Photo : Kazumasa Takeuchi (STUH)
Edit & Text : Shin Kawase

New Face
“PANTHER JOGGING”
Chapter II from Resurrection
Panther is Made in Japan
Since 1964

2016年にカジュアルスニーカーブランドとして生まれ変わって復活を果たした、パンサー。日本国内のクラフトマンシップで生み出されるレトロなデザインのスニーカーコレクションは、シューズ業界でも評価され、スニーカーマーケットにおいてある一定のポジションを築いた。3年目を迎えた今、新たな第2章が始まろうとしている。新生パンサーを知るためにアドバイザリーとして参加した国井栄之氏を訪ねた。

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New Face “PANTHER JOGGING”
by Shigeyuki Kunii (mita sneakers)
Interview

2年前のパンサーアーカイブルームで
「次は自分が履きたいパンサーを」と思ったんです。

 

–––今回のプロダクトに深く携わっていると聞きましたが、復活した時からずっと関わっていますよね
はい。2015年にパンサーを復活させるという計画を相談されたのが始まりでした。ちょうどその頃は、アメリカやヨーロッパ、北欧から、ネームバリューのあるブランドが日本での展開を再開するなど、日本のマーケットに進出してきた時期だったんです。だから、「昔のシューズをそのまま復刻してパンサーを復活させるのは簡単だけど、長く継続していくことが重要なのではないか?」と話をしたんです。そしたらパンサーのスタッフが、「もう一度考え直すのでまた相談に乗ってください」と。そういうやり取りからお付き合いが始まりました。

–––復活してからではなくて、復活前からなんですね
そうなんです。復活させる前に復活させる意義とか、ブランドのフィロソフィ、パンサーの生産背景、他ブランドとの差別化など、リブランドする上での話も色々とさせてもらいました。次に実際にプロダクトのサンプルが上がれば見て、率直な意見をフィードバックしながら要所要所でキャッチボールを繰り返しました。ただ単純に僕がやりたいことを伝えてるわけじゃなくて、パンサーのやりたいことがあって、そこに対して「もっとこうしたほうがいいのでは?」と客観的にアドバイスするという関わり方でした。そうやって何度もキャッチボールを重ねた結果、最終的に納得のいく靴が出来上がったんです。完成した靴を見て素直にミタスニーカーズに置かせてもらえればと思いました。パンサーに携わる方々がすごく紳士的で、靴に対してもブランドに対しても熱い想いを感じました。なので俯瞰的な意見を求められる立場から、今度は実際に販売する立場でも関わることにしたんです。

–––今回の“PANTHER JOGGING”(パンサー ジョギング)はどんな経緯で誕生したのですか?
今回のパンサー ジョギングは、別件のミーティングで会社に伺った時、たまたまアーカイブルームにオリジナルが置いてあったんです。そのモデルに目が留まっちゃって…。本来の案件もそこそこにパンサー ジョギングの話で盛り上がってしまいました。その時初めて「次のフェーズは自分が履きたいパンサーをお願いしよう」と思ったんです。パンサーの立ち上げからフィードバックに関わらせてもらっていたので、過去の再生と現代の機能を融合した逸足、というテーマで次の構想を伝えました。

–––ニューモデル、パンサー ジョギングのコンセプトを教えてください
コンセプトとしては、ただの復刻ではないこと。シルエットはオリジナルを保ちながらも、現代版の機能性を持ち合わせたパンサーです。今までパンサーが機能的なことを語れるのって、実際にはインソール位しかなかったんです。その他にも縫製の技術の高さなど胸を張って謳える部分はあったんですけど。今作は、オリジナルを彷彿とさせる時代のデザインや醸し出す雰囲気を可能な限り表現しつつ、ツーリングに関しては軽量性とクッション性を高次元で融合させて、ライフスタイルの中で実用的に作用する機能を兼ね備えたつもりです。テクニカルな素材を駆使しながら現代版の構造で作り直しています。

“PANTHER JOGGING” (1981)

