Photo : Osamu Matsuo
Text & Edit : Issey Enomoto

JAPANESE
BRANDS #02
MIZUNO

Part 1_MIZUNO ENGINE
ミタスニーカーズ国井栄之と、ミズノの
イノベーション創出の拠点「ミズノエンジン」へ。

「ウエーブライダー」や「ウエーブプロフェシー」シリーズのヒットにより、 国内外のスニーカーシーンのメインストリームへと躍り出たミズノ。その現在と過去、そして未来を探るべく、 同社と所縁の深い『ミタスニーカーズ』の国井栄之が大阪の本社を訪ねた。

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国井栄之/ミタスニーカーズ クリエイティブディレクター
1976年生まれ。東京・上野のスニーカーショップ『ミタスニーカーズ』のディレクションを手掛けるほか、ジェンダーニュートラルをコンセプトに掲げるベイクルーズのフットウェア専門の新業態『ヘリンボーン』に外部ディレクターとして携わる。

「はかる」「つくる」「ためす」を1ヶ所に集約。

『ミタスニーカーズ』の国井栄之と訪れたのは、大阪市住之江区のミズノ本社に隣接する「ミズノエンジン」。2022年11月に誕生したこの施設は、商品開発プロセスにおける「はかる」「つくる」「ためす」をすべて実践できる、ミズノの新しいイノベーションセンターだ。
スポーツ用具の研究開発には、データを「はかる」ための計測機やサーフェス、試作品や素材を「つくる」ための加工機や工具、つくった試作品を「ためす」ための環境や器具など、様々な機器や設備が欠かせない。それらを1ヶ所に集約することで、研究開発のサイクルのスピードアップを図り、スポーツによる社会イノベーションの創出へとつなげることが、ミズノがこの施設を設立した狙いである。

ミズノの新しいイノベーションセンター「ミズノエンジン」。施設内には90mの陸上トラックが設けられている。足やシューズについているのはモーションキャプチャー用のマーカー。シューズはエリートランナー向けの「ウエーブリベリオンプロ 2」。

「ミズノエンジン」の建物にビルトインされたフォースプレート内蔵型トレッドミルによる動作解析。床下には各種センサーが埋め込まれ、様々なデータを測定可能。

データの測定や解析は専用の機器やコンピュータを駆使して行われる。ランニング、野球、卓球、ゴルフなど、ミズノは幅広いスポーツをカバーするため、研究開発の対象となる用具も多岐にわたる。

「ミズノエンジン」(左手前)の場所は、ミズノ本社ビル(右奥)の真横。この近さが部署を超えた交流を生み、研究開発のサイクルを加速させる。

「ミズノエンジン」の「エンジン」は、「成長の原動力」としてのニュアンスに加え、チームワークの象徴である「円陣」の意味を含むダブルミーニング。研究開発担当の一部の社員だけでなく、全社員が一丸となって社会イノベーションの創出に取り組んでいこうという意思がその名前には込められている。

施設内にはクライミングウォールも。前のベンチはちょっとしたミーティングスペースに。床の案内表示にもご注目。矢印のデザインは、ミズノのブランドロゴ「ランバード」から着想を得ている。

様々な部署の人が行き交う中2階のスポーツバーエリアは自由闊達な雰囲気。社員のリフレッシュやミーティングなどに活用されている。

メインエントランス横の階段スペースはスタジアムを彷彿とさせる開放的な空間。気軽にコミュニケーションを取れる場も設けられている。

人と人との交流を促し、
イノベーションの創出につなげる。

「ミズノエンジン」のプロジェクトを率いた佐藤夏樹の案内のもと、施設内を見学させてもらう。各種実験施設の充実ぶりや、働く人たちの自由闊達な雰囲気もさることながら、国井がなによりも驚いたのは、施設が内外に開かれた風通しの良さ。すなわち「オープンであること」だ。
「これまで数々のスポーツ企業の本社を訪れてきましたが、機密情報のかたまりである研究開発施設をここまでオープンにしているのは、見たことがありません。それはもしかしたら、自分たちがやっていることへの自信の表れなのかもしれませんね。味に自信のあるシェフが、キッチンをオープンにしているように」
そんな国井の言葉に、佐藤は次のように応える。

ミズノ グローバル研究開発部の佐藤夏樹。1997年ミズノ入社。「ウエーブライダー」や「ウエーブプロフェシー」シリーズなど数々のシューズの開発に携わってきたほか、「ミズノエンジン」のコアメンバーとしてプロジェクトを率いた。

佐藤 「ミズノエンジンを訪れた社外の方は、ほぼ例外なく驚かれます。『ここまで見せちゃっていいの?』と。はい、見せちゃっていいんです(笑)。可能な限りオープンにしているのは、自信の表れというよりも、風通しを良くすることで社内外の様々な人との交流を促すため。それによって化学反応を起こし、イノベーションの創出へとつなげることが狙いです。新しいものを生み出すには、なにかとなにかが掛け合わさることが不可欠。いろんな専門性を持っている人たちが混ざり合うことで、自分たちでは思いつかないような新しい発想が生まれるはず。私たちはそんな信念のもと、この施設をできるだけオープンにしているんです」

※本記事は、『SHOES MASTER』Vol.41(2024年3月29日発行)の特集記事を再編集したものです。

取材協力:ミズノ株式会社

INFORMATION
ミズノお客様相談センター
0120-320-799
jpn.mizuno.com/mizuno1906

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