ゼラポート ツーというサンダルと同じく履き口から甲部分、踵まで全包囲網してあることが特徴で、全体的なホールド感がすごく良いんです。ストラップに霜降り柄を採用することでサンダルのブーツ版というイメージも残しています。フッドロメオよりも丈が短いので、よりスポーティーにアクティビティを高めたい方にお勧めですね。

HOODZERRA WP

–––フッドチャッカについても教えてください
基本的な機能はフッドロメオ、フッドゼラと同じで、バンジーコードで脱ぎ履きしやすい利便性も兼ね備えたチャッカタイプのシューズです。このモデルでは、インラインカラーに加え、フッドコレクション初のコラボレーションをラジャブルック(rajabrooke)さんと展開します。

HOODCHUKKA WP

ラジャブルックさんは、東南アジアをインスピレーションに服を作っている日本のブランドで、キャンプなどでも便利な撥水風呂敷などでも有名です。コラボレーションするにあたってインドネシア、マレーシアのろうけつ染め布地の特産品であるバティックを特別に作ってもらいました。バティックは、木綿布に手描きや型を使って文様を表わす更紗(さらさ)の一種で、それを昔のアウトドアカラーというかグレー/パープルにして、あえて目立たせずに柄を入れるってことにこだわった一足になります。

–––続いて、新作のグリーザー トールについて教えてください
これは雪の斜面をビンディングなしで滑るキーン初となる「雪板」の専用ブーツになります。雪板のパイオニアである、芽育”MAKE”雪板研究所の五明淳さんと、ゼロベースから一緒に作りました。各パートにおいて全部、五明さんの意見をもらって、その機能はすべて反映させてあります。ソールの厚さも採用する素材も板の食いつきもベストな状態まで整えて、アッパーに雪が付いても残らないようにパーツのパターンの切り方を工夫してあって、雪抜けがいいようになっている。全部細かくやったので完成するまで2年位掛かりましたね(苦笑)。でも、五明さんが考えるシンプルだけど、脱ぎやすくて、履きやすい、しかも雪板でも使えるブーツの理想形が完成しました。

GLIESER TALL WP

雪板専用ブーツといっても、雪寒地でスノーブーツとしても全然普通に使えますし、街ではスケートボードに乗っての移動も可能なので、雪山に行く時にはこの1足で事足りるように作ってあるのも特徴のひとつです。ウィンターブーツというより、ウインタースニーカーですね。あと、「雪板」という新しいカテゴリーになるのでオリジナルのラベルも自分で絵を描いて作りました。

 

KEEN 2021 WINTER
HOOD COLLECTION
by TOKYO DESIGN CENTER

HOODROMEO WP
KEEN 2021 WINTER
HOOD COLLECTION

HOODROMEO WP
(2色展開)
¥17,600(12月上旬より順次発売予定)

名作サンダル、フッドコレクションをブーツにアレンジした冬仕様モデル。キーン・ドライの優れた防水透湿性と、リサイクルPETを使用したキーン・ウォームの保温性で、冬の寒さにも快適な履き心地を提供してくれる。キーンならではの機能性に富んだアイデアを盛り込みながら、自然のフィールドからデイリーユースまで履く場所を選ばないスタイリッシュなデザインが特徴。スリップオンタイプなので、ブーツによくある脱ぎ履きの煩わしさも皆無)。

 

HOODZERRA WP
KEEN 2021 WINTER
HOOD COLLECTION

HOODZERRA WP
(2色展開)
¥16,500(12月上旬より順次発売予定)

革新的な歴代名作サンダルのデザインとキーンならではの機能をハイブリッドした、フッドコレクションのストラップブーツ。脱ぎ履きやフィットの調整がしやすいうえに、甲やかかとを自分好みにしっかりホールドできるので、ブーツながら軽快。加えて、軽量で雪寒地対応のアウトソールも装備しているので、滑りやすい路面でもストレスなく歩行できる点もさすがのひと言だ。トーナルの落ち着いたカラーリングはスタイルを選ばず、幅広く活躍してくれそう。

 

HOODCHUKKA WP
(rajabrooke)
KEEN 2021 WINTER
HOOD COLLECTION

HOODCHUKKA WP(rajabrooke)
¥15,950(12月24日発売予定)

本カラーは、大阪を拠点に活躍するブランド“rajabrooke”(ラジャブルック)とのコラボレーションモデル。デザイナーが幼少期を過ごした東南アジアのオリジナルバティック柄を大胆にアッパーにプリントしながら、遊び心のあるパープルのワントーンにまとめることで、上品で洗練された印象に。アウトドアのタフなシーンでも使用できる機能性を持ちながらタウンユースできる、ブランドの世界観が詰まった唯一無二のスペシャルモデルに仕上がった。

 

GLIESER TALL WP
KEEN 2021 WINTER

GLIESER TALL WP
(3色展開)
¥17,600

ビンディングなしで雪の上を滑る「雪板」のパイオニアである、五明淳氏とのコラボレーション。突然雪が降ったり、突然パウダースノーのいい斜面に出会ったときでも、履き替えることなくこの1足でそのまま遊べるという、まさに氏ならではのコンセプトを具現化した冬の必需品。それでいて軽くて暖か、ソールも薄くやわらかいため、普段使いでも快適に履きこなすことができる。落ち着いた配色なので、手入れをすることで長く愛用できる点もポイントだ。

 

KEEN 2021 WINTER
Recommended Model
of SHOES MASTER

TDC名義のフッドコレクション以外にも編集部がお勧めしたいモデルがある。本格的な冬に向けて保温性、防水性、さらには防滑性も抜群の最高峰ウィンターブーツが、 スリップオンスタイルに進化して登場しているのだ。もちろん普段履きとしても重宝するキーンならではの一足となっている。

REVEL IV CHELSEA
KEEN 2021 WINTER

REVEL IV CHELSEA
(2色展開)
¥20,350

高い保温性と防水性・防滑性を持ち、雪上からアスファルトまで、冬場のあらゆる路面で快適な履き心地を提供するサイドゴアタイプのウインタートレッキングブーツ。アッパーには、しなやかで丈夫な防水フルグレインレザーで、フットベッドは地面からの冷気を遮断して、ブーツ内を暖かくドライにキープしてくれるレザーを使用し、歩きやすく、タウンユースしやすいシルエットながらタフな使用にも応える逸品。エイジングも楽しめる上質なブーツが完成した。

INFORMATION
キーン・ジャパン
03-6416-4808
www.keenfootwear.com

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