Photo : Soma Doi (STUH)
Interviewer & Edit & Text : Shin Kawase

Mizuno Sportstyle
Evolving WAVE PROPHECY
New Model “WAVE PROPHECY MOC”

今年4月にノンネイティブとの共作モデル、ウエーブ ムジンTLがリリースされると、瞬く間にソールドアウトし、スニーカーマーケットのみならず、ファッション業界の話題もさらったミズノスポーツスタイル。あれから約半年、今度はウエーブプロフェシーのニューモデルが編集部に届いた。近年のウエーブプロフェシーとは一線を画す新作は、靴業界の重鎮、小林節正氏との縁から生まれた一足だった。

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Setsumasa Kobayashi (…..RESEARCH)
Takeshi Saito (Mizuno Sportstyle)
Interview

Mizuno Sportstyle
New Model
“WAVE PROPHECY MOC”

小林節正 / . . . . . リサーチ代表
1994年スタートのファッションブランド「ジェネラルリサーチ」を経て、2006年からは「マウンテンリサーチ」を軸に据える「. . . . .リサーチ」を主催。高校卒業後、靴デザイナーだった父親の影響を受け、イタリアで靴職人として修行を積む。帰国後はフリーランスとして多くの東コレブランドの靴製作に関わった後、1990年にはミズノからのオファーで雑誌『Tarzan』とのコラボレーションシューズを製作し、グッドデザイン賞を受賞。その後もミズノとの取り組みは継続し、2007年から「ミズノ インフィニティモック」プロジェクトを始動。2017年を機にミズノとの契約は終了したが、2023年のウエーブプロフェシーモックを機に個人的に齊藤氏の監修を務めている。

齊藤健史 / ミズノ株式会社 グローバルフットウエアプロダクト本部
大学卒業後に一般企業に入社。その後、その企業を退社してシューズの専門学校で2年間靴作りを学んだ後、外資系スポーツブランドに入社し10年在籍。その経験を生かして、2017年にミズノに入社。ランニングシューズを担当しながら、ミズノのニューレーベル“rhrn”(アールエイチアールエヌ)を立ち上げる。現在は、KAZOKU、rhrn、ミズノスポーツスタイルのインラインとすべてのコラボレーションモデルを手掛けている。

Setsumasa Kobayashi (…..RESEARCH)
Takeshi Saito (Mizuno Sportstyle)
Interview

リリースに至るまでの経緯

–––リリースすることになったきっかけを教えてください
齊藤 インフィニティモックに関しては、ずっと市場からのニーズがあって、タイミングや出し方について社内で何度も模索してきました。その中で、小林さんと取り組んできた当時のモデルのリバイバルではなく、今のミズノスポーツスタイルが持つ“トラディション&イノベーション”(伝統と革新)を作り出し、表現する必要があると考えました。コラボレーションではなく、社内製(インラインモデル)として。この企画を進めたいと決意した際に真っ先に小林さんへご相談させていただきました。

–––それで齊藤さんから小林さんに連絡があったのですね
小林 そうです。僕がやっていたインフィニティモックの続編を齊藤くんがやりたいと。「しっかりと責任を持ってやりますので許可していただけませんか」って。義理堅いというか信義に厚いんだよね、齊藤くんは(笑)。組み立て方としては一緒だけど、今回のウエーブプロフェシーモックは、まったく違うものだからそこまで報告してくれなくても大丈夫だよとは言ったんだけど…。彼は絶対に筋を通すんですよ(笑)。

–––齊藤さんが考える「小林さんが作る靴の魅力」とは何でしょうか?
齊藤 小林さんが手掛けたインフィニティモックがリリースされた2012年当時、私はミズノに入社していなかったので、小林さんが提出された企画書を当時の担当者から見せてもらったんです。そこには驚くほどストラテジック(戦略的)かつ端的に記載された「ファッション傾向」「購買志向」「生活志向」の軸にそって構築された思考的フローがあって、その企画書通りに具現化されていたことに驚きました。プリミティブ(根源)なものと、テクニカルなものの融合がテーマでした。小林さんが作られるものには、知識やカルチャーに精通したクリエーションがあり、普遍的なものに革新的なものを取り入れ、それが履き心地、実用性に特化したものになっています。そして何よりも劣化しない。ずっと新鮮というところです。私のミズノ入社が決まった時、中目黒のジェネラルストアで、改めて購入したのがインフィニティリングモックでした。数年の時を経て、まさかこのような場で小林さんとこのような形でお話しできるとは、夢にも思わなかったです。余談ですが、今日穿いている革パンも1996年のジェネラルリサーチです。26年前のものですが、まだこうしてバリバリ穿いています。つまり何が言いたいかというと普遍的なものに革新的なものを取り入れる小林さんのクリエーションは時代や時を超越して魅力が保たれる、ということです。

