Photo : Masataka Nakada (STUH)
Interviewer& Edit & Text : Shin Kawase

Evolving WAVE MUJIN TL
Mizuno Sportstyle × nonnative
“WAVE MUJIN TL MID GTX nonnative”

衝撃的だったミズノのスニーカーマーケットへの参入から丸5年。今ではスニーカーファンにとって、なくてはならない存在として君臨しているミズノスポーツスタイル。そのミズノスポーツスタイルを代表する人気モデル、ウエーブムジン TLのスペシャルモデルが届いた。一見するとウエーブムジン TLには見えないプロダクトは、なんとノンネイティブとの共作モデル。進化し続けるウエーブムジン TLを生み出した2人を取材した。

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Takayuki Fujii (nonnative)
Takeshi Saito (Mizuno Sportstyle)
Interview

Takayuki Fujii (nonnative)
Takeshi Saito (Mizuno Sportstyle)

藤井隆行 / ノンネイティブ デザイナー
武蔵野美術大学中退後、いくつかのショップ販売員を経て、2001年にノンネイティブのデザイナーに就任。「洋服とは、人生を投影するための道具である。」という哲学のもと、着る人の個性を大切にし、機能素材をファッションの領域に取り入れたリアルクローズが支持を集め、名だたるスポーツブランドとのコラボレーションモデルを数多く手掛け、グローバルに発信し続けている。

齊藤健史 / ミズノ株式会社 グローバルフットウエアプロダクト本部
大学卒業後に一般企業に入社。その後、その企業を退社してシューズの専門学校で2年間靴作りを学んだ後、外資系スポーツブランドに入社し10年在籍。その経験を生かして、2017年にミズノに入社。ランニングシューズを担当しながら、ミズノのニューレーベル“rhrn”(アールエイチアールエヌ)を立ち上げる。現在は、KAZOKU、rhrn、ミズノスポーツスタイルのインラインとすべてのコラボレーションモデルを手掛けている。

Mizuno Sportstyle × nonnative
“WAVE MUJIN TL MID GTX nonnative”

–––まず今回、コラボレーションすることになったきっかけを教えてください
藤井 コラボレーションのオファーは、お話をいただいても基本的にはお断りしています。自分の気持ちが本当に入らないと、どうしてもいい形になっていかないので。だからコラボレーションする際にはいつも自分からお声がけして、僕自身が本当にやりたいと思ったものだけやらせてもらっています。ミズノさんの場合は僕自身が、ゴアテックスの企画としてミズノさんと一緒にやりたいと思いました。僕のアシスタントスタッフからミズノに先輩がいると聞いて、一度お会いしてみたいと思ったのがきっかけになりますね。

–––それでミズノの齊藤さんに会うことになったんですね
藤井 一度お話ししてみたら、ミズノはコラボレーションのアレンジできる範囲が広くて、他メーカーだとおそらく難しい範囲まで対応が可能だと感じました。ただ、結果的にはアレンジできる範囲が広過ぎて逆に時間がかかったっていう(笑)。今回は、単なるコラボレーションモデルではなく、もう少し開発の域まで踏み込みました。

–––コラボレーションモデルのテーマ、コンセプトを教えてください
藤井 基になったのは、すべてハンドメイドで創り出されるイタリアの革靴ブランド、グイディのブーツです。もう10年前ぐらいになりますが、海外出張ではよく履いていまして。革靴だけどすごくフィットして多少の雨でも大丈夫なんです。それでコラボレーションモデルは、履きやすくて脱ぎやすい、靴下のような仕様で、こういうテンションのスニーカーを作ったらどうだろうって。

写真左が藤井氏の私物のイタリアの革靴ブランド、GUIDI(グイディ)のブーツ。

–––そこから開発が始まっていったんですね
齊藤 はい。ブーツのようだけど履きやすく、靴下の仕様だけど脱げにくいっていうのは、そもそもそれって相反することですよね。ジップを付ければ簡単な話なんですけど、それだとスニーカーではなくブーツになってしまうし、藤井さんのイメージからも離れてしまう。グイディをイメージソースのひとつとすると、グイディ自体のフォルムの綺麗さや、パンツとの相性も当然求められるし、本当に試行錯誤でした。

–––その試行錯誤があったから時間がかかったんですね
藤井 ただのコラボレーションじゃなくて、こちらもミズノのスタッフになったつもりで頭を切り替えて新しい構造を開発する意識でした。特に履き口の大きさにはこだわって履きやすくて脱ぎやすい、靴下のような仕様になるまで、ストレッチが効いたゴアテックスを使って何度も何度もテストをしました。今回改めてミズノの機能面がプロフェッショナル向けに特化されていて、他スポーツブランドとの違いを実感しました。

