Photo : Soma Doi(STUH)
Text : Fumihito Kouzu
Interviewer& Edit : Shin Kawase

adidas Originals 2023 F/W Best Selection
The popularity of timeless masterpieces is on the rise again.

不朽の名作の人気が再燃中

2022年を代表する大ヒットモデルとなったサンバ。日本だけの局地的なヒットではなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでも支持され、今なお人気が継続している。そのサンバに加え、ガゼル、スーパースターといった定番のコート系モデルが今シーズンは例年以上に注目を集めそうだ。

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SAMBA(1950)
adidas Originals 2023 F/W Best Selection

About SAMBA(1950)

About SAMBA
1950年にフットボールシューズとしてリリースされたサンバ。モデル名の由来は、1950年のFIFAワールドカップの開催国であるブラジルにちなんだものだと言われている。当時のサンバはミッドカットのブーツタイプ。ラバーのアウトソールには3つの吸盤があり、雪の日や凍ったピッチでもプレーできるよう配慮されていた。その後、改良が続き、1960年代には汎用性の高いインドアトレーニングモデルとして、アスリートから愛される存在に。1972年のアップデートで、フルグレインレザーのアッパーにスエードのTトウパネルが採用され、現在のサンバに繋がるデザインとなった。1990年代に入ると、クリーンで機能的な薄底のローカットシューズを求めていたストリートにおいても確固たる地位を築く。昨年の夏以降、世界的なヒットが続いているのは、ご存知の通りだ。

上:1950年当時のサンバ。下:フットボールシューズを手にするアディダス創業者のアドルフ・ダスラー。アップデートを重ね、1970年代に現在の形に近いサンバが出来上がった

SAMBA OG
コアホワイト / ハローブルー / ガム
¥15,400

SAMBA OG
ナイトネイビー / クリームホワイト / ガム
¥15,400

 

GAZELLE(1966)
adidas Originals 2023 F/W Best Selection

About GAZELLE(1966)

About GAZELLE
1966年、多目的トレーニングシューズとしてデビューしたガゼル。デビュー当時のモデルには、カンガルーレザーが使用されていた。1971年のアップデートで、ヘキサゴンパターンのアウトソールが採用される。このアウトソールパターンは、ガゼルの象徴的なディテールデザインとして現在にも受け継がれている。1980年代中盤にクラシカルなガゼルが復活。ミュージシャンやアーティストが着用したこと、カラーバリエーションが豊富だったことがきっかけとなり、ストリートにおいても人気モデルになった。当時はガッツレーと呼ばれており、1990年代に日本で人気になったことを覚えている人も多いだろう。ギザギザのあるスリーストライプス、T字型のトウデザイン、特徴的なシュータンなど、シンプルな中に個性のある魅力的なシューズだ。

上:1966年のデビュー当時のモデルはアッパーにはカンガルーレザー、アウトソールにはマイクロセルラバーが採用されていた。下左:1980年代に多くのカラーバリエーションが展開された。下右:1980〜1990年代にライフスタイルモデルとして人気を獲得。

AGAZELLE
シャドーネイビー / クリアブルー / ガム
¥15,400

GAZELLE
(ABC-MART KOREA Exclusive Model)
¥14,300

GAZELLE INDOOR
(ABC-MART Exclusive Model)
¥18,600

GAZELLE 85
(atmos Exclusive Model)
¥17,600

 

SUPERSTAR(1970)
adidas Originals 2023 F/W Best Selection

About SUPERSTAR(1970)

About SUPERSTAR
1965年にローカットのスーパーグリップ、ミッドカットのプロモデルという2つのバスケットボールシューズが登場。この2モデルはスーパースターの前身と言うべき存在だ。1960年代後半になるとアディダスはつま先部分を保護するためのトウキャップの研究を開始。1970年に正式にリリースされたスーパースターに採用された特徴的なリブを備えたトウキャップは、スーパースターの代名詞となっている。1980年代に入るとヒップホップミュージシャンを中心に、アーティストたちがステージで着用するようになり、ストリートシーンでも人気を博すことになった。2020年、50周年を迎えた際に世界的に注目を浴びたのは記憶に新しいところ。

上:1970年のスーパースターの広告。下:1970年に正式に発売となったスーパースター。当時、アメリカのプロリーグに所属する多くのバスケットボール選手がアディダスを履いていたと言われている

SUPERSTAR 82
コアブラック / アルミナ / クリームホワイト
¥18,700

 

About
adidas Originals
SAMBA、GAZELLE、SUPERSTAR

世界中で大ヒットモデルとなっているサンバ。スニーカー有識者は今のサンバや、アディダス オリジナルスの状況をどう見ているのか?日本を代表するスニーカーショップ、アトモスの小島奉文氏と下北沢のヴィンテージスニーカーショップ、ソーマの徳永勝文氏に話を聞いた。(インタビュー取材:2023年8月)

