
Photo : Soma Doi (CLOCK)
Product Text : Hirohito Iso
Edit & Text : Shin Kawase
Boots Special by SHOES MASTER
Timeless Masterpieces Boots Part1
Danner & Timberland stands the test of time.
時代に流されない、
普遍的なプロダクトは美しい。
今年の冬はブーツを履く。
創刊して21年、初めてブーツ特集を組んだ。なぜなら、スニーカーにタイムレスなマスターピースがあるように、ブーツにも同じく傑作と呼ばれ、時代を超えて愛され続ける名作が存在するからだ。その歴史的傑作を履かないとは、あまりにももったいない。今回のブーツ特集は入門編として、誰もが知っている米国発祥の老舗ブランド、ダナーとティンバーランドをフィーチャー。スニーカーファンはもちろん、普段はブーツを履くことがない読者も必見である。


Danner History
1932年、チャールズ・ダナー氏によってウィスコンシン州で誕生。その後1936年にオレゴン州に拠点を移動。1959年には、アメリカで初めてヴィブラムソールを用いたシューズを開発。1979年には、靴企業で初めてゴアテックスを使用したシューズを展開し、その地位は確固たるものに。「軽量」で「快適」なシューズを、時間をかけて丹念に手作業で作り上げる、というスタンスを今も続けている。

About Danner
Danner Japan
Akinori Takemura
(Shose Designer)
Interview
ダナージャパン
シューズデザイナー
竹村昭範
ブランドについて
–––ダナーのブランドテーマ、コンセプト、ターゲット層を教えてください
創業当時から変わらない『可能な範囲の中で最も優れた靴を作る』がブランドとしてのテーマでコンセプトになります。ターゲット層の想定はなく、世代、性別を超えて愛用してもらえるブランドであることを目指しています。
–––現在、何ヵ国に展開されていますか?
現在、約30の国と地域に展開されています。北米だとアメリカ・カナダ。アジアだと、日本、韓国、中国、香港、台湾、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド。ヨーロッパだと、イギリス、ベルギー、ブルガリア、スイス、ドイツ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、リトアニア、オランダ、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、トルコ。ただ、アウトドアやライフスタイル以外のラインであるミリタリーやハンティング、ワークといったカテゴリーを含めるとあと10の国と地域が追加されます。メキシコや中東がこちらに含まれます。
–––ダナーにとって日本(東京)の役割、世界の中でどういうポジションに位置するのでしょうか?
グローバルブランドを目指していくダナーにとって東京は非常に重要な都市であり、また独自のポジションを築いています。世界的にみても東京以外だとロンドン、ニューヨーク、パリあたりでしょうか。その中でも近年はSNSの発達により海外がもっと身近に感じられるようになったこともあり、海外のバイヤーやひいてはコンシューマーも日本全体を含む東京を先進的かつ洗練された市場としてみており、かつトレンドセッター的な役割を担っていると思っています。
代表モデルについて
–––ダナー フィールド アールの特徴を教えてください
1979年、ダナーからフットウェアでは初めてゴアテックスを搭載したダナー ライト(DANNER LIGHT)が発表されました。そこから45年以上、マイナーチェンジを経ながらUSA製として作り続けられています。そのダナー ライトをベースに、同ブランドのミリタリーシューズやハイクシューズを生産しているベトナムの工場で、最新の技術と素材を使用して生まれたのがダナー フィールド(DANNER FIELD)。さらに2024年、ダナー ライトの発売当時からのディティールや、濃淡で奥行きを持たせヴィンテージ感を演出する防水レザー、ヴィブラム社との共同開発による最新のトラクションラグ(TRACTION LUG)の機構を搭載したアウトソールなど、最新のアップデートをしたダナー フィールド アールが登場しました。