小林氏が手掛けたインフィニティモックシリーズ。写真左は齊藤氏がミズノ入社が決まった時に購入したインフィニティリングモック(本人私物)。小林氏が一番気に入っているのもこのインフィニティリングモックだそうだ。

2015年にリリースされたインフィニティモック ロー(齊藤氏私物)。すぐにソールドアウトし、齊藤氏も当時買えなかった幻の一足を探して手に入れたデットストックだそう。

ウエーブプロフェシーモックについて

–––最新作の特徴を教えてください
齊藤 モカシンシューズとしてのバランスやディテールにはこだわりたかったので、従来のモカシンシューズのアッパーデザインを踏襲させるために履き口を広くし、シューレースの位置を通常のスニーカーに比べ前足部へ配置しています。そうすることで損なわれてしまうフィット性と快適性を、スポーツスタイルを牽引してきてくれたモデルのひとつ、スカイメダルの構造をインナーアッパーとして取り入れることで改善しているんです。

さらに中足部にフィット性とサポート性を担保するためのストラップを配することで、デザイン性を保ちながらフィット感と快適性を補えるスポーツスタイルらしいアップデートを試みています。

またスペアシューレースは、インフィニティモックへのオマージュとして、当時もスペアとして付属されていたロープシューレースを付属しています。

インフィニティモックのソールは、踵部のみが穴の開いているウエーブクリエーションのソールでしたが、今回は最新のプロフェシーソールを搭載することで、さらに進化したミズノのテクノロジーから得られる履き心地を体感していただけます。

–––製作過程でこだわった所と一番大変だったことは?
齊藤 フィット感やコンフォート感はもちろんですが、モカシンとしての佇まいやディテールとその調整、それとプリミティブとテクニカルの融合、そのバランスですね。この部分はその都度、小林さんに相談させていただきました。

–––完成した新作ついて、率直な感想を聞かせてください
小林 ローカットだけどフィットがちゃんとついてくるし、履き心地は随分改善されていますね。僕が手掛けたインフィニティモックはここまでちゃんとフィット感を詰め切れてなかったので。紐のピポットの位置をだいぶ前に持ってきて隠しながら調整していて、作り方も面白いなと思います。僕が手掛けた当時は随分面白い履き心地の靴が完成したと思ったんだけど(笑)、ウエーブプロフェシーのソールは異次元ですね。すごい進化を感じました。俺と違って齊藤くんはデザイナーなので、組み合わせて楽しむ話ではなく、要するに線を引くっていうクリエーションなんですよ。

–––小林さんが考える「いい靴」の条件とは?
小林 出会った瞬間に心が躍る靴。それも見た瞬間に。それはどのブランドだろうか、どんな靴だろうが関係ない。でもどんな靴が心躍る靴なのかは説明できないですよね、根源的な話だから。見た瞬間に心が躍って衝動買いしてしまう靴がいい靴の第一番目の条件だと思います。あと、長い間履けること。履いていてストレスを感じずに自分にフィットする靴。それがスニーカーみたいに最初から気持ちよく履けるのか、登山靴みたいに時間が経つと自分だけのフィット感が手に入るのかっていう、その時間軸の違いはあると思うけど。だけど、見た瞬間にドキドキして心躍らなければ、そういう局面も迎えられないんですよね。

–––この新作は「いい靴」の条件に当てはまっていますか?
小林 足が包まれるものは従来の物でモック、今の物を設置するところは最新のウエーブプロフェシー。この組み立て方は自分が好きな形なので、齊藤くんが持ってこなくても、店頭で見た瞬間に「あっ」って言っていたと思います。

–––今後の齊藤さんが作る靴に関しては?
小林 齊藤くんにはワクワクドキドキさせてくれる靴を期待したいですね。毎回ヒット作を生むことが必要条件なんでしょうけど、いつも上手くいくわけではない。そこでストラッグル(葛藤)する姿を横で見ながら応援したいですね。
–––最新作はどこで購入できますか?

