Photo : Kazumasa Takeuchi(STUH)
Edit & Text : Shin Kawase

The World’s Smallest Shoe Factory of KEEN
UNEEKBOT FACTORY STORE

~UNEEK製造ロボット、UNEEKBOTが登場~
2017年7月18日。キーンの創業者であるローリー・ファーストの長男、ローリー・ファースト Jr.が来日した。来日の目的は、ユニーク製造ロボット「ユニークボット」を設置した世界最小級のシューズ工場を原宿に開業するため。ユニークの生みの親である彼とブランドマネージャー マイケル・ミンターに「ユニークボット」の開発秘話とユニークの未来について取材した。

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実はユニークを考え始めた6年前から
ロボットを使ってユニークを作りたいと思っていた。
6年かかってこのロボットを完成させることができた。

ローリー・ファースト Jr.(ユニークの生みの親)

The man who made the UNNEK
Rory Fuerst Jr.
Interview

–なぜ、「ユニークボット」を作ろうと思ったのですか?
実はユニークを考え始めた6年前からロボットを使ってユニークを作りたいと思っていました。なぜならロボットは、正確に同じ動きを繰り返し行うことに非常に長けている。ユニークの場合、正確に同じループを作ることが必要なので生産する上でロボットがもっとも適している。しかし、完成するまですごく時間が掛かってしまいましたが。

–「ユニークボット」を開発するにあたって一番大変だったことを教えてください。
ロボットのこと以前に、ユニークというシューズの開発自体とてもクレイジーだと思われていたので、ロボットのアイディアは誰にも言いませんでした。アイディアを考えてから6年かかってやっと完成しました。大変だったのは、まず正確な動きを行うロボットには、使われる素材もすべて均一で正確である必要があったことです。素材・パーツに均一性を持たせるのは、品質管理の上で難しい部分でした。ロボットを使って柔らかい素材を加工するという技術は難しく、ロボットと行動をうまく組み合わせて作ることがとても大変です。もうひとつは固定の問題で、ロボットの適切な位置に、ソールなどの靴の素材を固定する(ゼロポイントと呼ばれる部分)ことも非常に大変でした。すべてが困難の連続でしたが、何よりも大変だったのはあきらめない気持ちをキープしていくこと。実際に私も辞めたいと思ったことが数多くありました。自分の気持ちを折らずに続けていくことが一番大変でした。1番最初にユニークを作ったときと比べると、ユニークボットを作るのはその5倍ぐらい大変だった。実は昨日も東京はとても暑くて、熱の問題でロボットが動かなくなってしまったんです。もう嫌になってしまったけれども、深夜の2時までジャパンチームも一緒になって直して動くようになりました。

私がユニークを通して実現したいことは
世界の見方を変えると言うこと。

ローリー・ファースト Jr.(ユニークの生みの親)

–日本でユニークが人気なことについてどう思っていますか?
まず非常に素晴らしいことだと思っています。日本の文化も人々も大好きですし日本のキーンのチームもよくやってくれています。いつも日本に来るとどれだけ日本のことが好きかと言っているんですけれども、ほんとに日本が大好きでユニークが受け入れられてとにかく嬉しいです。

–日本で受け入れられている理由は何だと思いますか?
理由は2つがあると思います。まず個人的な意見ですけれども、新しい文化を受け入れることに関して日本の方々はとても寛容なのだと思います。アメリカで発表した時には「ひどい靴だ」とか、「なんて馬鹿馬鹿しい物を作ったんだ」などとさんざん言われました。もうひとつの理由は、キーン・ジャパンのスタッフが非常に素晴らしいこと。私は日本のキーンチームを家族のように思っています。なぜなら、私やアメリカのチームがクレイジーなことを思いつくと、日本のチームは同じように受け入れてくれるのです。そしてさらにそのクレージーさを大きなものにしてくれる。毎年日本に来ると素晴らしいイベントを開催してくれて、このチームと一緒に働けることをとても嬉しく思っていますし、本当に感謝しています。

–SHOES MASTER読者にメッセージをお願いします。
ユニークに興味を持ってくださった方へ。私がユニークを通して実現したいことは世界の見方を変えると言うことです。みなさんにも枠にとらわれず世界を違った見方で見るようにして欲しいし、大きな夢を見て欲しいと思います。私も6年かかってこのロボットを完成させることができました。私が持っている一番のスキルはあきらめないというところかも知れません。だから自分が信じていることのためなら実現に向けてあきらめないで進んで夢を実現させて欲しいと思います。
 
P.S.
SHOES MASTERスタッフにも一言。アメリカにはこういう雑誌はなくて、いつもキーンジャパンのスタッフがアメリカに来るときに持ってきてくれて僕も集めています。本当に素晴らしい雑誌だと思っています。実は、キーンの特集ページだけを集めて父の誕生日にサプライズでプレゼントしようと考えています。これからもよろしく。

ユニークのメッセージは、自分の個性を表現すること。
だから、ユニークを履いている人は、
自分の個性を表現することを恐れていない人。

マイケル・ミンター(キーン ブランド マーケティング)

Michael Minter
(Brand marketing VP)
Interview

–「UNEEKBOT FACTORY STORE」を東京・原宿に開業した理由を教えてください。
ユニークは日本でとても成功していて、日本の消費者はユニークのことを良く受け入れてくれています。小売りという点では世界一と言える場所だと思いますし、キーンガラージ(直営店)も隣にあるのでここが完璧な場所なのではないかと思い開業しました。

–人気がある理由(日本で)は、どこにあると考えていますか?
日本の消費者はとてもお洒落で世界中のファション関係者が注目しています。ユニークは、すごく気に入るか大嫌いか、好みが極端にはっきり分かれる靴です。日本には個性が強いスタイリングを楽しんでいる人が多いからユニークは受け入れられた。個性的で独自なスタイルを持っている人が多い日本だからこそ、ユニークは支持されていると思っています。

–「ユニークボット」のプロモーションムービーで一番伝えたかったことは何ですか?
ユニークのメッセージは、自分の個性を表現すること。ユニークは、従来のデザインにはない新しい靴だと私たちは考えています。だから、ユニークを履いている人は、自分の個性を表現することを恐れていない人です。それは、年齢や性別に関係なく。プロモーションムービーを観て、自分も自己表現をしたいと思って頂けたら嬉しいです。

–キーンブランドの中でユニークとは、どんな存在なのでしょうか。
ユニークが初めて履くキーンという場合が多い。だから、いろんな新しいお客様に語りかけるチャンスをくれる存在ですね。ユニークをきっかけにキーンを知ってもらうと言う「トロイの木馬」みたいな役割を果たしてくれています。

–今後、ユニークをどのように育てたいと思っていますか?
ユニークは今後も成長し続けると思っています。今後も色々なモデルを開発して紹介していきたい。また、ユニークが持つ特色として、商品だけでなく生産工程が魅力的で重要だと考えています。シューズ業界に対して「生産工程を再定義している役割」を担っていると思っているのでこれからも続けていきたいと思っています。

–SHOES MASTER読者にメッセージをお願いします。
キーンは家族経営のプライベートな企業で、「価値」をとても大切にしているブランドです。自分たちの価値を尊重しながら作られた靴がユニークです。ユニークは自分自身を自己表現する方法でもありますが、環境にも配慮して生産していますので安心して履いて頂けます。まだ履いたことがない方はぜひ一度試して欲しいです。

INFORMATION
KEEN JAPAN
03-6416-4808
global.keenfootwear.com

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