Photo: Masataka Nakada (STUH)
Edit & Text : Shin Kawase
Cooperation: 3110NZ by LDH Kitchen

About HAJIME SORAYAMA × MIZUNO
Hajime Sorayama & Takeshi Saito (Mizuno Sports Style) Special Interview

昨年末、ミズノスポーツスタイルのスタッフから、空山 基氏との共作がようやく完成したと一報があった。空山氏といえば、セクシーロボットシリーズで世界的に知られ、ソニーのAIBO のデザインを手掛けたことでも有名な日本が世界に誇るアーティスト。果たしてどんなプロダクトになっているのか?空山氏を訪ねた。

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3110NZ by LDH Kitchen
Logo design by HAJIME SORAYAMA

インタビューの現場は、空山氏がロゴデザインを手掛けている「3110エヌゼット バイ エルディーエイチキッチン」。名店「鮨さいとう」と、現代美術ギャラリー“NANZUKA”(ナンヅカ)とのコラボレーションによるギャラリー併設鮨レストランだ。不思議な雰囲気の中、ミズノの齊藤健史氏を交え共作モデルについて取材した。

Hajime Sorayama
空山 基 (そらやま はじめ)

1947年、愛媛県生まれ。大学卒業後、美術を学ぶために中央美術学園に入学。卒業後、広告代理店に就職。1970年代初めにフリーランスのイラストレーターとして独立。驚異的な写実力を武器に、人体と機械の美を追求した作品を数々発表。エロティックかつメタリックな質感と造形で女性を描いた「セクシーロボット」シリーズが世界的に高く評価され、1999年にはソニーが開発したペットロボット「AIBO」のコンセプトデザインを担当。グッドデザイン賞グランプリ、メディア芸術祭グランプリを受賞。2001年には世界を代表するロックバンド、エアロスミスのアルバムジャケットを手掛けるなどアーティスト、クリエイターからの支持も高い。

Illustration by HAJIME SORAYAMA
AEROSMITH “JUST PUSH PLAY”(2001)

Takeshi Saito (Mizuno Sports Style)
齊藤 健史 (さいとう たけし)

ミズノ株式会社 グローバルフットウエアプロダクト本部・企画部ライフスタイル企画課
1980年、千葉県生まれ。中学・高校で陸上部に所属し、現役オリンピックコーチの指導のもとハードルで世界を目指すが、アスリートをサポートする側に回ってシューズを開発することを決意。大学、靴の専門学校を卒業後、ナイキジャパンに入社。10年在籍した後、2017年にミズノに入社。ランニングシューズを担当しながら、ニューレーベル“rhrn”(アールエイチアールエヌ)を立ち上げ、現在は、すべてのコラボレーションモデルを手掛けている。

©HAJIME SORAYAMA
MIZUNO LOGO(2020)

 

–––まずお二人が初めて出会ったのは?
齊藤 僕が一方的に空山さんのファンで、2003年に銀座で開催された個展や、NANZUKAギャラリーにも 6年位前から何度も個展を見に伺わせてもらっていました。その前も画集を見ていて。グラフィックデザインを真剣に勉強していた時期もあって、スプレーペイントの描き方をこれはこうやってんのかって、僕の教科書の様に画集で学んでいました。エアロスミスのアルバムジャケットとか、ソニーのAIBOもど真ん中でした。

–––いちファンからいつ接点を持つようになったのですか?
齊藤 2016年に開催された個展の最終日。一番遅い時間に妻と一緒に行ったら、空山さんのほうから声を掛けてくださったんです。

–––そうだったんですね、それはすごい
齊藤 いえ、正しくは僕じゃなくて妻の方になんですけど(笑)。でもそこはチャンスだと思って、ダメ元で「大変失礼なんですけど、2人で写真を撮っていただけますか?」って言ったら、「全然いいよ」って言ってくださって写真を撮ってもらいました。「じゃあ、ロボットの前でも撮る?」って、光栄でしたね。そんなご本人にお会いできるなんてことないと思っていたので。