–––マウンテン ライトの特徴を教えてください
1960年代、ジョン・F・ケネディ大統領の時代に「健康のためにもっとレジャーに出掛けよう」という呼び掛けがあり、アウトドアブーツの需要が高まって行きました。そのような中、ダナー社は、マウンテン トレイル(MOUNTAIN TRAIL)というブーツを発表します。アメリカでもポピュラーな雑誌である『バックパッカー マガジン』の中でハイカーたちに優れたハイキングブーツだと評価を得ました。その後、ダナー ライトがゴアテックスを搭載し成功したことで、同じくゴアテックスを搭載して1982年に発表されたのがマウンテン ライトです。いわゆるマウンテンブーツ然としたデザインは、防水技術が発達する以前からの特徴として、限りなく水の侵入を抑えるため、アッパーのほとんどが1枚の革で構成されており、Dリングと共にこのモデルの特徴として定着しています。

MOUNTAIN LIGHT
–––ポストマンの特徴を教えてください
1987年に当時のダナージャパンが設立され、日本市場に紹介された第1弾のラインナップから掲載されている伝統モデルです。ガラスレザーのメインアッパーはメンテナンス性に優れるだけでなく、フォーマルなシーンにも対応するサービスシューズとしての特徴が表れています。ヒールなしのオリジナルアウトソールとミッドソールの構造についても、1980年代のUS本国の資料にも詳しく残されています。

POSTMAN
プロダクトについて
–––他ブランドにはない「ダナーのプロダクトの魅力」とは何でしょうか?
理念的な部分では『可能な範囲の中で最も優れた靴を作る』という創業当時のポリシーが今でも大事にされていることがコアな部分だと思います。生産拠点がいくつかありますが、それぞれで得意なプロダクトが違います。多くのニーズに合わせて展開があるので、様々なラインナップの中から、目的の靴を選ぶことが出来ること。昨今では伝統的な靴だけでなく、多くのラインナップでリソールが可能な構造になってきています。修理やメンテナンスをしながら、永く履ける点はストロングポイントだと思います。突飛なものやイノベイティブなものは少ないかもしれませんが、歴史や伝統に基づいたデザインやノウハウが各プロダクトに活かされている。小さなエピソードですが、私たちのお客様に60代の方がいますが、息子さん、お孫さん共にダナーのファンで、長い歴史のお陰で、家族3世代で愛してくれていることに感動しました。
–––プロダクトを作る上で一番大切にしていることは何ですか?
私も1年以上、ダナー本社に駐在していたので実感があるのですが、ダナーは90年以上の歴史があるブランドです。もちろん全てのアイテムはありませんが、アーカイブのモデルやその世界観は常に頭に置いて参考にするようにしています。先人たちならどうしたか?ラインの1本、角度まで意味を考えるようにしています。実際に履いて欲しい具体的な対象者を考えながら作ることも大切にしています。
–––ダナーをどんな方に履いて欲しいですか?
生き方やライフスタイルにこだわりがあるような方に気に入ってもらえると嬉しいですね。もともとワークブーツから始まり、アウトドアやミリタリーのシーンでも信頼されるブランドになりました。色々と語り草の多いアイテムが多いので、そのような背景やヒストリーも含めて知っていくと面白いものもあります。もちろん純粋にかわいい、かっこいいと思って履いて貰えるのも大歓迎です!
リコメンドモデル
–––竹村さんの「マイベスト・ダナー」教えてください
なかなかひとつに絞れません。最初に買ったものも思い出深いですし、アイデアが製品化した際も本当に嬉しかったので。その中でもひとつあげると、アメリカに修理の研修に行っていた時に買ったマウンテン トレイル(MOUNTAIN TRAIL)ですかね。いわゆる復刻モデルでしたが、修理の技術を習得した後に当時の仕様に近づけるようなカスタムを自身で施しました。よく見るといびつな部分があったりしますが、それも思い出です。
–––ダナーをはじめて履くという方にお勧めのモデルは?
ダナー フィールド ロー Rですね。とにかくシーンを選びませんし、一足あると重宝すると思います。6インチハイトも良いですが、まずはローカットでブーツワールドの入り口に立ってもらえたらと思います。紐が嫌で敬遠していた方にも、レースジッパーが付属しているので好評です。ブーツを履いたことが無い方も多いようですが、何も気にせず、ラフな普段着の足元に持ってくるだけでも気分が変わると思いますし、ちょっとフォーマルな装いに合わせても良いと思います。

