Photo : Kazumasa Takeuchi (STUH)
Edit & Text : Shin Kawase

for sneaker heads! Part 8
Amazon Kicks 3rd ANNIVERSARY
Amazon Kicks×ZOZOTOWN

アマゾンファッションでスニーカーに特化したストアとして誕生したアマゾンキックスが、3周年を迎えている。アマゾンキックスの藤田氏とスニーカーの未来について語り合うアニバーサリーイヤー特別企画のスペシャルゲストは、日本最大級のファッション通販サイト、ゾゾタウンの畠中一樹氏。前号のミタスニーカーズ、ビームスのスタッフに続いて、今号では日本を代表する2つのメガウェブショップスタッフによって語られた「ウェブショップの未来」をお届けする。

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藤田直哉 (Amazon Kicks) / バイヤー
アマゾンファッション シューズストア シューズ統括バイヤー。お客様の求める商品を仕入れるため世界中を飛び回る。学生時代からスノーボード、スケートボードに熱中し、卒業後は、某大手セレクトショップに入社。その後、某有名スノーボードブランドに転職。8年前にアマゾンに入社。3年前にアマゾンキックスを企画・設立し、現在に至る。

畠中一樹 (ZOZOTOWN) / EC事業本部 ブロック長
大学卒業後、株式会社スタートトゥデイ入社※。大学の卒業論文は「ストリートカルチャー論」。社内でも「スニーカー好き」として知られ、ゾゾタウン初のスニーカー専門ショップ、フラージュの店長を任される。その後、数々のブランドとのコラボレーションモデルを手掛け、現在は企画立案から販売まで行う特別プロジェクトを専門に担当。数多のスニーカーのコラボレーションを企画中。※2018年10月より株式会社ZOZO(ゾゾ)に社名変更

Amazon Kicks×ZOZOTOWN
Naoya Fujita(Amazon Kicks)&
Kazuki Hatanaka(ZOZOTOWN)

アマゾンキックスの藤田氏とゾゾタウンの畠中氏は、藤田氏の前職時代に知り合った気の置けない仲。10年以上も前から付き合いがある二人の共通項は大のスニーカーフリークであること。今でもプライベートで個人的なスニーカー談義に花を咲かせているそう。そんな二人にウェブでスニーカーを買うということ、ウェブショップの未来ついて率直な考えを聞いた。

ZOZOTOWNスタッフを招いて語り合う、
ウェブショップの未来、ウェブでスニーカーを買う、ということ。

–––アマゾンキックス、ゾゾタウンともにスニーカーのセールスは拡大していますか?
藤田 お陰さまでスタートしてからずっと伸びていますね。しかし、入荷したらすぐに売り切れてしまうので、売るモデルがない状態がずっと続いています。アマゾン全体でナイキ、アディダスなどを検索すると、候補はいっぱい出てくるのですが、それは出品者も含まれるためです。アマゾンキックスは「スニーカーフリーク必見のオンラインストア」がコンセプトで、スニーカーが好きな方に喜んで頂ける品揃えが前提なので、ミタスニーカーズやアトモスなどで展開されているブランドが流通を絞ってセグメントしているモデルをメインに投入するべく、各ショップスタッフと擦り合わせしています。したがって、数的に少ないアイテムも多くて、入荷しても入荷しても本当にすぐに売り切れてしまうんです。でもそれは、スニーカーセレクトショップとの日々の打ち合わせやリレーションシップがあって、ちゃんとしたMD※(マーチャンダイジング:品揃え)があるからこそ、今のアマゾンキックスがあると思っています。
※MD 消費者の欲求に適合するような商品を、適正な数量・価格で、適切な時期・場所に供給すること

畠中 ゾゾタウンもスニーカーは毎年拡大し続けています。昨年、一昨年ぐらいがスニーカーブームのピークって言われていたんですけど、全く関係ないですね。具体的な数字としてもすごい伸び率になっています。購入している年齢層は30代前半が多い印象です。ゾゾタウン会員のコア層も同じ年齢層なのでアイテムとしてスニーカーはど真ん中だと思います。但し、ゾゾタウン会員の男女比率は女性が多いのですが、スニーカーに限ってはその比率が逆転していて、男性の方が多いです。いわゆる、スニーカーヘッズが購入されているからだと思います。色々見ていくと、例えば同じアディダスの商品でも、セレクトショップに入っている物とアディダス オリジナルス直営店に入っている物があって、それぞれのショップにお客さんが付いているので世代によって購入するストアが異なっているんです。直営店に来られるお客さんは、10代から20代の若い層が多くて、セレクトショップは30代の方が多い。それ以外のショップで40代の方も沢山いらっしゃいます。スニーカーは洋服とは全然違った特殊な売れ方をしますね。