Hirofumi Kojima (atmos)
Interview

小島 奉文 / フットロッカー アトモスジャパン合同会社 メンズ シニアディレクター

–––今、スニーカー市場におけるアディダス オリジナルスの状況を教えてください
昨年3月にリリースしたアディマティックは引き続き、盛り上がりをみせていましたが、一方でやはり、サンバやガゼルなどを代表とするテラス系の人気が圧倒的です。真上から見るとトウ部分(つま先)がTに見えることから、T-TOE(ティートウ)ってアディダス社内用語で呼んでいるので、僕らも自然とそう呼んでいますけど。こういうベーシックなトレーニングシューズモデルってアディダスが得意とするカテゴリーなので、このカテゴリーは現在、アディダスの一強となっています。

–––サンバについて教えてください
サンバは、サンバOGという名前で復活した白黒と黒白のガムソールが、昨年10月のFIFAワールドカップのタイミングでリリースされて、そこで一気にボンって跳ねました。もちろんその以前からジワジワと火は点いてはいたんですけど、アトモスでも本当に一瞬で売り切れました。その後もすごくよく売れましたが、今年の6月まではほとんど入荷がなかったんです。その後もたまに入荷すればすぐに売り切れる感じで。それでようやく7月、8月から店頭に並び出したんですが、やはり市場にまったく無かったので、好調に売れていますね。また東南アジアを中心とした外国人にも人気があるので、今のアトモスの店頭フェイスはサンバを中心としたテラス系のシューズで構成されています。昨年までは、スーパースター、スタンスミス、キャンパス、フォーラムなどのコート系スニーカー中心だったんですが。アディダスジャパンに聞いても、サンバがこんなに話題になり注目されたのは、初めてなんじゃないかと。しかも、ブランド側が仕掛けて作り出したトレンドではなく、コンシューマーとストリートから自然発生して、世界中を巻き込んだということが特筆すべき所ですね。メーカー側も意図してなかったという。でもそういう方が根付きやすいし、あっという間に広がりますし面白いですよね。今の若い次世代アディダスのファーストシューズがサンバという人がすごく多いそうですし、新たな定番になり鉄板のモデルだそうです。だから我々もアディダスジャパンと協力して大事に売っていきたいですし、大切に育てていけば、10年後、30年後、50年後にはスーパースター、スタンスミスなどと肩を並べる新しいアイコンになっている可能性、ポテンシャルは持っていると思います。なぜなら今の若者たちが作り出した新たなトレンドですので、僕ら世代が憧れたOGとはまたちょっと違いますしね。

–––ガゼルについて教えてください
若い世代にはガゼルという名前で完全に浸透しているんですけど、僕ら世代はガゼルじゃなくて「ガッツレー」と呼んでいました。呼び方で世代が分かれるモデルですね。マテリアル使いも特徴的で、ガゼルは基本スエードベースが多く、サンバはレザーベースが多いですね。両モデルともに、多様なスタイルにハマる汎用性の高いシンプルなデザインと豊富なカラーバリエーションが人気ですね。

–––スーパースターについて教えてください
僕ら世代は1980年代、90年代のフランス製のスーパースターが輝いていた世代。下北沢のヴィンテージスニーカーショップ、ソーマさんで見るフランス製のスーパースターは、現行のヴィンテージ加工で再現された物とは、また違った良さがありますよね。大衆向けではなく、本物試行の客層に向けて究極にこだわったスーパースターのリリースなどがあったら嬉しいですね。細かいディテールまで再現したり、メイドインフランスだったり、ファンが唸るような上質なレザーを使ったり、当時のシューズボックスを忠実に再現したり、シリアルナンバーも入れたり。常に変えてしまうありがたさもありますが、一度リセットして、そんなスペシャルなモデルを提供するモデルに方向転換する時期が来ているかも知れません。僕の中のスーパースターは、今も昔も変わらず、そんな位置付けの特別なスニーカーです。

 

Katsufumi Tokunaga(soma)
Interview

徳永勝文 / ソーマ オーナー

–––今、ヴィンテージスニーカー市場におけるアディダス オリジナルスの状況を教えてください
そもそもソーマ全体の中でアディダスが半分ぐらいで一番多いんです。中でも今一番注目されて売れているのはサンバですね。若い世代の人達は口癖のようにサンバ、サンバ言っている感じです。その次が世界の都市名が付いているシティシリーズ。その後にスーパースター、キャンパスといった所でしょうか。大学生から20代半ば位までの若い世代はサンバ一択ですね。今、初めて買うアディダスがサンバという人も多いらしいです。スタイルとしては古着ミックスが多くて足元はサンバで。逆に30代、40代の世代は「なんでサンバ?」って感じですけど(笑)。白黒のモデルが当時の名前でユニバーサルって言うんですけど、今はサンバの名前で売っているみたいで、サンバの白黒を探してるって若い世代の人がお店に来て、ヴィンテージでは白黒はないよって。そのやり取りの会話が本当に多いですね。今のユニバーサル(現サンバ)の平均価格は29,000円から39,000円位。今、在庫が1足しかなくて、入荷すると状態が良ければすぐ売れる状態が続いています。