DANNER FIELD LOW R
今後について
–––ダナー全体としての今後の展開を教えてください
これまで以上に、世界のマーケットに向けたブランドからの情報発信、商品提案が出来たらと思っています。色々な節目がありますが、実は100周年まで10年を切っています。創業時も開拓と共に成長していきました。まだまだ私たちを知らない世界の人たちにどのようなアプローチが出来るか探りながらですが、一歩ずつ広げて行きたいと思います。
–––読者、スニーカーファンにメッセージをお願いします
これを機に一度手に取って足入れしてダナーを体感してほしいです。ダナーの直営店となるスタンプタウン渋谷には、豊富な品揃えはもちろん、専門知識のあるスタッフがいて色々と相談に乗ってくれます。メンテナンスのノウハウや修理、カスタムオーダーも受け付けていますのでぜひ一度足を運んでいただければうれしいです。
Timeless Masterpieces Boots
Akinori Takemura(Danner Japan)
Recommended Model Selection

DANNER FIELD R
Timeless Masterpieces Boots
Danner stands the test of time.
by SHOES MASTER

DANNER FIELD LOW R
¥34,100
DANNER FIELD R
¥35,200

DANNER FIELD R
¥35,200
DANNER FIELD LOW R
¥34,100
ダナーの代表作のひとつであるダナー フィールドを、より現代のライフスタイルにマッチするように昇華したダナー フィールド R。その意匠は、世界で初めてゴアテックスを採用したブーツとして注目を集めたダナー ライトに遡り、そこからインスパイアを受けたアッパーデザインやディテール、奥行きを感じさせるヴィンテージ感のある防水レザーなど、素材にこだわり抜いた新しいシューズとして登場。今作では「温故知新」をテーマに掲げ、モデル名の“R”には、Reborn(生まれ変わる)、Revolution(革命)、Revival(復刻/復活)など複数の意味が込められている。なお、ダナー フィールドRのセンタージップパーツは、取り外してシューレース仕様に変更することもできる。



DANNER FIELD R
¥35,200

MOUNTAIN LIGHT
Timeless Masterpieces Boots
Danner stands the test of time.
by SHOES MASTER

MOUNTAIN LIGHT
¥74,800
こちらもダナーの名作中の名作。誕生から30年以上経った現在も色褪せることなく、象徴的存在として君臨するマウンテン ライト。今もなおアメリカ・ポートランドの工場でハンドメイドにこだわって丁寧に作られ、特に、レザーのアッパーとゴアテックスのインナーブーティーの2層構造のダナー式ステッチダウン製法によって、防水・透湿性に優れ、タフなシチュエーションでも快適な履き心地を提供する。その完成されたスタイルは、アウトドアシーンはもちろん、アーバンシーンにおいてもファッション性と機能性を兼ね備えた逸品として広く愛されている。


POSTMAN
Timeless Masterpieces Boots
Danner stands the test of time.
by SHOES MASTER

POSTMAN
¥36,300
その名の通り、郵便局員が長時間歩いても疲れにくいような歩行性能と、フォーマルな場所でも対応できるようなガラスレザーを採用したオールラウンダー。オリジナルのダンキャットソールが全方向への滑り止めと優れた衝撃吸収性を提供し、ビジネスシーンから日常使いまで幅広く活躍する。長年愛され続けてきたベストセラーモデル。


DANNER LIGHT
Timeless Masterpieces Boots
Danner stands the test of time.
by SHOES MASTER

DANNER LIGHT
¥74,800
1979年、世界初のゴアテックス採用ブーツとして誕生したダナー ライト。以来、46年という長きに渡って愛され続け、今では防水ブーツの代名詞としてその存在を確固たるものに。今でもポートランドの自社工場でハンドメイドで製作されるブーツは、ひとつひとつ丁寧に仕上げられ、ダナー式ステッチダウン製法による排水性能や安定感を重視した広めのプラットフォーム、ヴィブラムクレッターリフトによる高いグリップと耐摩耗性を確保したアウトソールなど、履き心地にもとことんこだわってデザインされている。まさに不変のスタイルを持つ、長く付き合っていきたい一足。

取材協力:
ダナージャパン
INFORMATION
ダナーインフォメーションダイヤル
03-3476-5661
https://jp.danner.com/