 

アマゾンキックスって送料無料、最大30日間返品無料なんです。
まだまだ浸透しきってないですけど(苦笑)。
藤田直哉 (Amazon Kicks)

人気モデルについて

–––売れているブランド、モデルの傾向を教えてください
藤田 ナイキ、アディダス、コンバースは人気がありますね。具体的なモデル名でいうと、ナイキだとエアフォース1、アディダスだとスタンスミス、コンバースはオールスターといった定番モデルが良く売れています。でもコンバースは人気があり過ぎて、入荷するとすぐに売れてしまって常に在庫切れになっている状態で、全国的に人気があるモデルがアマゾンキックスでも売れる傾向があります。その一方で、超レアなモデルが入荷すると瞬間的に売り切れる。そういった状況を見るとやっとスニーカーフリーク、スニーカーヘッズもチェックしてくれるサイトの一つになったかなぁと実感しています。あとブランドでいうと、アシックスタイガーとニューバランスも人気がありますね。アシックスタイガーは、ゲルマイとかPTG(ポイントゲッター)。ニューバランスだと、メイドインUSAのプレステージとUKモデル。以外にも高単価なモデルが多いのですがよく売れているんです。なので価格などはあまり関係なく、世の中的にスニーカーとして希少価値があるモデルが入荷すればもれなく売れるっていうのがアマゾンキックスの特徴だと思います。一般的なトレンドモデルと超レアモデルの両極端なアイテムがどちらともが売れているのが今の大きな傾向ですね。

畠中 去年は、圧倒的にアディダス オリジナルスのスタンスミス、スーパースターが強かったんですけど、今年になってコンバース、ヴァンズがぐっと伸びてきています。ゾゾタウンの人気のスニーカーの傾向としては、ベーシックで汎用性の高いスニーカー「ファッションと合わせやすいスニーカー」がキーワードですね。コンバースでいうと、やっぱりオールスター。ホワイトやブラックのベーシックなカラーに人気があります。ニューモデルのオールスター100やオールスターライトも人気なのですが、すぐに売り切れて全然足りていない状態です。あと女性は割とリーズナブルなスニーカーを買う傾向がありますね。逆に男性は価格に関係なく、世の中的に希少スニーカーであれば売れる傾向はゾゾタウンも変わりません。

 

リアルショップとウェブショップについて

–––今、リアルショップに必要なことは何だと思いますか?
藤田 僕は両方とも経験しているんですけど、やっぱりホスピタリティ(おもてなしの精神)だと思うんですよ。行きたいと思える人が居て、話したいと思える人が居て、欲しいものを見つけてくれる人が居る、っていう受け身な状況でも行けるのがリアルショップの醍醐味。例えば指名買いで来たお客さんにも「これ欲しいんですけど」って言われて「実はこれよりあっちのほうがいいんですよ」ってひっくり返して言えるホスピタリティもすごく必要だと思うんですね。そこにリアルショップの存在意義が詰まっていると思っています。

畠中 僕も藤田さんと同じくホスピタリティだと思いますね。ウェブショップも本当は人が立って接客するのが一番いいと思うんですけど、それができないわけで…。人が接客することでの体験、感動みたいなことって、リアルショップでしかできないことですから。

 

20年後の買い物は、買って届くじゃなくて、
届いて要らなければ返す時代になる気がします。
畠中一樹 (ZOZOTOWN)

–––それでは今、ウェブショップに必要なことは何だと思いますか?
藤田 ウェブショップに一番必要なこともホスピタリティだと思います。しかし、僕らは対面する接客ができない。接客、一番大切なものができない訳です。リアルショップに行く人の8割が買う物が決まってなくて曖昧だと言われているけど、ウェブショップは8割が指名買いなんですよね。ウェブだとスタンスミスって入力したらスタンスミスしか出てこない。アマゾンキックスは、リコメンド機能や白いスニーカーやレザースニーカーなども出てくるようになっている。今後は、詳細ページのリッチ感なのか、情報のリッチ感なのか、買い物をする上での充実度をもっともっと上げていかなくてはならない。ウェブショップであっても結局、買い物をするのは人なのでホスピタリティが一番大切だと思います。