–––その時の齊藤さんの印象はどうだったんでしょうか?
空山 まったく覚えてない(笑)。
一同 爆笑

–––5年位前だったら齊藤さんがまだナイキジャパンに在籍していた頃ですね
齊藤 はい。その当時、ナイキの社長だったマーク・パーカーさんが空山さんのファンだったのを僕は知っていました。社長は空山さんのフィギュアを何台か所有していて、しかも社長室にそのフィギュアあったので、マーク・パーカーさんも尊敬するぐらいすごい人なんだって思っていました。

–––空山さんはマーク・パーカーさんとお知り合いなんですよね?
空山 うん。あの人、日本のファンなのよ。だからアメリカから自家用ジェットで来て、オタクのやついっぱい買い込んで、ジェット機のスペースが満杯になったら帰る。それの繰り返し。今はもう偉くなったから来なくなったけど。日本に来るたんびに必ずうちのアトリエに寄ってって。そういう関係。

–––マーク・パーカーさんはフィギュアのコレクターとしても有名ですものね
空山 毎回来るたんびにナイキの色々な物をくれるんだけど、なんかくれるたんびに、マーク・パーカーにサインさせて。

–––マーク・パーカーさんは自分を主役にしたくないっていう理由でサインはしないはず?なんですけど
空山 そうらしいね(笑)。でも私そんなの知らねえから、なんかくれるたんびに、サインしろって、やってた思い出があるね。

–––そしたらナイキでコラボレーションするのが自然な流れかと
齊藤 私はナイキではそのような担当はしておらず、時期的にもナイキジャパンを退社して、ミズノに入っていたんです。でも空山さんには、僕なんかの個人的なことを言うのも…と思って、僕がナイキジャパンを辞めたっていうのをお伝えしていませんでした。

–––ミズノに転職して、空山さんにアプローチを?
齊藤 はい。僕がミズノに転職して何を求められるのか?と考えていた時に、2020年には東京でスポーツの大きな祭典もあるし、日本のブランドがあえて日本のレジェンドアーティストとコラボレーションすることが、ミズノとして格好いいことなんじゃないか、正しいことなんじゃないかと思ったんです。その時に真っ先に空山さんが浮かびました。でも空山さんには他ブランドから沢山オファーが来ていることが想像できたんですけど…。無理を承知で正式にオファーしてみようと、メールじゃなくて、あえてアナログの手紙を直接、空山さんのアトリエに送らせてもらったんです。今、ミズノにいて、まだ何ができるかも分からないですけど、もし可能であればお話だけでも聞いていただける機会はありませんかって。

–––手紙を受け取った時の印象は?
空山 わけ分かんない手紙って結構来るの(苦笑)。私は自分でマネージメントできないし、お金の計算もできないから、事務所であるNANZUKAオーナーの南塚にすべて任せてあるの。だから南塚に「以前ナイキジャパンにいて、今ミズノにいる人からこんな話来てるけど」って言って渡したの。そしたら「ダセーからやめろ」っつったんだ南塚が。こいつが言ったんだよ。

南塚 (同席していた南塚さんが答える)
ミズノがダサいからやめろなんて(冷汗)、絶対に言ってないですよ(苦笑)。すでに他ブランドとの繋がりとかも色々あるし、どうなんだろうと。でも、もしやるとしたら全部最初から0ベースでデザインできるんだったらいいけど、有物の型から、デザインでちょっと色を変えるとか、ロゴを入れるだけとかだったら、薄っぺらいしダサいからやめた方がいい、と言ったんです。そういった意味で表面的なコラボレーションはダサいっていうことは言いました。
空山 そしたら、ミズノだったら全部最初から0ベースでデザインできるって何回も彼が言ったんだよ。前だったら出来なかったけど、ミズノだったら出来ると。それで結局会うことになった。

–––それがどれ位前の話ですか?
空山 2年以上前かな。

–––齊藤さんに会ったら、一緒に写真を撮った男だとすぐに分かりましたか?
空山 でも実際に会って話してたら、ぼんやりしてたのが、あの子かみたいな感じで思い出してきたね。

–––数あるスポーツメーカーの中で、なぜミズノだったのでしょうか?決めた理由を教えてください
空山 出会った齊藤くんの縁だね。それを大事にすると、おいしいのも入ってくるし、面白くなくなったら蹴ればいいだけだし、ケツをまくるの得意だから。フリーランサーって武器がケツまくるしかないんですよ。取りあえずは伴走しながらっていうのを、この50年ずっとやってるから。