“PANTHER JOGGING” (2019)

–––一番こだわっている所はどこですか?
ソールユニットに尽きますね。アッパーのパターンは往年のシルエットを再現するために、3回以上やり直して出来上がっているんですけど、ソールに関しては、本当に何回もミーティングを重ねました。最終的にはソールの設計にまで直しを入れて、自分でもウエアリングテストでずっと履いて試して…。当時のソールの形状であるE.V.A.の削り出しから発泡の成型に変更しながらも、着地、接地時の安定性を高めてくれるハの字型のソール形状を保持しました。当時の機能デザインを生かしながら、素材や製法に関しては現代的な方法でリノベートすることで、見た目はすごいクラシカルだけど、履き心地はコンフォータブルになりました。アップデートするからって見た目が別物になり過ぎちゃうのは、個人的にあまり好きじゃないけど、履き心地だけはいいに越したことはないので。企画から完成まで2年位かかっています。

–––構想から2年かけて出来上がったパンサー ジョギングをどういう人に履いてほしいですか?
今回のパンサーは、タウンユースにおいて実用的な機能は充分に備わっているので、パンサーを知らなかった世代にも履いてもらいたいですし、知ってる世代には、パンサーがこういうことやれるんだねって思ってもらえたら嬉しいです。自分も履きたいと思って作っているので、まだパンサーを履いたことがない、あらゆる世代の人に1度試してみて欲しいっていう気持ちは強いです。あとはファッションコンシャスな人にもウンチク抜きで履いて欲しいですね。作り手のみんなが驚くようなスタイリングで履きこなして頂けたら、冥利に尽きます。

ようやく自分自身が履きたいパンサーが
リリースになるなと思ってます

 

–––裏テーマとして「自分が履きたいパンサー」がパンサー ジョギングだと聞きましたが本当ですか?
本当です。言い方としては合ってるのか分からないですけど、ようやく自分自身が履きたいパンサーがリリースになるなと思ってます。今までリリースしたモデルも、もちろん履いてましたけど着用頻度は他のシューズに比べるとやっぱり低かったりしたので。どうしてもスタイル的に、僕のスタイルだとちょっと難しい部分もあった。でも、今回のモデルに関しては、シルエット的にも機能的にもデイリーユースで履ける一足になりました。

–––構想から2年かけて出来上がったパンサー ジョギングの自分的な満足度は?
100パーセントと言いたいんですけど、まだまだパンサーには伸びしろがあるので、あえて80パーセントにしておきます。

–––ということは、その20パーセントを埋めるモデルが秋冬にも?
はい。またこれとは違ったフィッティングシステムを使っているモデルがあって。僕が子供の頃に見たようなフィッティングの構造っていうか、システムを使っていて、これがいいんです。

–––もしかしてベルクロですか?
ベルクロです。多分、海外のブランドとかだと、単純にマジックテープだけなんですけど。そのフィッティングのシステムの作り方にすごく日本らしさが詰まっていて。パンサーのアーカイブルームで見て衝撃を受けたのが実は、秋冬モデルとして展開する予定のベルクロだったんです。ボリュームがあるので、季節的には秋口にかけて足元に持ってきたほうがスタイリングにフィットするだろうということで、リリースのタイミングを逆に遅らせた感じです。春にも期待して欲しいけど、また秋冬にも期待して欲しいですね。

–––最後に国井さんが思うパンサーの魅力って何ですか?
世界的に効率化が求められる世の中で、その逆を行ってるとこですかね。非効率が故の賜物っていうか。今回の商品に関しても、アッパーの縫製やソールユニットとの圧着など日本の工場で行なっているんです。日本ブランドとしてのモノ作りにおいてクオリティにブレがない。例えば、アッパーに使われているマテリアルの供給元や、生産全てを他のアジアに移管してコストを下げ、利益率を上げようとか。パンサーのスタッフは、そんなことは一切除外して、国内の工場を行ったり来たりして、ひとつひとつ全部納得いくまでやっているんです。例えば、アッパーの細かいパターンを何ミリ変更したからって極端な話、売り上げに大きく左右するかっていうと、しないと思うんですよね。でも、作っているスタッフは細かい所までこだわって一生懸命やっている。極めて非効率なブランドなんですけど、靴に血が通っているんです。そこが魅力なのだと思います。