畠中 対面で接客ができないからこそ、リコメンド機能の充実や即日配送など、お客さんが求めるサービスレベルに極限まで応えていかなきゃいけないと思っています。今、取り組んでいる具体的なサービスとしては、ゾゾスーツやプライベートブランド「ゾゾ」ですね。やっぱり、サイズの問題が一番大きな課題なので。

藤田 アマゾンキックスにとってもサイズのハードルってすごく高いですけど、送料も無料で、最大30日間返品も無料(※一部例外あり)のサービスがあるんです。本当に5足でも5サイズでも買ってもらって、試してくれたらいいんです。ホワイトとグレーとで悩んだら、2足買って家で試したらいいんです。でもサービス自体の認知が高くないので「5足も買ったらちょっと怖い」みたいな感覚があると思います。準備はできているのに、それがまだ伝わってない。そのハードルを下げられていないのは、我々のサービス訴求がまだ足りてない証拠だと思うので、もっと頑張らなくてはいけないと思っています。

 

ブランドとの理想的なコラボレーションについて

–––お互いがベストな関係になるには何が必要だと思いますか?
藤田 ブランドとアマゾンキックスとのリレーションシップです。結局は人と人。担当者との人間関係、信頼関係に行き着くと思います。それが理想的な関係を築く一番の近道であると思います。その理想的な関係を築くことで、コンセプトに合った商品が集まり、アマゾンキックスに来られるお客様が喜んでいただけますし、リピートにも繋がると考えています。

畠中 僕も全く同じですね。それ以外はありえない。あと、具体的なコラボレーションモデルの場合でいうと、売れ行きなどの過去のデータが全て揃っているので、過去のデータに頼りがちになることが多い。でも、それに頼り過ぎちゃうと全然面白くない物になったり、売れなかったりするんですよ。数字で理詰めするだけではダメなんです。自分たちの欲しい物、その時に「これ面白いよねっ」というようなテンションやノリみたいなものも絶対に必要なんです。そういう勢いで作ったモデルのほうが意外に売れたりするので。やっぱりファッションなので感覚を大切にして、自分の気持ちに素直になって直感を信じるみたいな。ですから最近は、あんまりデータに頼らず作っていることが多いですね。

 

未来のスニーカーショッピングについて

–––10年後、20年のスニーカーの買い方は、どうなっていると予想しますか?
藤田 10年前は、オンラインで靴を売るなんて考えられなかったんですよ。そう考えるとリアルショップとウェブショップは、お互い補完し合いながらも、その在り方が劇的に変わっているでしょうね。今でもSNSによって、スニーカー好きのコミュニティが存在して、ひとりひとりの経済圏が確立されていっているじゃないですか。この先さらに拡大していくと思いますし、そのコミュニティごとに売れるモデルも違ったり、トレンドを作るという意味ではどんどん複雑化したり、ブランド、ショップ、メディア、個人の在り方すべてにおいて状況が一変していると思います。
アマゾンジャパンはまだ靴を売り始めて11年目ですし、20年前にこんな状況になるなんて誰も想像していなかった。20年後は、自分で頼まなくても勝手にウェブショップからスニーカーが届く時代になっているかも知れません。

畠中 ゾゾタウンもサービス開始から14年で1,100ショップ、6,000ブランドが集まるファッション通販サイトに成長しました。お客さんの好みに合わせたコーディネートを、定期的にお届けする「おまかせ定期便」というサービスが既に始まっていて、これが意外に好評なんですよ。これからはそういう提案型のサービスが増えていくと思います。20年後の買い物は、買って届くじゃなくて、届いたものを返すのが当たり前の時代になる気がします。

Amazon Kicks
2018 FALL & WINTER
5Shops & 4Select Shops
Recommend Models

Amazon Kicksバイヤーが厳選した
9ショップの10モデル。

日本を代表するスニーカーセレクトショップ5ショップと有名セレクト ショップ4ショップが集結。各ショップからアマゾンキックスバイヤー、藤田直哉氏がピックアップしたリコメンドモデルを紹介。

New Balance
MS247 V2 “Bouncing frog” “mita sneakers”

ブランドのホームタウンにあり、アメリカ最古の公立公園、ボストンコモン公園のフロッグポンドに生息する”蛙の躍動感”を、長年の進化過程で培った990の機能性に照らし合わせて具現化させた。先にリリースされたM990 V4に続く第2段バージョンとなる(10 月中旬発売予定)。

NIKE SPORTSWEAR
AIR MAX DELUXE

90年代のハイテクスニーカーブーム後期に発売された当時は、マーブル状に組み合わさったカラーリングが特徴的で話題を呼んだ。復刻モデルはエア マックス97をベースに開発され、このカラーリングは国内ではアトモスのみの展開となる。

