Photo : Osamu Matsuo (STUH)
Interviewer& Edit& Text : Shin Kawase
Photo : Masataka Nakada (STUH)
Text : Fumihito Kouzu

“PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO”
The long-awaited MADE IN JAPAN is back
Special Feature 2021 SPRING Vol.2

2021年1月。プーマ スウェードの“PUMA MIJ”(MADE IN JAPAN)が待望の復活を遂げた。発売前から話題となり、リリースされると瞬く間にほぼソールドアウト。長らく待ちわびたプーマファンでさえ、買えない人が続出したらしい。プーマ スウェードの最高峰モデルとの呼び声が高い“PUMA MIJ”だけに、その結果は当然だったのかもしれない。あれから3ヶ月、早くも第2弾のニューカラーがリリースされるとの吉報が届いた。

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PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO (2021)
Spectra Yellow-Amazon Green

The long-awaited MADE IN JAPAN is back
Special Feature 2021 SPRING
PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO (2021)

1968年にメキシコで開催された世界的なスポーツの祭典でクローズアップされたクラックをベースとして、1979年に誕生したプーマを代表する名作、プーマ スウェード。PUMA MIJコレクションは、厳選された素材を使い、日本国内の工場で生産されるプーマ スウェードの最高峰モデル。アッパーとソールを接着剤で接合するセメント製法を用いて生産されており、アッパーパターンは1979~1980年代中期の旧ユーゴスラビア時代のモデルをイメージして作られている。しかし、ただ当時のままに復刻するのではなく、日本流にアレンジされているのが最大の特徴。第2弾のニューカラーは、1990年代後半に日本限定で生産されていた3カラーを復活させ、90年代の製品を踏襲してアッパーと同色のステッチを採用。アッパー素材は、日本最大の皮革産業地域である兵庫県姫路市の姫路レザーで製作されたプレミアムスウェード。インソールには人間の足型のラウンドに合うカップインソールを使用することで、よりよい足馴染み、フィット感が感じられるPUMA MIJ コレクションならではの一足に仕上がっている。

PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO (2021) 3Color
¥20,350(4月28日発売予定)

PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO (2021)
Spectra Yellow-Amazon Green

PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO (2021)
Gray Violet-Puma Black

PUMA SUEDE VTG MIJ RETRO (2021)
High Risk Red-New Navy

販売店舗:
・プーマストア(原宿、大阪)
・プーマ公式オンラインストア
・atmos
・BACKWOODS
・BEAMS JAPAN
・BILLY’S ENT
・BOSTON CLUB
・DAYZ
・H BEAUTY&YOUTH
・KICKS LAB.
・KITH TOKYO
・Magforlia
・MFC STORE(NAKAMEGURO,HARAJUKU,OSAKA)
・mita sneakers
・nano・universe 渋谷神南店
・Sneakersnstuff
・UPTOWN
・WATERMELONHEAD
・XLARGE HARAJUKU

 

The story behind the birth
of PUMA SUEDE (MADE IN JAPAN)

Sneaker Tokyo Vol.3
“Puma as You’ve Never Seen them Before” 
SHOES MASTER編集部 編著
(2010年8月20日発売)

そもそもなぜ、プーマから日本製の“PUMA MIJ”がリリースされることになったのか?そのいきさつを振り返ってみると、始まりは弊誌の拙著『Sneaker Tokyo』でプーマ特集を刊行した際の取材記事だった。プーマ スウェードの製造工程を取材するため、当時、日本では生産されていなかったにも関わらず、姫路の工場で再現してもらったのだ。『Sneaker Tokyo』は約10年前に発売し、第3刷まで発行。日本語と英語のバイリンガル編集だったこともあり、海外からの注文も多く、反響が大きかったため中国版(北京語訳)も出版されるなど、スニーカーマーケットでも話題を呼んだ。その後、プーマジャパンに「日本製のプーマ スウェードはいつ発売されるのか?」と国内外から問い合わせが殺到。急遽、当初の予定にはなかった日本製の“PUMA MIJ”を生産し発売することになったのだ。そして発売されると即ソールドアウト。その後、不定期ながら“TAKUMI”シリーズとしてリリースされ、海外からも注目を集める人気レーベルとなった。

MADE IN JAPAN
Japan model factory

あれから10年の時が流れたが、当時の取材内容は今でもはっきりと覚えている。中でも一番印象に残っているのは「いい靴を作るには『作り手の精神』がもっとも大切である」ということだった。機械や設備、手先の器用さも重要な要素なのだが、自分の理想をカタチにするためのあくなき探究心・情熱こそがすべて。この取材以来、日本の匠とは「自分の理想を追い求める妥協なき精神」であり、その後に技術があることを知った。