–––サイド部分にランバートロゴが入っていませんね
齊藤 はい。藤井さんのディレクションのもと、ロゴをも削ぎ落とすことで目的がより際立ったと思います。でも実は、藤井さんは最後まで「サイド部分のランバードのマークは残してもいい」と言ってくれていたんですけど、そこをあえて入れませんでした。ミズノのスニーカーはスニーカーヘッズには徐々に認知して頂き始めていますが、ファッションシーンの先端にミズノを立たせることも重要なミッションで、それを可能にできるのがノンネイティブさんなんだと思うんです。
藤井 サイド部分にランバードのマークが無いデザインは、齊藤さんがこちらの意図を汲み取ってくれたおかげです。その結果、ノンネイティブらしく突き抜けることができました。

–––今、あらためて藤井さんが考える「ミズノの魅力」とは何でしょうか?
藤井 ソールを見ても感じられるようにやっぱりテクノロジーですね。車に例えるとポルシェでもランドローバーでもない。日本の自動車メーカーのように究極にテクノロジーを追求している。だから今回のコラボレーションは、ファッション要素の強さではなく、トレイルランニングの機能性を突き詰めようと思いました。そして個人的に感じたことですが、ミズノ社内のプロジェクト体制がしっかりしていて、ダイレクトかつスピーディーに提案が共有されているんです。外資系メーカーだと本国のアプルーバルやそこに絡む何人ものリソースで時間や手間がものすごくかかる。今回のコラボレーションでもたくさんのスタッフが関わっていたと思いますが、ものすごくスムーズで早かった。これは日本ブランド、ミズノの強みであり、魅力でしたね。

–––どこで購入できますか?
齊藤 カバーコードさん、ベンダーさん、ルーツトゥブランチズさん、キストーキョーさんとミズノの直営店で購入していただけます。全店とも、4月15日に一斉発売予定になります。
藤井 キスさんは2017年にコラボレーションしたこともあり、東京店が出来て、置いてもらえないかとキスの俣野さんに相談しました。ロニーも以前から知っていたので、見せたら、是非ってことで取り扱いが決まりました。

–––最後に読者にメッセージをお願いします
齊藤 トレイルシューズでカットも高いのでルックスは秋冬にも見えますが、透湿性がしっかりあるので、よほどの暑さでない限り一年中通して履けます。短パンにも合いますし、防水性もトラクションもしっかりあるので野外フェスなど足場の悪い場面でも問題ないです。一足あれば重宝すること間違いなしです。ぜひ!
藤井 服もそうなんですけど、それを身につけてどこに行くか、何をするかっていうことのほうが大事だと思うんです。履きたい靴って、履き心地が良いだけじゃないですよね。持っている服に合うかとか、履くだけで気持ちが上がるとか、何か履きたい理由がないと履かない。そういう意味で、年中履けるし、どこにでも行けるし、オールラウンドに活躍することは間違い無いと思うので、直感的にこの靴が気になったらぜひ手に取ってみてください。

企画から約4年。試行錯誤を繰り返してようやく完成したノンネイティブとのコラボレーションモデル。写真右下は、ベースモデルのウエーブムジン TL。藤井氏が「開発の域まで踏み込んだ」と語っていた意味が分かるほど劇的な変貌を遂げていた。※写真のモデルは開発過程のサンプルであり、発売の予定はありません

Mizuno Sportstyle × nonnative
“WAVE MUJIN TL MID GTX nonnative”

¥29,700

取材協力:
ミズノ株式会社
nonnative

COVERCHORD
https://coverchord.com/

vendor
03-6452-3072
http://vendor.co.jp

ROOTS to BRANCHES(レディースサイズのみ)
03-5728-5690
https://roots-to-branches.jp

Kith Tokyo
https://kithtokyo.com/

ミズノお客様相談センター
0120-320-799
www.mizuno.jp/mizuno1906/

 

Mizuno Sportstyle
2023 Spring / Summer
Best Selection

ミズノを代表するインラインモデルの新作と
コラボレーションモデルが続々登場。

本誌の特集でもお伝えした、ノンネイティブとのコラボレーションモデルが4月15日にリリースされるミズノスポーツスタイル。ミズノのもうひとつの顔であるウエーブプロフェシーからも新作が発表された。それは今まで見たこともないサンダルのようなウエーブプロフェシーだった。その詳細を取材するため、ミズノの企画マーケティング部を訪ねた。

WAVE PROPHECY STRAP
¥18,700(4月下旬発売予定)

