2019 | 02.10 | Sun | 05:46

The Popular “PUMA CELL SERIES” It all started from here

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プーマの人気シリーズ、
セル シリーズといえば、
1998年に誕生した
幻のモデルが20年の時を経て、
生還したセル エンデューラに
端を発している。
 
 

 
セル エンデューラ。
なぜこのモデルが復刻され、
リリースされるのか?
 
その謎を解くために
ミタスニーカーズの国井栄之氏を
本誌(2018年9月29日発売)で
インタビュー取材している。
その内容を改めて紹介する。
 
 

About CELL ENDURA
Shigeyuki Kunii(mita sneakers)
Interview
国井栄之 /
ミタスニーカーズ クリエイティブディレクター
 

プーマ本社からミタスニーカーズ名義ではなく、
僕個人としてプロジェクトに携わって欲しいとオファーがあったんです

 

――20年振りに復刻するセル エンデューラ OGに深く関わったと聞きましたが
去年、プーマのグローバルチームから、ミタスニーカーズ名義ではなく、僕個人としてプロジェクトに携わって欲しいとオファーがあって、ドイツのバイエルン州に位置するヘルツォーゲンアウラハのプーマ本社に伺ったんです。課せられたミッションは、日本人である僕に“TSUGI”(次)シリーズのネクストステージを考えるということ。ドイツ本社での初回チームミーティング時に、ネクスト“TSUGI”(次)シリーズ用に用意したプレゼン資料の中に1998年にリリースされたセル エンデューラを始め、90年代セルシリーズの画像を随所に盛り込んで行ったんです。
 


そしたら、それを見たプーマのスタッフが色めき立っちゃって…。“TSUGI”(次)シリーズのミーティングが一旦ストップして、エン デューラいいよね、という話で盛り上がっちゃったんです。そこからプーマスタッフがセル エンデューラを復刻させよう !という流れに変わってすべてが始まりました。
 

――ドイツのプーマ本社ですべてが始まった訳ですね
そうなんです。プーマ本社に行くことで改めて感じたのは、僕らがターニングポイントとしているシューズとプーマ本社の人間が考えるエポックメイキングには多少のズレがあるということです。Mr. PUMAと呼ばれ、プーマの生き字 引であるヘルムート・フィッシャーさん直々にアーカイブルームを案内して頂いたんですけど、初めて知ることも沢山あって…。プーマってドイツのブランドなのに、アメリカから入ってきたプーマの歴史や事象が僕の知識の大半だったんです。その中にセルの機能についての資料や、1990年代後半の独創的な機能を持ったパフォーマンスモデルも保管してあって。今、改めて見ていいなと再認識しました。
 

プーマの長い歴史の中で
こんなモデルもあったという事実を知って欲しかった
 

――復刻されることが正式に決まった時の心境は?
1996年の10月にミタスニーカーズに入社して、2年後の1998年にリリース されたセル エンデューラを売ってましたし、自分も履いていたので感慨深いものがありました。でも個人的には、単体でセル エンデューラを復刻させることが目的ではなくて、プーマブランドの“TSUGI”(次)を考えた時に生粋のスポーツブランドであるプーマとしてのアイデンティティやアーカイブを現在進行形のモデルにも取り入れたかったし、ストレートに復刻という形でも良いので今のスニーカーヘッズに伝えたかったんです。意匠的な部分だったり、機能的な部分だったり。もちろん歴史はお金で買えないので。他ブランドでも、発売当時は時代に埋もれてしまったけど今リリースしたらきちんと評価されるな、というモデルは多々ある中で、プーマの長い歴史の中でこんなモデルもあったという事実を知って欲しかった。僕自身、セル エンデューラを当時好きで履 いていた位だから、今の若い世代の人も新鮮に映るんじゃないかと。紆余曲折はあったけど、結果的に復刻されて良かったと思っています。
 


――完成したセル エンデューラ OGを見た感想を聞かせてください
時代を感じさせるデコラティブなデザインがやっぱりいいですね。日本だけの 話ですけど、セル エンデューラが発売された1998年当時って、90年代中盤 にナイキのエアマックス、プーマのディスクブレイズ、リーボックのインスタポン プフューリーなどに代表されるようなスニーカーの大きなムーブメントがあった 後で、スニーカーシーンが急激にシュリンクしていった時代。スポーツブランド も21世紀を目の前にして近未来的なデザインを目指して試行錯誤していた 時代でした。デザイナー自身の主観や、個人的に考えた機能デザインがすご く反映されていた頃だったと思うんです。そんな時期にプーマから生み出され た意匠デザインとテクノロジーを組み合わせたセル エンデューラは、当時を物 語る象徴的なモデルと言えると思います。
 
 

――早くも秋(10月4日に世界同時発売)に発売されるそうですね
そうなんです。ドイツ本社での最初のミーティングが2017年8月だったんで すけど、あの日の雑談からこのタイミングで発売するって尋常じゃないスピード なので正直驚いています。プーマはスポーツブランドの中でも3番目に大き い会社なのに、このフットワークの良さ、スピード感は本当にすごいと思っています。
 

――どういう人に履いて欲しいですか?
プーマファンもスニーカーファンも世代を超えて履いて欲しいですね。なぜな ら、昔からのプーマファンの方でもこのセル エンデューラに対する思い入れを持っているユーザーは稀だと思うし、1998年にリリースされていたことを知っているスニーカーファンも少ないはずなので。だから今回の復刻は新鮮に感 じると思います。若い世代には、今ちょうどプーマスウェードが50周年で支持されているので、クラシックなイメージを覆すスポーティーなイメージで意外性があるかと。あと、セル エンデューラはプーマの象徴であるフォームストライプがなくて、アイコンロゴだけなんですよ。1998年当時、ウィンドウズ95のアイコンロゴの影響でコンピューター業界では、アップルとかデルとかもアイコンロゴが主流だったんです。その時代を象徴するデザインとしてアイコンロゴが 採用されたと聞いています。でもサイドに大きくフォームストライプが入らない分、もっと自由にデザインができるスペースが広がった結果生まれたのがこの機能デザインであり、セル エンデューラだったんです。20年前とルックスは 変わらないのですが、20年振りに履いてみたら履き心地が良くなっていました (笑)。とにかく完成度の高い一足だと思います。
 

――セル エンデューラ OGとプーマとの今後の取り組みについて教えてください
このセルを使っているシリーズは、まだ他のモデルもスタンバイしています。セル エンデューラ OGが2018年10月6日に発売され、アメリカのブルックリンで開催される“HYPEFEST”(ハイプフェスト)のタイミングで色々と発表されることに なっています。さらにその会場でしか買えないスペシャルモデルも販売される予定になっていて、そのデザインにも携わらせて頂きました。すべては2018年10月6日がキックオフとなって、来年の2019年にかけて更なる展開が待っているので、楽しみにしていて下さい。

 
SHOES MASTER Web SPECIAL(2018年10月3日公開)
https://www.shoesmaster.jp/special/twenty-years-ago-pumacell-endura-was-born-in-1998/

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