–––最新作はどこで購入できますか?
齊藤 ミズノから随時情報を発信していきますので、インスタグラムやホームページでご確認ください。このモデルをきっかけにミズノの他のスポーツスタイルにも触れていただき、フィロソフィーやテクノロジーに触れていただければ嬉しいです。

Mizuno Sportstyle
“WAVE PROPHECY MOC”

¥29,700

 

Mizuno Sportstyle
Products born from “Tradition and Innovation”
2023 Fall / Winter
Best Selection Part1

日本を代表するスポーツブランドのミズノらしい、懐の深さを感じさせるコレクションがこの秋登場する。テクニカルであり、どこかクラシック。それでいて未来的なアイテムが揃うラインナップはミズノスポーツスタイルならでは。今回は、特に編集部が注目した新作をピックアップしてお届けしよう。

WAVE PROPHECY β2
¥27,500

今季はグローバルで反響の大きかった共作モデルのデザインからインスパイアされた、初代ウエーブプロフェシーβのバージョン2がデビュー。本来のパフォーマンスランニングシューズのギア感を程よくライフスタイルにマッチする形に昇華させ、天然スエードや上質なレザー、テクニカルなロゴ表現など、プレミアムベーシックにふさわしい一足に仕上げている。

WAVE PROPHECY β2
¥27,500

WAVE PROPHECY LS
¥27,500

ミズノの技術を結集したランニングシューズ、ウエーブプロフェシーをベースに、パフォーマンスを追求した機能性はそのままにライフスタイル仕様にアレンジしたウエーブプロフェシー LS。2019年秋冬に即完した、トリプルブラックの再提案モデル。

 

CONCEPT PACK

淡くやわらかなカラートーンでまとめたコンセプトパック。アイスランドの高地とヨセミテ公園の渓谷から着想を得たカラーパターンを、ミズノスポーツスタイルを代表する3アイテムに落とし込んだ。天然スエードや上質なメッシュ材、アウトドアを想起させるラウンドレースをアッパーに施し、特徴的なマーブル仕様のミッドソールを掛け合わせるなどディテールにこだわったパックになっている。

WAVE PROPHECY LS(CONCEPT PACK)
¥27,500

WAVERIDER β(CONCEPT PACK)
¥20,350

WAVE MUJIN TL(CONCEPT PACK)
¥21,450

 

WAVE MUJIN TL GTX

WAVE MUJIN TL GTX

アッパーにゴアテックスを、アウトソールにミシュラン社製のラバーソールを使用したテッキーな一足。2000年代に未発売だったトレイルランニングシューズにインスパイアされたこちらのモデルは、従来よりもさらにギア感を強めるべくサイドのランバードロゴに立体感を持たせ、シンセティックレザーとリップストップメッシュのコンビがタフで洗練された印象を醸す。アーカイブデザインとモダンなパフォーマンスシューズの見事なハイブリットシューズが完成した。

WAVE MUJIN TL GTX
¥20,900

 

NIKKA POKKA PACK

日本の建設現場とそこで働く人々の姿勢から着想を得た「ニッカポッカ」パック。今回のパッケージでは、グローバルコレクションKAZOKUプロジェクト第1弾として生まれたエポックメイキングなウエーブライダー 1と、1995年に発売されたランニングシューズ、コンテンダーの2モデルを提案。アッパーはデニムやコーデュロイ、天然スエードの組み合わせでプレミアムに仕上げ、そこへ建設現場から着想を得たディテールを散りばめスタイリッシュにまとめ上げた。

WAVE RIDER 1(NIKKA POKKA PACK)
¥19,800

CONTENDER(NIKKA POKKA PACK)
¥15,400

 

MIZUNO MR1(Made in Japan)

1970~80年代のレトロランニングシューズからインスパイアされた、メイドインジャパンモデル。ただクラシックな見た目だけではなく、その洗練された美しいフォルムに軽さと履きやすさを兼備。フィット感にこだわり長年改良を続けてきた木型をベースに、国内の自社工場で一足ずつ大切に丹精込めて作られている。今季は定番のナイロンツイルアッパーに、過去に即完したネイビーマスタードを含む秋冬感漂う2色を追加。

MIZUNO MR1 (Made in Japan)
¥16,940

INFORMATION
ミズノお客様相談センター 
0120-320-799
jpn.mizuno.com/mizuno1906

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