
Photo : Soma Doi (CLOCK)
Edit &Text : Shin Kawase
REGAL Shoe & Co.× CONVERSE Vol.3
ONE STAR J LOAFER PRM
(MADE IN JAPAN)
by REGAL Factory
歴史あるリーガルの自社工場で作り上げた
唯一無二のローファーが誕生
リーガル シュー&カンパニーとコンバースのコラボレーションモデル、ワンスター J ローファー PRMが秋にリリースされると編集部に一報があった。リーガル シュー&カンパニーは、日本を代表する製靴メーカーのリーガルが手掛けるファクトリーブランド。2社のコラボレーションは、2023年9月にオールスター クップを皮切りに、過去4モデルがすべて即完売という好セールスを記録し、スニーカーファンの間で話題になっている人気企画。その人気の秘密に迫るべく、リーガルの自社工場へ向かった。

リーガルの自社工場は、新潟県の中央に位置し、
東北新幹線の燕三条駅の近くにある。
燕三条とは、燕市と三条市を合わせた地域の呼称。

燕市と三条市は、古くから金属加工技術が発展し、
特に刃物、洋食器などの金物製品の製造が盛んな街。
職人の手仕事による製品は、高い品質と洗練されたデザインで知られ、
世界有数の「ものづくりのまち 燕三条」として有名。

また、街を流れる信濃川は、山々からミネラル豊富な雪解け水が
流れ込み、米をはじめ、野菜、果樹など
上質な農作物が作られる農業地域でもある。

REGAL Shoe & Co.
by REGAL Niigata Factory
BOS Production
Built to Order System
燕三条駅近郊にあるリーガル シュー&カンパニー×コンバースのコラボレーションモデルを生産しているリーガルコーポレーションの新潟工場。「あなただけの1足をつくる」をものづくりのテーマに、靴の素材と構造にこだわり続け、昨年には創立100周年を迎えた歴史と伝統がある工場。欧州の高級革靴で多く用いられている、複式縫い製法のグッドイヤーウエルト製法でも生産できる日本では希少な場所。






100年の歴史を誇る新潟工場には、約70名のスタッフが在籍し、各々の持ち場で黙々と作業を行っていた。リーガル シュー&カンパニー×コンバースのワンスター J ローファー PRMの素材には、日本製の天然皮革を使用し、製作過程においては手作業の要素が多い、複式縫い製法のグッドイヤーウエルト製法を採用。靴は、素材と構造が最も大切という信念のもと、工場内には所狭しとアッパー用の素材が積まれていた。



裁断されたアッパーの革を縫う工程。裁断されたパーツをミシンで縫製し、平面から半立体のアッパー(製甲)にしていく。工場というと、機械を中心に人はその工程を見守るようなイメージがあったが、この現場では手作業を助けるための機械といった感じで、ありとあらゆることが細かい手作業で行われていた。




アッパーと中底を組み付けるつり込み作業から、アッパーに細革(ウエルト)を縫い付ける作業へ流れるように移っていく。アッパーは、中底の背面にあるリブと細革(ウエルト)との間に挟み込まれ、1本の糸によるすくい縫い(チェーンステッチ)が施される。この工程は高級靴に多く用いられ、高い技術を必要とする繊細な作業。



大量のラスト(靴型)の山に囲まれながら、ヴィブラム社のソールが付けられると、底面を仕上げる作業を行い、最後はインソールを靴の中に入れたら、ようやくワンスター J ローファー PRMが完成する。



About
REGAL Shoe & Co.×CONVERSE
ONE STAR LOAFER(MADE IN JAPAN)
STAFF Interview
ようやく完成したリーガル シュー&カンパニー×コンバースのワンスター J ローファー PRM。2社のコラボレーションシリーズは2023年9月から、3名のキーマンが中心となり、過去4モデルを世に送り出してきた。3名のキーマンとは、リーガル新潟工場の代表、リーガルの商品企画部スタッフ、コンバースの担当者である。それぞれ立ち位置が異なる3名にワンスター J ローファー PRMと、このコラボレーションがもたらす意味について取材した。

About
REGAL Shoe & Co.× CONVERSE
ONE STAR J LOAFER PRM
REGAL Niigata Factory
President Interview
株式会社リーガルコーポレーション
新潟工場 代表取締役社長
藤原正人
–––リーガル シュー&カンパニー×コンバースの作り方の特徴、こだわりを教えてください
最大の特徴は、ドレスシューズでもカジュアルシューズでもない、革靴とスニーカーをハイブリッドした唯一無二なシューズであることですね。このタイプのシューズは、これまでのブランドの歴史にはなかった新しい試みで、開発にあたってはさまざまな課題をひとつひとつ乗り越えてきました。やはり、リーガルは歴史あるブランドだからこそ、社内では保守的な意見もありましたし、これまでの生産工程にない要素も多く、生産効率の面でも議論が重ねられました。それでも、リーガルの職人が持つチャレンジングなマインドと、“ブランドの価値をさらに高めていこう”という強い共通認識がリーガル シュー&カンパニー×コンバースのチーム内にあったことで、前向きにプロジェクトを進めることができました。ありがたいことに、これまでリリースしてきた全シリーズがソールドアウトという結果になり、それだけ世の中に求められているという実感がありますし、やりがいを感じています。

