2022 | 10.13 | Thu | 09:18

About On Shigeyuki Kunii (mita sneakers) Interview

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via
SHOES MASTER
Web SPECIAL
Photo: Soma Doi(STUH)
 
本誌最新号とウェブスペシャルで掲載した
ミタスニーカーズの国井栄之氏が
オンのポテンシャルを検証。
 

About On
Shigeyuki Kunii (mita sneakers)
Interview
国井栄之 / ミタスニーカーズ

 
–––オンを取り扱うことになったきっかけを教えてください
2022年春夏からで“Cloud 5”(クラウド 5)のリニューアルがきっかけですね。それまでボリューム感やシルエットに若干タイトな印象を持っていましたが、このリニューアルではラストが改良されたり、素材がサステナブルになったりと、様々な部分で一変して良いタイミングでした。
 

Cloud 5
All Black
¥15,180
 
–––取り扱いがスタートする以前のオンのイメージは?
構造的なツーリングの新しさに注目していました。ただ僕らが取り扱う場合、ホカなどの他社との単純な比較で打ち出したくなかったんですよ。テクノロジー系のブランドが出てきた時って、分かりやすく比較することが多いですよね。でもカテゴリーは同じかもしれませんが、それぞれ専門分野があるし、答えの出し方も三者三様だから比較しても意味がないなと。むしろ、まだインディペンデントとしてのポジションだった彼らが、その専門性や魅力を携えながら、メジャーブランドの中にどう食い込んで行くかに興味がありました。

–––ミタスニーカーズで展開するまで結構な時間がかかりましたね
そうですね。例えば2020年にはロジャー・フェデラーと共同開発したモデルがリリースされ、ライフスタイル寄りの広いマーケットで認知されるようになりましたが、僕たちとしては機能的なパフォーマンスシューズであることにオンの魅力を感じていたので、その後もミタスニーカーズらしい提案ができるタイミングを探っていました。ビジネスの規模ですとオン・ジャパンとミタスニーカーズとではバランスが合いませんが、お互い求めていることがありましたし、それが醸成するタイミングがベストだよねっていう話もオンのチームとはしていたんです。4年以上かかりましたが、一番アイコニックなモデルであるクラウド 5のリニューアルということや、この時話題となっていた“Cloudmonster”(クラウドモンスター)もまさにローンチする時で、これまでと違うアプローチでの打ち出しを考えていた僕らにとって、求めていたものが凝縮したタイミングだったんです。

–––スタートから今までのセールス状況はいかがですか?
最初から好セールスで、こんなに早く反響があるとは予想していませんでした。特にクラウドモンスターは発売したその日に即完でした。
 

Cloudmonster
All Black
 
–––ミタスニーカーズではどんな方が購入されていますか?
オールバーズやニューバランスのMade in U.S.A.をお求めになるお客様とリンクしているのではないでしょうか。一過性のトレンドでアイテムを選ばれる方ではなく、ブランドの特性やバックボーンを理解して、オンをチョイスしている印象があります。特にクラウドモンスターのブラックは、いわゆるトリプルブラックのスニーカーを履くようなトラッドな方々にも人気がありました。いわゆるハイプ好きだけが購入しているのではなく、ブランド全般が常に選択肢にあって、ブランドごとにアイコニックなものを購入される方や、ずっと気にはなっていてミタスニーカーズでの取り扱いが後押しになって購入頂いたケースも多い印象です。

–––他ブランドと比べてオンの優れている所は?
機能やデザインは言うまでもなく、考え方が独創的なところですかね。今、各スポーツブランドは課題の設定が同じなら、その商品開発も似通っています。例えば、アディダスがブーストを発売して以来、各メーカーが一様にフォームの開発に着手したりだとか。コンピューターで計算すれば弾き出される数字は同じになる可能性もありますし、突き詰めた結果で仕方ないとは思うんですけど、オンは自分達の発想でカバーしていこうとするスタンスを感じます。


もちろん、緻密な計算の上であることは大前提ですが、開発者ならではの設計思想が、良い意味でのヒューマンエラーも起こしながらデザインで表現されていて、すごく新鮮に映るんです。オンのランニングシューズのサブスク(定期継続購入)についても、そのサービスを生んだ発想ってテクノロジーありきじゃない所からのものだと思いますし、スイスならではの環境への向き合い方がベースになっている気もします。

–––店舗へのサポートがいいと聞きました
はい。このコロナ禍で各メーカーがデジタルにシフトしてく中で、オンは店頭にもしっかり力を入れるんですよ。大きいモールに入っているスポーツショップでも、オンのコーナーはちゃんと作り込まれていて、サポート体制もしっかり整っているんです。それを見たときに、東京でショップを構える僕らとしては、実店舗に可能性を見出す姿勢にすごく感銘を受けました。それは世界規模で行われていて、オン・ジャパンの皆さんも全国の売り場を飛び回り、商品のノウハウを持つスタッフを送り込んで勉強会を開催しています。こういうことって昔は普通だったと思うんですけど、ビジネスライクな時代の風潮にそういった丁寧さがどんどん後回しになっているんです。そういった現状の中で、オンは新鮮に見えて惹かれるし、信念を持ってブランドを創っているなぁと実感しています。

 
国井栄之 / ミタスニーカーズ クリエイティブディレクター
1996年、ミタスニーカーズに入社。プレスを経てマーチャンダイザーとして仕事の幅を広げながら、入社2年目に会社にも内緒の直談判により当時は未知であったコラボレーションを実現。現在は、クリエイティブディレクターに就任し同店を率いる立場であり、スポーツ・アウトドア・ファッション・ラグジュアリーに至るまで、様々なジャンルのブランドとのコラボレーションや、インラインのディレクションを数多く手掛けている。
 
INFORMATION
mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル 1,2F
定休日:第三水曜日
03-3832-8346
https://www.mita-sneakers.co.jp/collections/on

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