The long-awaited MADE IN JAPAN is back
Special Feature 2021 SPRING
“PUMA SUEDE VTG MIJ SILVER”

拙著『Sneaker Tokyo』の取材から約10年。当時取材した工場のスタッフは残念ながら退職されていたが、その意志を受け継いだ現在の工場の開発責任者にインタビューを試みた。2021年1月15日に公開したウェブスペシャルで掲載した“PUMA MIJ”のバックボーンを語る上では欠かせない現場の声を改めて紹介したい。

PUMA SUEDE VTG MIJ SILVER(2021)
※Sold Out

PUMA SUEDE VTG MIJ SILVER (2021)
※Sold Out

 

About
“PUMA SUEDE VTG MIJ SILVER”
Interview

–––まずMIJのアッパー素材の特徴を教えてください
弊社のある兵庫県姫路市は、姫路レザーと呼ばれるように、市自体がレザーの一大産地になっていて100社以上のタンナー(皮革製造業者)が存在しています。各社がそれぞれ独自のノウハウを持っていますし、素材であるレザーも、牛革の柔らかめのレザー、オイル感の強いレザーなど、オリジナリティのあるレザーを色々と出しているんです。そういった意味ではレザーの選択肢が多くて多様性があるんです。我々は、パーツによっては違うものもありますが、ほぼ地元の姫路レザーを使っています。

–––今回のMIJのアッパー素材は?
今回のMIJのアッパー素材としては、スウェードの毛足にこだわって採用しました。レザーは通常、問屋さん経由で買うことが多いのですが、我々はタンナーさんに直接出向いて、担当者とフェイス・トゥ・フェイスで調達しています。今度、こういう企画がやるので、こういうレザーを探していて、こういう雰囲気で作ってくれって言えるんです。今あるレザーをただ手配して探すだけではなくて、色々なリクエストを出して加工して作ってもらっています。

–––加工まですべて地元できるとはすごいですね
加工もそれぞれのタンナーさんによって得手不得手があるので、得意そうな所を選んで話を持って行きます。なのでMIJのアッパー素材は、地元姫路の豊富な選択肢と、卓越した加工技術を吟味した上で作られていることが特徴と言えます。

–––MIJと海外産プーマ スウェードのシルエットの違いはありますか?
MIJのシルエットは、ラストに忠実な立体感が出るように常に気を付けています。

–––MIJは特段にシルエットが綺麗ですよね
シルエットが綺麗っていうのは、ラストの形がきちんと表現されているってことなんです。完成した靴の姿を見ていただいたら、何となく分かるかなと思いますけど。

–––同じラストを使っても作る工場によってシルエットが異なる、と聞いたことがあるのですが
そうですね。形を整える「吊り込み」によって変わりますね。もちろん、パターン(型紙)あっての吊り込みですし、素材あっての吊り込みですけど。

–––御社がラストに沿って綺麗なシルエットの靴を作る「吊り込み」の技術があるってことですよね?
一応、そうですね(笑)。私たちも同じラストで作りますが、アッパーのパターンは独自に私が切るんです。それによって、パターンあっての吊り込みで綺麗なシルエットが実現できるんです。ドイツのプーマ本社のスタッフから「同じラストを使っているのに、なんでこんな綺麗なシルエットになるのか?何でこんなにも違いが出るのか?」って聞かれたことがあります。

–––まさに「匠の技」って感じですね
そうやってお褒めの言葉をいただいた時に考えたんですけど、靴の開発、企画っていうのは、通常はそれぞれが分業して作っているんですね。ラストを作る専門の人がいて、アッパー素材を決める専門の人がいて、パターンを切る専門の人がいてという形で分業して作っていきます。でも、プーマさんに関しては、私が最初から最後まですべての生産過程に携わって、全部チェックして作っているんです。分業ではなく全体をトータルに見て、作っていけるところが海外産(アジア)のプーマ スウェードとの差別化につながっていると思います。

–––シルエットだけでなくMIJは独特な履き心地ですよね
ありがとうございます。履き心地に関しても、やはりラストにきっちり沿った靴が作れることが一番だと思います。それと、アッパー素材の持つ柔らかさとの相性もある。その辺がしっかりできていると、足入れした瞬間にすっと入って、海外産とは違う独特な履き心地になるのだと思います。

–––MIJを生産する上で一番こだわっていることは何ですか?
重複しますけど、一番はシルエットですね。あまりかちっとしたシルエットでもなく、かといって崩し過ぎてもいないっていう。それには、素材の良さを殺さないことが大切で、温度管理をはじめ色々な工程で気を付けています。素材感もしかりですが、海外産(アジア)との違いをシルエットで出せないとMIJの意味がないので。