About Mizuno Sportstyle New Models
Hiroki Ogawa (Mizuno)
Interview

小川博樹 / ミズノスポーツスタイル 企画マーケティング部

–––最新作となるウエーブプロフェシーについて教えてください
最新作は、サンダルタイプでありながら、インフィニティ ウエーブのソールテクノロジーを体感してもらえるウエーブプロフェシーです。かなり前からサンダルタイプのウエーブプロフェシーを作ってほしい、という要望がありました。その要望に対して、ミズノのユニークポイントを最大限活用して開発し続けて、ようやくプロダクトとして完成したのがウエーブプロフェシー ストラップになります。

最大の特徴は、ミズノの陸上スプリントスパイクのフィッティング理論に基づいてポイントを締め上げ、ワンアクションでフィッティングできるストラップ構造のアッパーです。さらにフィッティングを高めるアジャストテープを備えることで、微調整も出来る設計になっています。

–––インラインモデルのニューモデルについても教えてください
昨年リリースされたウエーブプロフェシー ベータから、今季はブラックをニューカラーとして提案しています。最大の特徴は、ミズノが独自に開発した空洞のあるインフィニティ構造のプレートを採用することで、ミッドソールがへたる原因を最小限に抑えたウエーブプロフェシーソールです。アッパーは足を包み込むような伸縮性の高いメッシュ素材で、かかとのヒールカウンターでさらにホールド感を高めた一足になっています。独特のクッション性、そして“機能美”を備えたミズノのアイコン的なプロダクトになります。

WAVE PROPHECY β
¥27,500

もうひとつのミズノの顔であるウエーブムジン TLのゴアテックスバージョンも新色がリリースされています。ウエーブムジンは、パフォーマンスのトレイルランニングシューズのモデル名で、ウエーブムジン TL は、2007年当時は商品化されなかったデザイン画を基に作成したアッパーに、ムジンのソールを組み合わせたハイブリッドモデルになります。 アウトソールは、グローバルなタイヤブランドとして知名度の高いフランスのミシュラン製ラバーソールを使用した本格的な仕様です。さらに、防水性と透湿性に優れたゴアテックス素材を採用することで、機能性を付加した提案になっています。

WAVE MUJIN TL GTX
¥20,900

–––ウエーブライダーの新作も発表されましたね
はい。最新作のウエーブライダー ベータになります。ウエーブライダーとは、1997年にランニングシューズとしてウエーブライダー 1が誕生して、現在はウエーブライダー 26までリリースされているミズノを代表するランニングシューズです。

WAVE RIDER β
¥19,800

ウエーブライダー ベータは、アッパーにミズノがこれまで創ってきたアーカイブモデルのストーリーテリングを活かして、各パーツの随所に落とし込み、ミズノが開発したミズノエナジーのソールユニットを組み合わせたモデルになります。

最新のソールユニットは、ウエーブライダー史上最高のクッション性を備え、反発性を更に進化させています。新形状のウエーブプレートにより、更なる安定性を生み出し、接地から蹴り出しまでスムーズな体重移動と足運びをサポートする一足となっています。

–––コラボレーションモデルについても教えてください
コラボレーションモデルは、すべてウエーブライダー ベータをベースモデルにしています。まず、ビームスさんとのコラボレーションモデルは、レザーカジュアルシューズをスニーカーとして提案できるよう、シンプルに作り上げた一足です。アッパーに編み込んだヘンプ麻とナチュラルスエードのコンビネーション、シューレースもナチュラルコットンで、随所に自然素材を使用しています。

BEAMS × Mizuno
WAVE RIDER β

¥24,200(4月1日発売予定)

次が第3弾となるグラフペーパーさんとのコラボレーションモデル。オランダのデ・ステイルを代表する有名な建築家、ヘリット・トーマス・リートフェルトのシュローダー邸(世界遺産にも登録)をデザインモチーフにしたグラフペーパーさんならではの一足になります。

Graphpaper × Mizuno
WAVE RIDER β

¥30,800(4月8日発売予定)

最後はパターンニングや素材使いに定評のあるファッションブランド、ディガウェルさんとの共作モデルです。ミズノのトレッキングシューズ(アーカイブモデル)をモチーフにして、過去のアイデンティティを入れながら、2000年代のトレッキングブーツの要素を追加した一足です。特徴としては、全体的なカラーリングとサイド部分に中足部をサポートするバーを2本付け足して、ランバートロゴを配し、シューレースのひとつにDリングを加えた盛り沢山の内容になっています。

DIGAWEL × Mizuno
WAVE RIDER β

¥30,800(4月22日発売予定)

INFORMATION
ミズノお客様相談センター
0120-320-799
www.mizuno.jp/mizuno1906/

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