2022 | 12.07 | Wed | 08:46

adidas ENERGY Tokyo ENERGY 2022 Kosuke Kawamura Interview

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via
SHOES MASTER
Web SPECIAL
Photo: Masataka Nakada(STUH)
 
本誌秋冬号とウェブスペシャルで特集した
「トーキョー エナジー」を手掛けた
コラージュ・アーティストであり、
グラフィック・デザイナーの河村康輔氏の
インタビュー記事を紹介。
 

adidas ENERGY Part3
Tokyo ENERGY 2022
Kosuke Kawamura
Interview

 

2人目のアーティストは、コラージュ・アーティストであり、グラフィック・デザイナーの河村康輔氏。河村氏の真骨頂は、大量の素材を分解し、全く別の作品へと昇華させるコラージュ。「見る人の頭を混乱させたい」と語る彼の手掛けた「トーキョー エナジー」について取材した。

 

About Kosuke Kawamura
 
–––最近の活動について教えてください
最近ではグラフィックデザイナーとして今回のアディダスのようなクライアントワークのデザインもしますが、クリエイティブディレクターとしてディレクションがメインの活動をすることも多いですね。あとは自分の作品作りと個展を年に3、4回ほど行っています。過去には海外でもありましたが、今は日本で回数を絞って開催しています。元々がグラフィックデザイナーからスタートしているので、クライアントワークが一番長く続けている仕事になりますね。
 
–––河村さんが考える理想的なグラフィックデザイン、理想的なコラージュアートとは?
理想というものは本当になくて、ただただ楽しんで作っています。感覚的、直感的なものが100パーセント。計算したり、テーマを決めたり、理詰めして生み出していくようなことはなくて、自分の中から自然に湧き出てきたものをカタチにしていく感じです。もちろん仕事なのでスケジュールが決まっていて、複数の案件を抱えていますが、どれも優先順位つけることなく同時進行で取り組んでいます。
 
–––色々な作品を手掛ける際に河村さんが一番大切にしていることは?
絶対にクオリティーを下げないっていうことです。複数の案件どれかに偏ることがないよう、すべてフラットに取り組むよう心掛けています。ただ、すべて仕事なんですが、僕としては仕事と思ってやってないんですよ。前提として自分は普通の仕事ができない体質の人間だと思っているので、関わることに対して「仕事」と感じないことで成立する今の道を選んだ経緯もあります(笑)。現在も自分の趣味や遊びと同列に、ユニクロUTやグラフィック、作品作りが並んでいます。すべて仕事っていうより、自分の遊び心を探求してる感じですね。それを大切にしています。
 

About adidas
 
–––初めて履いたアディダスのことを教えてください
中学1年生の時にスーパースターを買ったのが初めてですね。近所に昔ながらのスポーツ用品店があって、東京だと結構高値が付きそうなデッドストックがたくさん残ってたんですよ。僕が生まれ育った広島の街は、スケートボードや音楽などいろいろなカルチャーが混ざり合ってて、僕の最初の接点は音楽で、UKのハードコアをよく聴いてました。そして、高校生のときにキャンパスと出会いました。ウルトラスター、スタンスミスを経由してキャンパスに辿り着きました。「うわ、めちゃくちゃかっこいい!」と。違うカラーもありますが、ずっと黒しか履いてないです。その頃から黒は一番大好きな色ですね。学生時代は経済的にそこまで買えませんでしたが、スケートもやってたし、おそらくとんでもない数を履きつぶしたと思います。人生で20足以上になっているんじゃないでしょうか。
 
–––河村さんが想うアディダスの魅力とは何でしょうか?
定番が変わらずに、ずっと存在し続けるということ。すごくミニマルで飽きのこないデザイン性の高さを感じます、発祥がドイツだからでしょうか。特にキャンパスは断トツですね。
 
About Tokyo ENERGY
 
–––コラボレーションした「トーキョー エナジー」のテーマを教えてください
テーマは、“DIRTY BEAUTY”(ダーティー ビューティー)です。スニーカーは消耗品ですが、ボロボロになっていく姿も格好よかったりする。広島の実家に履き潰したスニーカーが捨てられずたくさん保管されているのですが、その姿に美的なものを感じます。新品でなく、履き潰した姿こそ、そのスニーカーの完成形だと。
 

でもそのことに気付かせてくれたのはLAにいる友人のアーティスト、Cali Thornhill Dewittです。去年LAで一緒に遊んでいる時に、ハイキングに行くことになって、何も準備してなかった僕にスニーカーをくれたんです。でもそのスニーカーって、彼が手掛ける仕事で作ったすごくレアなサンプル品だったので、当然僕としては、こんな貴重なものを履けないと伝えたところ、彼は「何言ってるんだ。汚れてからが格好いいんだよ。それがDIRTY BEAUTYだから」と。彼がただ発した一言にハッと気付かされ、自分の履き方を改めて振り返ったとき、その考え方がフィットしてる気がして。ずっと自分の中で無意識に思っていたのかなって。本来自分は言葉を扱う仕事ではなく得意分野ではないのですが、今回この“DIRTY BEAUTY”を迷いなくテーマにできました。
 
–––「トーキョー エナジー」モデルで一番こだわった所はどこですか?
シンプルに「自分が履けるキャンパス」っていうことですかね。コラボレーションモデルって、盛って足しまくって、結局履けないものが多いじゃないですか。作り手でもあり、同時にスニーカー好きなので、履けないっていうのが一番困るんですよね(笑)。“DIRTY BEAUTY”は捉え方によってはギリギリのテーマですが、アディダスさんにもご理解いただけたので、アート作品のように飾るのではなく、履き潰すこともコンセプトに盛り込んで、とことん突き詰めてみようと思いました。3カラーも自分が履ける色じゃないと嫌だなって思って、黒、ネイビー、グレーをチョイスしました。差し色が無いので少々地味ですが(苦笑)、こういったカラーが欲しい方が多いですよね。
 
–––今回の「トーキョー エナジー」モデルをどんな方に履いて欲しいですか?
それこそスケーターなど思い浮かびますが、それよりも僕と同じように、ひとつのスニーカーをひたすらにずっと履き続けるような方、飾らない人というか。僕自身、以前よりも欲しいスニーカーをすぐ入手できるようになりましたが、それでも結局、同じスニーカーしか履かなかったりする。気に入った物をひたすら履いて、駄目になるまで履く。なので、どんな方にと言うより、そういうスニーカーとして履いて欲しいっていう思いのほうが大きいですね。
 

–––読者へ一言メッセージをお願いします
昨今、スニーカーの価値が変わってきていると思うんです。例えば頻発するコラボレーションモデルによって、その希少性からこれまで無かった価値観が生まれ、それを利用し転売するリセール市場もあったり。かつては好きなスニーカーがあったら真っ先に買って履いていたけど、1回履くと価値が落ちちゃうなとか今はそう言った転売市場の存在が邪魔して、もったいなくて履けないといった本末転倒なことになっている気がします。ただ今回の企画は、履き潰す過程も狙いのひとつなので、全く違う物として捉えて欲しいです。履き続けてボロボロに擦れて、自分のカタチになった物が自分の作品として完成します。ぜひ、そのタイミングで部屋に飾って欲しいですね。
 

Tokyo ENERGY
CAMPUS 80S – KOSUKE KAWAMURA
BLACK, GREY, NAVY ¥14,300(12月17日(土)発売予定)

抽選受付中
https://shop.adidas.jp/products/

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