–––MIJを生産する上で一番苦労した所を教えてください
一番は、名前にもなっているスウェード素材の風合いをMIJらしく仕上げることですね。特にシルバーは、スウェードに合うちょうどいいシルバーってなかなか無いんです。MIJのシルバーを上品で落ち着いた感じの風合いに仕上げるには、素材を選ぶのも大変ですが、すべての生産過程でその都度、風合いを微調整しています。

–––復活するMIJをどんな方に履いて欲しいですか?
復活ということもあるので、まずお待たせしたコアなファンの方に。あと、MIJを知らない方も結構いらっしゃると思うので、MIJを知らない若い方にもぜひ一度、履いていただければうれしいです。

–––最後にSHOES MASTER読者へ一言お願いします
ドイツ・プーマのアイデンティティと、日本の物づくりの精神が融合して生まれたのがMIJです。素材、パターン、シルエットという視覚的なクオリティはもちろん、履いた瞬間に直感的に良さを体感できる一足になっています。さすがMIJだな、メイド・イン・ジャパンだな、私たちの工場の靴だなって思っていただけるような物づくりをしています。ぜひこの機会に多くのユーザーの方に体験していただきたいと思います。本当は海外のスニーカーファンの方にもと思っていたのですが…コロナ禍がまた大変な状況で残念です。

 

PUMA2021 Spring / Summer
Recommended model by SHOES MASTER

プーマのライダー、ローマ。
不朽のクラシックを楽しむ。

1978年にリリースされたイージーライダーに新しい解釈や現代的なアレンジを加えたモデル。伝統的なトレーニングシューズのローマ。2021年はプーマが誇る不朽の名作の魅力を存分に味わいたい。2021年春、編集部が厳選したリコメンドモデルを紹介する。
Photo : Masataka Nakada (STUH) Text: Fumihito Kouzu

EASY RIDER Ⅱ(right)
¥9,900

WILD RIDER ROLLIN(left)
¥13,200

イージーライダーⅡは、1978年にリリースされたランニングシューズ イージーライダーに、1980年に登場しその翌年にはアメリカのランニング誌「ランナーズワールド」のシューズテストで最高評価を獲得したファストライダーのフェダーバインソールを組み合わせたもの。新解釈のレトロランニングシューズだ。一方のワイルドライダーは、イージーライダーと現代的なデザインを融合したフューチャー&レトロなシューズ。「都市空間、快適な移動」をコンセプトに開発された。両モデルとも2色展開となっている。

EASY RIDER Ⅱ
¥9,900

WILD RIDER ROLLIN
¥13,200

ROMA KITSUNÉ (Sold Out)
¥15,400

メゾン キツネとのコラボレーションモデル。発売後、即ソールドアウトしたため、残念ながら今から買うことはできないが希少な名品なのであえて紹介する。ブランドを代表するスニーカーのひとつであるローマは、伝統的なトレーニングシューズ。今作はサッカー イタリア代表がヨーロッパチャンピオンとなった(決勝の地はローマのスタディオ オリンピコ)1968年型の仕様。シャープで美しいシルエット、クリーンな印象のオールホワイトのアッパーが特徴となっている。踵にはメゾン キツネを象徴するキツネが刺繍され、シュータンにはプーマとキツネを組み合わせたスペシャルロゴが採用されている。

SUEDE TEAMS
各¥9,790

スウェード クラシックXXIをベースに、プーマの契約選手が所属するバスケットボールチーム(NBA/WNBA)のチームカラーに染め上げられたシューズ。スウェード クラシックXXIは、2010年以降定番モデルとして継続展開されていたスウェード クラシック+をアップデートしたもので、インソールはクッション性の高いものになり、シュータン裏やライニングはメッシュから人工皮革に変更。トゥボックスは少し小さくなり、全体的にシャープな印象となっている。

SUEDE VTG
¥11,000

2021年はプーマ スウェード復活の年。日本生産のPUMA MIJだけでなく、海外産(アジア)の“PUMA SUEDE VTG”(プーマ スウェード ヴィンテージ)もリリースされている。プーマ スウェード ヴィンテージは、究極のオリジナルディテールの再現を目指してデザインされたモデル。特徴としては、トゥキャップ周りのバランスが再調整され、サイドのロゴやシュータンなど、よりオリジナルに近いディテールとなっている。MIJのシャープなシルエットとは異なり、やや丸みを帯びたシルエットだが、これはこれでストリートっぽくて雰囲気がある。日常的にガンガン履いて履きつぶしたい感じだ。コストパフォーマンスも優れ、カラーバリエーションが豊富なのもうれしい。

SUEDE VTG
¥11,000

INFORMATION
プーマ お客様サービス
0120-125-150
www.puma.jp

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