Photo: Kazumasa Takeuchi(STUH)
Edit & Text : Shin Kawase

The 12th year CONVERSE ADDICT's Work
About CONVERSE & CONVERSE ADDICT
DAISUKE OBANA (N.HOOLYWOOD) Interview

12年目を迎えたコンバース アディクトの新作が編集部に届いた。毎回そのテーマやクオリティの高さに感心させられるが、今回はまたちょっと違った。見た瞬間、大袈裟ではなくプロダクトに強いオーラを感じたのだ。そのオーラの発信源は、N.ハリウッドの尾花大輔氏だった。その衝撃を胸にコンバースへの造詣が深いことでも知られる尾花氏のオフィスを訪ねた。

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尾花大輔(おばな だいすけ)
1974年神奈川県生まれ。古着屋でバイヤーとショップマネジャーを兼任した後、古着のセレクトショップ、”go-getter”の立上げに携わる。ショップ内のコーナーにてリメイクやオリジナルの展開を始め、2000年にショップ”Mister hollywood”を原宿にオープン。翌年、ブランド”N.HOOLYWOOD”を設立。2002年コレクションの発表を皮切りに、東京コレクションに参加し、現在ではニューヨークへ発表の場を移す。

About CONVERSE

一番よく履いたのは白のプロレザー。
ハイカットを10足ぐらい持ってたのかな。

–––いつ頃からコンバースに興味を持たれたのですか?
中学生から知ってたけど、実際に履いたのは高校1年の時。小田急線沿いに住んでたんで、各駅で降りて、ヴィンテージスニーカーをディグってたんです。お金はなかったけども、比較的に買えたのはコンバースだったんです。はじめて買って履いたコンバースは、町田のamスポーツで買った米国製のオールブラックのチャックテイラーでした。

–––「マイ フェイバリット コンバ―ス」を教えてください
一番よく履いたのは白のプロレザー。ハイカットを10足ぐらい持ってたのかな。何でしょう、何だか分かんないけど、あれを履いてるのが好きだったな…。しかも自分のブランドが立ち上がってから7、8年目まで、ひたすら縦に伸びてく時代にずっと履いてましたね。混沌とした時期が続いたから、毎日の自分のファッションを考えるのが本当に嫌で、ずっとブラックジーンズに白いTシャツかホワイトシャツだけだったんです。で、足元は白のプロレザーのハイカット。ずっと集中して仕事してるから、コーディネート考えるのも時間がもったいないみたいな。あと、なんでだか分かんないけど余計なものを省きたくてしようがなかったんですよね。とにかくすごい気持ちが入ってた時期にプロレザーをよく履いてた思い出が一緒にある。ブランドの成長とともに常に足元を支えてくれたのがプロレザーでした。

–––そこまで想いが強いコンバースの魅力とは何でしょうか?
何だろうな…。多分、着る物に対して邪魔にならない。いい意味で主張が薄いところ。そのお陰で色んな格好に合わせられる。実際、うちにスーツラインもありますけど、スーツにはほとんどコンバースですからね、合わせるとしたら。なぜならスーツの時はタイを締めない着方をずっとしてたので。コンバースにジーンズにジャケットだったりとか、スーツにTシャツでコンバースだったりとか。そういう脇役に徹するみたいなところが魅力かな。でも脇役なのに主役になれるっていうか。なんか不思議ですごい存在ですよね、コンバースって。

ショールームのテーブルに置かれたコンバース アディクト。コラボレーションした歴代モデルの一部。

 

About
CONVERSE ADDICT

お互いコンバース愛がある中で
普遍なモデルに対しての価値観を
さらに底上げするっていう考え方

–––コンバース アディクトについて。コラボレーションすることになったキッカケを教えてください
アディクトが始まる前の月星時代(コンバース フットウェアの前身)からずっとお付き合いをさせていただいているんですよ。だから17~18年前位になる。最初に一緒にやらせてもらったのは、通称「スタイリスト野口 強モデル」でした。まだ月星時代に「何かやりませんか?」ってコンバーススタッフに誘われて。我々もブランドを始めてまだ2年位しか経っていない頃で、自分も若かったから「革靴っぽいコンバースを作りたい」って無理言ったんです。ハイカットで内側がコードバンか何かで、細い革靴用のシューレースみたいなのを使って作ったのかな。それが信じられないぐらい人気が出たんですよね…。後にコンバース アディクトとして復活させてもらったんですけど。そういう意味では思い出の一足でコラボレーションするキッカケになりましたね。

–––コンバース アディクトがスタートした時はどんな感じだったんですか?
コンバーススタッフが「今までにない価値観をつくりたい」と言って始めたんですよね。ビブラムソール使ったり、カップインソールを入れてクッション性を高くしたりとか。今でこそ、アメリカのコンバースやヴァンズなんかも軽くしたり、インソールも意識し始めたりしてるけど、アメリカを代表するブランドがやってなかったことの先駆けでしたよね。定番スニーカーを世界でどこよりも早く進化させたのがコンバース アディクト。逆に言うとコンバース アディクトがなかったら、今のアメリカや日本のコンバースもどうなっていたか分からない。

–––コラボレーションモデルのテーマはどうやって決めるのですか?
僕は今まで色々なコンバースを見たり、履いたりしてきました。その経験に対するリスペクトをコンバーススタッフに持って頂いている上で色々なことを話しますね。「コンバース アディクトでジャックパーセルをやりたい」って言ったのも多分、僕だったと思うんですけど。お互いにコンバース愛がある中で、普遍なモデルに対しての価値観を、さらに底上げするっていう考え方でテーマを決めてモノづくりをしている感じです。