 

Panther
2019 Spring / Summer Collection

“PANTHER JOGGING”
Made in Japan
WHITE, COBALT BLUE
¥16,000+tax

“PANTHER JOGGING”
Made in Japan
BLACK
¥16,000+tax

“PANTHER JOGGING”
Made in Japan
YELLOW
¥16,000+tax

“PANTHER JOGGING”
Made in Japan
PURPLE
¥16,000+tax

About PANTHER JOGGING
日本のクラフトマンシップを最大限に活用したレトロデザインのスニーカーコレクションで、国内外のスニーカーフリークから高い評価を得ているパンサー。その品質は、現在も日本国内で生産し、上質なマテリアルを使用することで、シューズのクオリティーに一家言ある人々も納得させるレベルにある。そんなパンサーに新たなプロダクトラインが登場する。それがパンサー ジョギング。1979年から‘80年代にかけて展開されていたジョギングシューズのアッパーデザインを忠実に再現しつつ、ソールユニットにボリュームを持たせたアレンジモデルである。5つのカラーバリエーションが販売予定となっており、コバルトブルーは当時のカラーリングを復刻。ホワイト、ブラック、パープル、イエローの4色を新たに追加している。パンサー ジョギングの細部のスペックをチェックすると、アウトソールは当時のパターンを継承したオンロードとオフロードの両方で高いグリップを確保するタイプを採用。インソールにはオーソライトを使用し、ミッドソールは現代の技術を用いてクッション性を向上。メッシュライニングには制菌、吸水発散機能のあるタイプを使用するなど、単なる復刻ではなく、履き心地がオリジナルよりも大きくアップしている点が嬉しい。それと従来のパンサーのラインアップでは、ソールユニットが薄いモデルが多く、「もう少しボリューミーなタイプがあれば…」というスニーカーフリークも多かったので、今回リリースされるパンサー ジョギングは、そんなユーザーにも朗報といえるだろう。
解説:南井正弘

 

Regular Color
Panther Dera (1968) &
Panther GT Deluxe (1970)
Made in Japan

About Panther Dera (1968)
1968年に誕生した、アッパーのナイロン素材とサイドパネルの補強パーツが象徴的なパンサーのアイコンモデル。パンサー GT デラックスと同様の機能がある上に、軽量性や耐摩耗性に優れたスポンジソールを採用したトレーニングシューズの名作。パンサーのヘリテージモデルに対する強い想いを職人の高い技術が具現化し、新たな価値を創造している。
各13,000円+税

Panther Dera (1968)
Made in Japan
Regular Color : White / White , Navy / White

Panther Dera (1968)
Made in Japan
Regular Color : Red / White , Cobalt / White

 

About Panther GT Deluxe (1970)
染色加工を施したスエードをアッパー素材に採用し、サイドパネルの補強パーツが象徴的なパンサーのアイコンモデル。ドッグイヤーと呼ばれるヒールタブを設置してアキレス腱を保護し、スムーズな足入れをサポート。オリジナルモデルの普遍的なディテールを可能な限り忠実に再現しながら、インソールにオーソライト社製のフットベッドを使用し、コンフォート性・通気性・防臭性の全てに優れた一足。当時を懐かしむファンに加えて、昔のパンサーを知らない若い世代からも支持を集めている。
各15,000円+税

Panther GT Deluxe (1970)
Made in Japan
Regular Color : Black / Black , Gary / White , Navy / White

Panther GT Deluxe (1970)
Made in Japan
Regular Color : Green , Beige / Brown

INFORMATION
世界長ユニオン
0120-419-265
https://secu.tokyo/

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