–––やはり今までスポーツメーカーから「空山さん、ぜひやりましょう!」みたいなことはあったんですか?
空山 よくコラボって言いながら、一部分ちょっとだけっていうことが多いじゃない。人気があったり、評判になったりしてる人をちょっとだけ使うじゃん。ああいうのってやっぱし担当者に情熱も愛情もないから、ロクなもんできないの。こういったのできる?と言っても通らないし。

–––そういった意味ではミズノの齊藤さんの対応は?
空山 良かったね。一番下っ端だったし。ただ彼のミズノの中の地位をちょっと心配しながら、無理難題を言ってたね(笑)。つらかっただろ?

齊藤 でも僕のやるべきことは、今あるミズノに染まるんじゃなくて、今ミズノが持ってない部分を僕がどうやったら足していけるかっていうことなので。自分がずっと尊敬している方と一緒にやれることは、とても幸せなことですし、この程度でいいやっていうのは、僕も絶対したくないです。それは、空山さんも同じ気持ちだからこそ、ミズノとやっていただけるっていうのを一番最初に聞いていたので、それをやり遂げることが僕の宿命だと思うので、今もそれは変わりません。

–––嬉しい反面、覚悟もしたっていう
齊藤 そうですね。あと、空山さんの往年のファンの方が沢山いるので、ファンの方から「なんか空山さんの名前を汚されたね」みたいなことは絶対にしてはいけない。ただ自分が好きなだけで一緒にやらせてもらった自己満足で終わらせてはならないし、空山さんの希望に対して「できない」っていうのは言いたくなかったんです。会社はOK出した以上は、何ができるかを考えなきゃいけない。でも、どうしてもその要望ができなそうっていう場合は、代替案を常に考えていました。

–––結構、無理難題を…
空山 僕は無理難題をあんまり言わないですよ。当然、最初から200パーセント、300パーセントの希望を振ったら絶対にできないじゃない。だから120パーセントのリクエストをいつもするんですよ。だからちょっとずつ努力させてって、気が付いたら、あーあー、こんなことまでしちゃったっていう。だから齊藤くんが帰る時に毎回「会社で死んでこい」って言うんだよね(笑)。

齊藤 その通りです。毎回、ミズノに帰って死んでこいと言われて、討ち死にしてこいっていう(笑)。それって本望じゃないですか。でも会社に帰ると上司が「可能な限りやっていいよ」って言ってくれたのはありがたかったですね。

–––今回のコラボレーションモデルのテーマを教えてください
空山 冠婚葬祭に履けるスニーカーが欲しかったの、自分が履く用の。本気の仕事はみんなそうじゃない? 自分が欲しいもの。で、世の中にないもの。デビット・ベッカムがパーティー時にディオールのジャケット着て足元はコンバースのスニーカー履いてて、それが格好良かったのよ。ドレスコードだと絶対に革靴なんだけど、クレームは付けられないオーラもあったし。それを見た時に、冠婚葬祭でもスニーカーが履ける時代がくるんだなって思った。実際に革靴を葬式に履いていくと足痛いしね。

–––コラボレーションモデルでこだわっている所を教えてください
空山 透明。存在感もない透明。ありとあらゆる部分を透明にしたかった。

–––コラボレーションモデルの特筆すべき点を教えてください
齊藤 アッパーを透明にしたことです。空山さん的に透明にこだわりたいと言われていたので。
空山 もっと透明な材料が欲しいんだけど、材料がないんだよね、まだ。開発されてないんだよ。

–––これがミズノとして用意できる一番透明なアッパー素材なんですね
齊藤 はい。アッパーもそうですけど、空山先生、最初はソールだったんですよね。ソールも全部透明にしたいと。フラッグシップモデルのプロフェシーがちょうど10代目になるので、そのタイミングで一から作り直したソールを使って、日本のレジェンドの空山さんとのコラボレーションモデルを世界に発信する。それが僕の最初にやりたかったことなので。