–––どのブランドよりも多く、コンバース アディクトとコラボレーションしていますね
自分たちがただ単純に作りたいだけじゃなくて、アディクトの立ち位置をすごく考えた上でちゃんと一緒にやれるから、これだけやらせていただいてるのかなと思いますね。でも、時にはアディクトらしからぬモノを、わざやってみたりとか。必ずしも完璧なものっていうよりも実験的なものも含めてやっています。コンバースって歴史の中でいろいろあるじゃないですか。例えば、僕の中で好きなウレタンソールの1970年代位のやつを「実験的だけどアディクトに入れたら面白いんじゃないか?」と提案したりとか。もろちん、コンバース社内でも色んな事情や戦略があったりもするし。でも、「面白いんじゃないか?」という所が偶然にも一致したりすることが多いんですよね(笑)。だから、お付き合いが長い間続いているのかも知れません。

 

About
CONVERSE ADDICT New Model

スニーカーって本当に
1ミリ、2ミリの差で
色んなものが変わる

–––最新作のコンバース アディクトについて教えてください
今回はミリタリーです。もともと自分はミリタリー物が大好きで、過去にもフィジカルトレーニング用のホワイトコンバースとか作ったりした経緯があって。実を言うと今回のモデルは当初、2色作る予定だったんです。ただ生産ロットの問題だったり、色んな事情もあって。じゃあ白と黒、どっちを残すべきか。白はリアリティは高いよねと。だけども、じゃあ進化している自分たちで考えたら、リアリティの高い物だけを追求するんじゃなくて、当時はありそうでなかった物を作ったほうがうちらしいし、アディクトらしいじゃないかっていうことでオールブラック仕様になったんです。海兵隊のスニーカーでオールブラックのハイカットがあったりするから、真っ黒っていうのも嘘がないかなと。で、我々のミリタリーに特化したN.ハリウッド エクスチェンジサービスっていうラインとのコラボレーションって形で今回、防水透湿素材のゴアテックス ファブリクスを使用することになりました。

–––今回も渾身の一足になりましたね
すごいことができたかなとは思います。恐らくこれがただのワントーンのオールブラックで作りましょうってなったら、もうちょっとデザインが前に出てきちゃうと思うんです。スニーカーって本当に1ミリ、2ミリの差で色んなものが変わるんです。このブラックでミリタリー仕様でって考えがなかったらシルバーのアイレットを付けるって、アイデアが僕の中で多分出てこないと思うんです。ミリタリー用のやつって全部、シルバーアイレットにホワイトボディだったりとかするから、ブラックボディだからってオールブラックにするんじゃなくてシルバーにしよう。そういう元になるようなものがいくつか存在したからこそ出てきたデザインなんです。デザインありきじゃなくて、元々あったものからピックアップしてかき集めたことによって生まれてる。例えば、かかと部分にミルスペックが表に出てますけど、本当のミリタリー用は内側に入ってるんです。どうせ白やらないで黒だったら、じゃあその反対側って意味を込めて外側にプリントした。それが一つのデザインになってるとしたら、すごくやった甲斐があったと思います。最近ずっと履いているけど履き心地がいいし、雨の日も全然問題ない。個人的にもすごく気に入っているんです。

僕が言うのはおこがましいですが、
コンバースのネオレジェンドモデルを
考えられたらいい

–––今後のコンバースに期待することは?
未知数ですよね。今のコンバースって、限られたモデルでこれだけ作り上げてきてるじゃないですか。今、90年代位に作られたスニーカーとか当然のようにリバイバルされてて、もう2020年を迎えようとしてますよね。そう考えると2040年位には2010年代、20年代に流行ったあれをもう一回復刻させたいよねって時代が来ると思うんですよ。その時に選ばれるようなネオレジェンド系のスニーカーを今、作りたいという気持ちはありますね。僕が言うのはおこがましいですが、オールスター、ジャックパーセル、プロレザーに継ぐ、コンバースのネオレジェンドモデル。それを考えられたらいいですよね。それは別に僕がやる、やらないとかじゃなくて、コンバース本体の中でそういうものが生まれたら今後、未来も面白くなりそうなので。

INFORMATION
Mister hollywood
03-5414-5071

 

CONVERSE ADDICT
2019 HOLIDAY COLLECTION
CHUCK TAYLOR® GORE-TEX NH OX

Color : Black
Upper : Suede / Canvas
¥28,000+tax
Release on Sunday, November 10, 2019

 

CONVERSE ADDICT
2019 HOLIDAY COLLECTION
CHUCK TAYLOR® CANVAS HI

12年目を迎えたコンバースの究極のシューズライン、コンバース アディクトの新作のもうひとつは、チャックテイラー キャンバス HI。アッパー素材に、昔ながらのシャトル織機で生産されたヴィンテージのような風合いのキャンバスを使用。秋冬モデルらしく、スモーキーブラックとマスタードの2色展開となっている。

CHUCK TAYLOR® CANVAS HI
Color : Smokey Black, Mustard
Upper : Canvas
¥16,000+tax
Release on Thursday, October 10, 2019

INFORMATION
コンバースインフォメーションセンター 
0120-819-217
converse.co.jp

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