–––ワンスター J ローファー PRMの特徴、ディテールについて教えてください
今回の大きな特徴は、グッドイヤーウエルト製法を採用している点。そしてリーガルを代表するローファー、2177のディテールでもあるビーフロール仕様を採用していることです。ローファーの最大の特徴である甲部分の帯状パーツ「サドル」の両端を、ローストビーフのように糸で巻いたデザインで、肉厚な革と相まって重厚で存在感が抜群です。使用している革については、当初インポートレザーも候補に挙がっていたのですが、今回は信頼を置いている姫路のタンナー、山陽さんの国産素材を採用しました。カジュアルな方向性の企画ということもあり、通常より多いオイルの量を含み、雰囲気が出やすいヘビーオイルレザーを使用しています。

特にデザイン面でこだわったのが、ワンスターを象徴するスターロゴです。今回は、サイズ違いの星の型を特別に3パターンほど用意しました。というのも、効率を優先してワンサイズの型で全てを作ってしまうと、大きかったり小さかったりと、靴のサイズによってスターロゴの見え方に差が出てしまう。それを避けたかったんです。スターロゴを配置するスペースが非常に限られているため、型のまわりの採寸やステッチの入れ方にも細心の注意を払いました。すごくシンプルに見える部分ですが、このこと一つだけでも、その工場の仕事のクオリティがはっきり出てしまう部分なんです。スニーカーと革靴、それぞれの特性を掛け合わせたハイブリッドモデル、そう簡単に表現しつつも、実際にはかなり意外性に富んだチャレンジングな企画でした。グッドイヤーウエルト製法でスニーカーライクな靴をつくるのはそもそも珍しく、そこにオーソライトのインソールやヴィブラムのソールを搭載しているのも非常にユニークです。さらに、今回のベースとなったのは、リーガル シュー&カンパニーのラスト(靴型)394G。この394Gは、1970年代から生産が続く、当社のアイコン的存在であるサドルシューズのラストに改良を加え、ゴアテックス搭載仕様にモディファイされています。今回はゴアテックス非搭載モデルですので、このラストに合わせて、アッパーをゼロから新たに設計しています。これらのこと全てが、ユニークであり技術的にも難易度の高いチャレンジでした。
–––完成したワンスター J ローファー PRMをどんな人に履いて欲しいですか?
スニーカーで育った世代やスニーカー好きで、あまり革靴に馴染みのない方にぜひ履いていただきたいですね。スニーカーライクな見た目と履き心地がありながら、リペアやエイジングで自分の足に馴染ませていける点、そしてクリームを塗って手入れをするなど、長く付き合える革靴の醍醐味はしっかり残しています。この一足が、そうした楽しみを感じていただくきっかけになれば、作り手としては本当に嬉しいですね。
About
REGAL Shoe & Co.× CONVERSE
ONE STAR J LOAFER PRM
REGAL CORPORATION
Product Planning Staff Interview

株式会社リーガルコーポレーション
商品企画部
森田幸之介
–––本シリーズをリリースし続ける目的を教えてください
スニーカーブランドとして長年愛されているコンバースと、革靴を主体とするリーガル シュー&カンパニーとのコラボレーションにより、新たな価値を生み出せることに大きな意義を感じています。異なるフィールドで歩んできた両ブランドの歴史的背景を活かし、それぞれの魅力を最大限に引き出すこと。そして、自社工場で一貫生産を行うファクトリーブランドであるリーガルの生産体制で製造するという点も、この取り組みの大きなポイントです。これまでにリリースした4モデルはすべて即完売し、多くのお客様からご好評をいただきました。その後も再販を望む声を多数いただいており、そうした声に支えられている以上、今後もコラボレーションは継続していきたいと考えています。また、今までにない新しいフットウェアを、両ブランドのアイデアを掛け合わせながら開発していきたいと思っています。
–––今回のコンセプトを教えてください
リーガルを代表する2177と、コンバースのワンスターローファーを組み合わせ、これまでにない新しいローファーを目指しました。一見、革靴ならではのクラシックなデザインに見えますが、カジュアルでスニーカーライクな仕様も取り入れ、ファッションにおける汎用性を持たせています。トレンドや日々のコーディネートにも寄り添える、そんな一足になっていると思います。また、採用しているグッドイヤーウエルト製法は、革靴の代表的な製法で、非常に頑丈なうえ、修理も可能なので長く履き続けることが可能です。少し大げさかもしれませんが、一生付き合える靴になり得る点は大きな魅力ですし「物を長く大切に使う」という文化を育てることにもつながります。グッドイヤーウエルト製法の靴を手がけるメーカーとして、こうした価値もしっかり伝えていきたいと考えています。
–––他コラボレーションモデルにはない「本シリーズの魅力」とは何だとお考えでしょうか?
やはり革靴とスニーカー、それぞれ異なるジャンルのフットウェアブランド同士のコラボレーションという点が大きいと思います。もともとのフィールドがまったく違うからこそ、両者のいいところを掛け合わせて生まれるハイブリッドなフットウェアに、他のコラボレーションにはない、圧倒的な魅力が生まれていると感じています。