–––それで透明なソールを開発したんですね
齊藤 全部透明にして上から見ると地面が見えるというもの。横から見るとソールが見えなくて、少し宙に浮いて見える感じで、歩くとまるでスカイウォークしているような。空山さんがイメージするそのソールに行き着くまで、当時は大阪本社在籍だったので、毎月1度、大阪から東京の空山さんのアトリエにお邪魔させてもらいました。契約自体は年2回の打ち合わせだったんですけど、年2回で空山さんの意図を全部組めるわけではないですし、そのためだけに時間をいただくのはお手間だし、お忙しいのも分かっていたんですけど…。でも空山さんが「本気でやるんなら何度でもいい」と言ってくださって。何となくこうしてみました、もうこれ変えられませんっていうのは一番したくなかった。一番大切なのは空山さんがしっかり監修したデザインであること。じゃないと空山さんファンもお金を出したくないし、買いたくないなって僕も思うので、月に1回は最低でも行って少しずつ改良していきました。

–––そうだったんですね。試行錯誤を繰り返していよいよ最終段階へ
空山 最終段階で、つま先の詰まっている感じが嫌だっつって。そんでフェイクでもいいから、もうひとつ穴を空けるとつま先の先っぽまで動くっていうリズム感が出る。そういうファンタジーをデザインに入れてくれって頼んだ。

齊藤 最終的に5穴を6穴にしたいと。つま先のこういう所の穴を開けるような規格は厳しかったのですが5穴だとデザインがぼけっとしてしまって「これだとスピード感、感じないだろ」って言われて。後は構造体の部分は分からないから無理だったらしょうがない「ミズノに任せるよ」っておっしゃってくださった。構造体はミズノがやるんですけど、ファンの方も納得してもらえるように、ディテールのデザインは極限まで空山さんの意志を反映したいという思いで、最終的には6穴で何とか構造体もクリアして完成しました。結果的に6穴にすることでアウトソールの屈曲ラインも増えさらに屈曲しやすくなり、ソール全体の軽量化も図ることができました。

–––毎回、空山さんのリクエストを聞いてたら、ぶっちゃけお金がかかるんじゃないですか?
齊藤 はい。当然、お金はかかります(苦笑)。
空山 途中でクライアントが怒ったらこれは着地点。だから怒られるまでは、これで限界ですって。そこまで追い込みますから。でも死んで来いで一応送りだす(笑)。

–––技術的に一番大変だったこと。苦労した所を教えてください
齊藤 ソールに透明のプレートを入れるっていう所が一番大変でした。これで一応、形になったんですけど、さらに空山バージョンはかかとすらも透明にしたいと。でも、プロフェシーはランニングシューズなので、耐久性の審査基準に引っかかるから、かかと部分のフォーム材ってもう透明にしようがないんですよね。でもどうしてもソールは透明なんだっていうことで、ランニングバージョンとは違う、空山バージョンだけの金型を起こしました。

–––それはすごいですね
齊藤 それは壊れて怪我したり、事故があったりすると、空山さんに汚名を着させちゃうというか、ご迷惑かけてしまうことになるんで。それで透明になるように何度も開発チームと一緒に作りました。「おい、おい、おい、もう何度目だよ」って、開発チームから言われながら。妥協はいくらでもできると思うけど、僕は「ミズノとして新しい所に行くためのアプローチなんですよ。もしもう出来ないんだったら、会社としてできないと言う、納得できる理由をください」と掛け合って、結局、開発チームが今出来る限界までやってくれたんです。

空山 いや、そこは武士の情けで突っ込んでないのよ。そうか、しょうがないな、よくやったって。
齊藤 アッパーに関しては「人体とロボットの融合」というテーマだから、肌からメタリックにいくっていう所が難しかったですね。今まで透明のシューズって結構あったと思うんですけど、透明からメタリックにグラデーションがかかるっていうシューズは見たことない。空山さんの世界観を少しでも具現化するためには、透明からメタリックシルバーにグラデーションするっていう所がツルっとしてなきゃいけない。最低限それはしたいと思っていたので苦労しました。透明度を保つと耐久性が落ちて、素材も難しかった。