–––ガゼルはどうですか?
ガゼルを探しているというリクエストもあるんですけど、デリケートなスエード素材でヴィンテージ市場には良い状態のガゼルがほとんど残っていないんですよ。ゴムのラバーがコーティングして一周してるんですけど、それが割れることが多くて買って履いても壊れちゃう可能性が高い。そのリスクを考えるとキャンパスを勧めたりしています。今は全体的にクラシックなモデルが人気で、ランニング系がちょっと苦戦している感じでしょうか。

–––スーパースターの状況はどうですか?
ヴィンテージ市場では高騰していますね。50周年を迎えたり、ちょっと前にはスーパースター 82がリリースされたりして、スーパースター 82を履いて来る20代位の若い世代が増えましたね。それでフランス製のスーパースターを見て、やっぱりこっちだって(笑)、買っていく方が多い。50,000円位しますけど。メイドインフランスのデットストックは下手したら200,000円位するのもありますからね。その辺になってくると、基本的にはもう持っている方がストック用で買われたり、昔から買っている方がまた上がるから今買っておこう、みたいな感じですね。そんなスーパースターを購入する方は、年齢層が広くて20代から60代位の方もいます。ヴィンテージは有限なので、状態の良いものは希少なので、今高いですけど、もっと高くなる可能性もあるので、悩んでいるぐらいだったら今買っておいた方がいいと思います。

 

adidas Originals
adidas ENERGY
TOKYO ENERGY

アディダスブランドの原点、ブランドのアイデンティティをスニーカーヘッズにマインドシェアすることを目的としたプロジェクト、アディダス エナジー。アディダスのキーシティであり、カルチャーの中心地でもある東京にフォーカスし、アート、ミュージック、ファッションからインスピレーションを得て生み出されているのが、2022年に始動したトーキョー エナジーだ。今シーズンもユニークなコラボレーションが実現している。

TOKYO ENERGY HIKARI SHIBATA

ローテクスニーカーを好み、USEDアイテムが好きだという柴田ひかり氏がチョイスしたのは、フォーラム、ライバルリー、キャンパスの3モデル。90年代のストリートウェアを彷彿とさせるカラーリングや素材選びが特徴となっている。フォーラムはスエードのアッパーのアクセントにナイロン素材を採用。スリーストライプスは2色で構成されている。ライバルリーは、黄色味のあるミッドソールと毛羽立ちのあるスエードでUSED感を演出。シュータンにはトレフォイルロゴが刺繍で入れられている。深みのカラーのアッパーとブラックのミッドソールを組み合わせたキャンパスは上品でクラシックな印象に仕上がっている。

FORUM 84 LOW CL
¥17,600

RIVALRY LOW 86
¥16,500

CAMPUS 00s
¥16,500

柴田ひかり / Hikari Shibata
独自のファッションセンスとライフスタイルをインスタグラムやユーチューブをはじめとするSNSで発信し、絶大な人気を誇る。また、モデル活動に加えてフォトグラファーとしての一面も併せ持ち、都内外含め写真展を開催。映像やアパレルなど様々な形でクリエティブするPEEP INSIDE HEADのディレクションもつとめる。

Instagram : @shibatahikari @rkhtbs

 

TOKYO ENERGY FACE

FACE氏が選んだのは、アディダス オリジナルスを代表する大定番のスーパースターとスタンスミス。1982年のモデルを忠実に再現したスーパースター 82にパイソン柄をチョイスしたのは、自身が2000年代初期に買えなかった憧れのモデルであったことから。ヒールカップにエンボス文字で入れられた44㎡は、アトリエの平米数とのこと。スーパースター 82 FACEには、FACE氏が立体作品を作る際によく用いるデザインを採用。SUPERSTARの文字に代わり、FACESTUDIOの文字が金色でプリントされているのもポイント。スタンスミス CSをベースにFACE氏のアイコニックなデザインを施したモデルは、ワントーンで仕上げられた大胆なデザイン。ヒールカップには44㎡の文字が入れられている。

SUPERSTAR 82
¥20,900

SUPERSTAR 82 FACE
¥20,900

STAN SMITH CS
¥16,500

FACE
台湾人の父と日本人の母を持つ、東京生まれのアーティスト/イラストレーター。精力的にアート作品の制作を行っている。またアパレル、広告、雑誌を中心に国内外問わずクライアントワークもこなし、グローバルなアーティストとして活動の幅を広げている。

Instagram : @face_oka

INFORMATION
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0570-033-033 
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