–––ワンスター J ローファー PRMをどんな人に履いて欲しいですか?
普段のスタイルがスニーカー中心で、革靴をあまり選ばない方にこそ、今回のローファーをファッションアイテムとして取り入れていただけたら嬉しいなと思っています。また、すでにローファーをお持ちでも、リーガルのシューズを履いたことがないという方にも、ぜひ一度試していただきたいですね。トレンドを取り入れたボリュームのあるデザインで、ソールにはヴィブラムのソールを採用するなど、ラフに履ける革靴に仕上がっているので。
–––主な展開店舗を教えてください
リーガル シュー&カンパニーの渋谷店と公式オンラインショップ、そしてコンバースの直営店、公式オンラインショップでも販売します。また、エディフィスさんでの取り扱いも予定しています。
–––最後に読者へメッセージをお願いします
現在、リーガル シュー&カンパニーでは、新しい価値の創出に向けて、さまざまな取り組みを行っています。「革靴=重くて硬い」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、私たちがプロデュースしているフットウェアは、今回のコラボをはじめ、スニーカーの要素や履き心地のよさ、そして幅広いファッション性を取り入れたラインナップになっています。革靴を履き慣れていない方にこそ、こうしたコラボレーションをきっかけに、ぜひ革靴という選択肢を足元に取り入れてほしいです。足元を革靴にすることで、スタイル全体がぐっと引き締まります。ぜひ先入観を捨てて、新しい世界を楽しむきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

REGAL Shoe & Co.×CONVERSE
ONE STAR J LOAFER PRM
¥63,800
(10月3日(金)発売予定)


About
REGAL Shoe & Co.× CONVERSE
ONE STAR J LOAFER PRM
CONVERSE JAPAN
Merchandiser STAFF Interview
コンバースジャパン株式会社
企画部 MD課 マーチャンダイザー
漆畑 睦子
–––本シリーズを企画した経緯を教えてください
このプレミアムモデルの企画は、単に高価なものを作るという目的ではなく「しっかり付加価値のあるモノをつくる」という強い意志に基づいています。そのため、日本を代表するシューズメーカーであるリーガルコーポレーションと協業し、その高い技術力と品質へのこだわりを最大限に活かしたプレミアムモデルの開発に至りました。数年前から取り組みを行い、毎シーズン好評いただいております。
–––本シリーズのテーマ、コンセプトを教えてください
コンセプトは、リーガル シュー&カンパニーの掲げる「スニーカー世代にレザーシューズの新しいスタンダードを提案する」という理念を体現し、これまでスニーカーを愛用してきた方々にも自然に溶け込む、新しいレザーシューズの提案になります。
–––他コラボレーションモデルにはない「本シリーズの魅力」とは何だとお考えでしょうか?
本シリーズの最大の魅力は「コンバースのアイコニックなデザインとリーガルが誇る製法が融合した、他に類を見ない唯一無二の企画」である点です。一般的なコラボレーションモデルがブランド同士のデザインの掛け合わせに重点を置くことが多い中、スニーカーブランドの象徴的なデザインを、日本を代表するシューズメーカーの培ってきた本格的な製法技術と融合させることで、単なるファッションアイテムを超えた、普遍的な価値を持つ商品を生み出しているつもりです。今後も、両社の歴史とクラフトマンシップが深く結びついた、長く愛用していただける商品を生み出していきたいと考えております。
–––ワンスター J ローファー PRMをどんな人に履いて欲しいですか?
流行に敏感でありながらも、上質で長く愛用できるアイテムを求める方にぜひ履いていただきたいです。 これまでスニーカー中心だったけれど、上質なレザーシューズにも挑戦してみたいという方。リーガルの長年の経験に裏打ちされた確かな品質と、長く履き続けられる快適な履き心地を求める方などに履いていただければうれしいです。
取材協力:
株式会社リーガルコーポレーション
コンバースジャパ株式会社
INFORMATION
リーガルコーポレーション
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コンバースインフォメーションセンター
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