空山 透明でなおかつ、照かるって言ったら、ビニールだとかPVCだとかエナメル、メタル、いろいろあるけど、しょせんは今ある材料から選ばなきゃなんない。強度からいってエナメルなんか無理じゃん。そういう意味では難しいよね。

–––今回のコラボレーションモデルをどんな方に履いて欲しいですか?
齊藤 空山さんファンとスニーカーファンの方に気持ち的には、がんがん履いて欲しいっていう思いはあるんですけど…飾ってもめちゃくちゃいい。
空山 勝負スニーカーなんだよね。
齊藤 そうですね、できれば…自分でドヤ顔で履く1足と飾るものと2足買ってほしいです。今回はスニーカーの規格なんですけど、スニーカーを作っている気持ちはあまりありません。空山先生にもおっしゃっていただいたのは、アートピースを作るつもりだし、エポックメイキングで歴史に残るものを作りたい。だから、その完成度で答えてほしいって、言われたんです。情報が溢れて1週間後には違う話題に移り変わる時代の中で、最低でも10年は残るようなもの。ずっとその言葉が僕の一番のキーワードでした。

空山 クリエイターとして180キロの直球投げりゃ個性なのよ。でもそれは永遠、誰も越えられないの。僕はそれを目指しているんだけど、今の時代は変化球しか投げないクリエイターが多いね。デザインのためのデザインしかしてない。よそと違うことをするっていう発想がないんだろうね。それはクリエイターとして恥ずかしいことなんだけどね。僕はこのスニーカーを僕のコレクションにしようと思ってる。そういうつもりで作っているの、何でも。

–––でも一見、“SARAYAMA”のロゴとか入ってないですね
靴の内側しか入れてないの。ミズノは外側に入れろって言うんだけど、要らない。デザインで勝負できるんだから要らねーつって。だからかなり真剣なのよ。売ろうとする人たちはブランドを入れようとするけど、俺のブランドなんか俺にとってはゴミなのよ、ないほうがいいの。だから靴の内側に本当にこんな小っちゃくっていう、それは私のリクエスト。だって、俺の俺のって下品でしょう(笑)。

HAJIME SORAYAMA × MIZUNO
“WAVE PROPHECY SORAYAMA”

Size : 23.0cm – 29.0cm
¥35,000+tax

Dealers:
2G TOKYO, 2G OSAKA, DOVER STREET MARKET GINZA, KITH TOKYO, GR8,
MIZUNO TOKYO, MIZUNO OSAKA CHAYAMACHI

Release date:2/6(Sat)
※Pre-sale 1/30(Sat)2G TOKYO, 2G OSAKA

INFORMATION
MIZUNO
www.mizuno.jp/mizuno1906/
ミズノお客様相談センター
0120-320-799

 

About
MIZUNO×IMASEN “KATANAΣ”
by HAJIME SORAYAMA

–––空山さんと制作しているプロダクトがもうひとつあると聞きました。何を一緒に作られているのですか?
空山 アスリート用義足の板バネのデザインを一緒にやってる。格好いい義足をアスリートが履いたら能力が上がるのよ、デザインだけで。だから、格好良くしようと思った。格好いいっていうのは才能なのよ。俺なんかも絵、描く時にいろんな道具あるけど、いいデザインを選ぶ。ダセーデザインだとやる気なくなんの。それはアスリートの人たちだって同じだよ。だから、自分の好きなブランドだとか、格好いいブランド履こうとするじゃん。

–––勉強不足で恐縮ですが、ミズノはアスリート用義足の板バネに力を入れているんですか?
齊藤 カーボンのハードを見るとすごく進んでいますね。過去には競技用の自転車フレームや、グライダー、現在でもG-ショックのベルトとかもやっています。でも、アスリート用義足の板バネについては、本当に選手のためだけに作っているのが現状です。機能や技術としてはとてもすごいものの集結なので、さらに究極のギアとして昇華できないかと考えました。これは、他社にはできないけどミズノにはできる、その格好良さがあると信じていました。それを世の中にちゃんと伝えられていないのがもったいないとずっと思っていました。