PUMA
PUMA TSUGI JUN REDHORSE atmos

東京から世界に発信しているアトモスが日本にフォーカスした次世代スニーカー“TSUGI”(次)をベースに、大胆にもオールレッドのワントーンで配色した一足。ヒール部分に“PUMA * atmos E139°N35°** TOKYO RED HORASEMAN”の文字が施されている。

NIKE SPORTSWEAR
AIR MAX 95

デザイナーのセルジオ・ロザーノが人の背骨や肋骨、アキレス腱などからインスピレーションを得てデザインした傑作モデルのひとつ。95年に発売され一世を風靡したエア マックス 95からオリジナルディテールを踏襲し、オリーブとオレンジを配色したニューカラーでリリース。

adidas Originals
NIZZA RF

1970年代に誕生したキャンバス製シューズで、フランス南東部の観光都市ニースの名前が付けられているニッツァ。クラシックなバスケットボール・シューズがベースの隠れた定番モデルで、キャンバス素材のオールホワイトはキックスラボのみで展開。

NIKE
AIR JORDAN 1 MID BLACK

マイケルジョーダンの初シグネイチャーシューズであり、ファーストモデルとなったエアジョーダン1のミッドカットバージョンはシューホールが1つ少ない8ホールとなる。オールブラックでもレザーとスエードのコンビネーションが落ち着いた雰囲気を醸し出している。

BEAMS Original
Suede Zip Slip-on

ミリタリブーツで多く使われるセンタージップデザインをスニーカーに落とし込み、アッパーの素材には高級感のあるスエードを使用。なおかつスニーカーソールで歩きやすさも確保したアイテム。高級感と履きやすさを兼ね備えたビームスオリジナルの自信作。

New Balance
M990V4 Made in USA UNITED ARROWS Exclusive

最新モデル990v4をベースに、ナイロンメッシュとスエードのコンビネーション素材、アンティークホワイトの統一カラー、インサートにはダブルネームの刻印、シューズバッグも付属した特別仕様。メイド イン USAでのコラボレーションが実現した。

Reebok CLASSIC
CLASSIC LEATHER SHIPS Exclusive

1983年にランニングカテゴリーからリリースされ、30年経った現在でも、ガーメントレザーによる高いフィッティングと優れたグリップ性能を誇る名品。シンプルでやや丸みを帯びたクラシカルな表情が今っぽさを感じさせるスペシャルな一足で国内ではSHIPSのみでの展開。

New Balance
AM210 URBAN RESEARCH Exclusive

スケートラインから派生したAM210は、スケーターがスケートパークで遊んだあとに、デートやディナーに履いていけるドレススニーカーがコンセプト。上質なスムースレザーをパンチングロゴでよりミニマムに仕上げ、コンクリートを転写プリントしたインソールはクッション性も高い。

※Amazon Fashionで検索してください。
※実際の在庫状況、価格はサイトにてご確認ください。
※Amazon及びAmazon.co.jpはAmazon.com, Inc.又はその関連会社の商標です。

INFORMATION
Amazon Kicks
amazon.jp/kicks

 

取材を終えて
日本を代表するメガウェブショップスタッフによって語られた「ウェブショップの未来」は大変興味深い内容になった。ゾゾタウンもサービス開始から14年で1,100ショップ、6,000ブランドが集まる日本最大級のファッション通販サイトに成長し、EC 売上高ランキング日本一のアマゾンジャパンはまだ靴を売り始めて11年目で、アマゾンキックスに至ってはまだ3年しか経っていないのだ。今では当たり前だと感じているスニーカー市場も、本誌を創刊した約15年前と比べると劇的に変わっている。ブランドの数だけでなく、モデル数やカラーバリエーションを含めたインラインモデル、コラボレーションモデルや別注モデルなど、スニーカーの総数自体が膨大になっているし、スニーカーショップも増え、リアルショップだけでなく、ウェブショップも充実。パソコンで買うことに驚き、感動した時代を経て、今やスマホで気軽に買いスマホで気軽に売れる時代でもある。アマゾンキックスの藤田氏が語った「20年後は、自分で頼まなくても勝手にウェブショップからスニーカーが届く時代になっているかも」という言葉が今でも耳に焼き付いている。なぜならアマゾンキックスはすでに送料無料、最大30日間返品無料なのである。今や何足も買って、サイズ、色が気に入らなければ無料で返せる時代。スニーカー好きにとって、15年前には考えられなかった天国のような時代が到来している。
SHOES MASTER編集部

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