–––それで空山さんと義足を作ることになったんですね
齊藤 スニーカーは足に履いて付けるものだし、義足も足に履いて付けるもの。そもそも両方とも同じフットウェアだと僕は思っていて、それを逆説的に誰とやったら一番親和性があるかってなったら空山さんしかいないと思ったんです。それで空山さんに頼んだらすぐにやってくれて…。

MIZUNO × IMASEN “KATANAΣ”

※日本パラ陸上競技選手権大会は2020年9月、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で開催された。ミズノと福祉機器メーカー、今仙技術研究所が共同開発したスポーツ用義足の板バネ“KATANAΣ”(カタナシグマ)は、これまでなかった新たな発想の下で生まれたカーボン製板バネと斬新なデザインで注目を集めた。

–––これもすべて齊藤さんとの縁ですね。齊藤さんから頼まれたからやられたんですよね
空山 いやいや。アスリート用義足の板バネって分野は大きなマーケットではないし、カーボンもめちゃめちゃ高いもんなのよ。その人用にしか作れないからペイしないし予算もない。だけど本気でやったらこうなるんだっていうのをやればこっち(スニーカー)の評価が変わるはずなんだよ。斜に見ている人たちでも。そういう意味では援護射撃の意味(ノーギャラ)でやったプロジェクトだね。

–––無償というのもすごいですね
空山 多分、お金の優先順位は4番目ぐらいだと思いますよ、私の人生で。生まれてからずっと。

–––そうなんですね、そしたら1番目は?
空山 1番目は、やっぱり自分の作品とか女性とか(笑)…でもやっぱしお金かな(爆笑)。それは冗談で、お金なんて最低食えるだけあればいいじゃない。金、金って金儲けばっかりで、拝金の奴隷になるのが一番みじめな生き方だよ。ここ最近はコロナのおかげでそういう人種が増えちゃって…。面白がるだとか、志だとかって言う人は、古い人間だとお思いでしょうが、そういうのが生き残るのよ。

–––そういう意味では齊藤さんは、志が高く情熱もあると思いますが
空山 そうね、それはすごく評価してますよ。でも齊藤くんはミズノに行って本当によかったと思うよ。それは一緒にやっていて感じる。ミズノはいい会社。だけど、いつも無理ばっかり言っているから、もし齊藤くんがクビになったらNANZUKAで雇ってくれってオーナーの南塚に頼んである(笑)。

齊藤 そうみたいですね(笑)。でも南塚さん、いざとなったら聞いてねーよって、ならなければいいんですけど(笑)。空山さんのことを僕は「先生」ってずっと呼んでるんですけど、最初の段階から「空山さん」とも「先生」とも言わなくていい、対等なんだからと。最初「空じい」と呼べって言われて。同じ土俵で上下は要らないって。リスペクトもなくて情熱もなければ「空じい」と呼べたと思うんですけど、そもそもいちファンだし、空山さんのお名前を借りて僕らがやってる以上は「空じい」と呼ぶことはできません。陰ではちょっとだけ言いましたけど(笑)。空山先生は、色々な言い方をされますけど、いつも根底には愛情があるから全部すんなり受け入れられるんです。
空山 愛情じゃなくて、作品に誇りを持ちたいのよね。全ての作品、仕事は一里塚にして、金字塔にしながら生きたいの。今描いてる絵も、これでもう俺、死んじゃってもいいっていう風にしたいの。だから気分転換することがない。本当に気分転換しようと思ったら、次の絵描くしかないの。だから、四六時中、それがいつもある。

–––話が逸れますが、空山さんがリスペクトするアーティストは誰ですか?
空山 過去の人なんだけど、ウォルト・ディズニー、レオナルド・ダヴィンチ、葛飾北斎。彼らに私のこと笑われるのが嫌なのよ。あわよくばディズニーに勝とうっていう。だから、ちょっと前もミッキーを描いたんだけど、ウォルト・ディズニーが生きていたら、こうしたいだろう、ああしたいだろうっていうイマジネーションを膨らましながら描いてる。

–––だったら妥協なんかできないですね
妥協なんて要らない。金儲けだけの人たちは妥協するだろうけど、志で妥協なんてあるわけないじゃんね。

INFORMATION
MIZUNO
www.mizuno.jp/mizuno1906/
ミズノお客様相談センター
0120-320-799

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