2020 | 05.11 | Mon | 08:18

FINE VULCANIZED by MOONSTAR STAFF INTERVIEW by SHOES MASTER

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ムーンスターといえば、
本誌前号(2019年9月30日発売)で掲載した
エイトテンス、ファインヴァルカナイズ等の
商品企画マネージャー、宝蔵寺氏に
インタビューしたことを思い出す。
今、読み返してもお世辞でなく、
確固としたこだわりはすごい。
この機会にインタビュー記事を改めて紹介する。

 

via
SHOES MASTER Vol.32
242-245_page
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FINE VULCANIZED by MOONSTAR
Photo: Masataka Nakada(STUH)
 
 
150周年に向け、
新たに歩みはじめた老舗ブランドの展望
 
 
145年の歴史を持つ老舗ブランド、ムーンスター。中でも“FINE VULCANIZED”(ファインヴァルカナイズ)は、すべて九州の久留米工場で企画生産され、世界的なファッションブランド、フェンディとコラボレーションするなど、グローバルに注目を集めている。本誌初登場となるファインヴァルカナイズをもっと知るため、九州で生まれ育った商品企画マネージャーを訪ねた。

 

About FINE VULCANIZED
Makoto Hozoji (MOONSTAR) INTERVIEW
宝蔵寺 誠/ 株式会社ムーンスター

 

――ムーンスターを代表するライン、ファインヴァルカナイズのコンセ プトを教えてください
140周年がきっかけで150周年を見据えたときに、ブランドとして自分達に何ができるのか?と改めて考えたんです。そうすると強みはやっぱり、自社工場があって熟練した職人がいること。自社ですべて作りあげることができる経験値と技術があること。それを担保にしたファクトリーブランドであることがコアバリューになると思ったんです。代表的なアイテムであるファインヴァルカナイズは、国内でもごく僅かの工場でしか生産出来ない、ヴァルカナイズ製法の良さを表現したシリーズになります。

 

――ファインヴァルカナイズが一番大切にしていることは何ですか?
ムーンスターだからこそ作れる、モノづくりというか。背景として、ムーンスターであることが選ぶ理由になるプロダクトを生み出すこと。もし世の中に似たような靴があったとしても、その背景がムーンスターだと説得力があるという靴を作ること、ですかね。なのでいつも「ムーンスターがすべきことなのか?やる意味があるのか?」っていうのを考えている感じです。あとは、プロダクトとしての佇まいが欲しいなって。言いかえると、靴が主役になるんじゃなくて、履いてくれる人のワードローブとか、生活にすっと馴染むような靴で、ちょっと一歩引いたような感じというか。 でも、靴としてはしっかり作り込まれている。それがすごく大事なことだと思っています。これムーンスターですっていうような、大きなロゴマークを付けるとか、そういうことではないです。

 

――ファインヴァルカナイズをどんな人に履いて欲しいと思いますか?
洋服に限らず、身の回りにあるものを丁寧に選んで買うような方で、ライフスタイルのすべてにおいて軸がある人ですね。なので、「これはムーンスターだから履きたい」っていうようなストーリー性のあるものを作っていきたいんです。それが、「ムーンスターじゃないと」っていう部分につながっていくと思うので。

 

――フェンディの件が話題になっていますが、コラボレーションする基準は何なのでしょうか?
ありがたいことにコラボレーションのお話はたくさん頂きます。それはそれで素敵な話ではあるんですけど、基本的には先方のブランドとの親和性が一番重要になってきますね。親和性のかみ合いがなけれ ば、すごく勢いのあるブランドだとしても、お断りすることもあります。先方と一緒にモノづくりをすることで、伝えたいことが表現できるのであればやりますが、成立しないんだったら、お互いにとってプラスではないので。

 

――フェンディとコラボレーションした経緯と理由を教えてください
理由は新しいチャレンジができると思ったからです。フェンディの2020年春夏メンズコレクションのコンセプトが「戸外」で、シルヴィア・ フェンディさん自身が「自分たちのルックの雰囲気とムーンスターの ヴァルカナイズの靴が合っている」ということで、フェンディのスタッフの方からオファーを頂いたんです。コラボレーションを進める上では、お互いのブランドの親和性に加えてプロダクトでの表現について何度も コミュニケーションを重ねました。基本的には、ムーンスターのプロダクトを認めてくれていて、ムーンスターの商品にフェンディの特徴的な素材や柄を使い、こちらが提案する内容をアジャストするというか、お互いに歩み寄って詰めていった感じでした。我々に対するフェンディ側の信頼が揺るぎなかったので、いい関係性で進めることができました。

 

――今後、ファインヴァルカナイズをどのように展開していく予定ですか?
国内でのファインヴァルカナイズは、既存の取り扱い店との関係を大切にして長くお付き合いしていきたいと考えているので急激に拡げる考えはなくて…。スポーツブランドをメインにしたスニーカーショップさ んには置いてもらっていないので、シューズマスターの読者の方にはあまり馴染がないかもしれません。ファインヴァルカナイズはスポーツブ ランドではないですし、スポーツやアスリートが背景じゃないので…。生活している人たちの暮らしに馴染んで、所有して使う心地良さを追求することを背景に生まれたライフスタイルシューズなので。だから生活に根差した人、地域、文化のつながりの中で生きるブランドであり、好き嫌いのある人々から価値を共有してもらえるブランド、意志を持って選ばれるブランドになりたいと思っています。今後の展開としては、欧米を中心に海外のマーケットを拡げていきた いと思っています。今も、パリ、ロンドン、ミラノで、販売をしていただけるお店が何軒かできまして。パリのMAN、フィレンツェのPitti UOMOにも出展させてもらっていて、アメリカでもニューヨークのNY NOW等の合同展をきっかけに徐々に広げている状況なんです。ぜひ、応援してください(笑)。

 

宝蔵寺 誠(ほうぞうじ まこと)/株式会社ムーンスター
福岡生まれ。福岡の大学を卒業後、1999年に新卒で株式会社ムーンスターに入社。入社当初は販売企画で販促を担当。2004年に東京本社に異動し、ケー・スイス、ハイテッ クなどのスポーツブランドのマーケティングを担当。2008年、ケー・スイスのマーチャンダイザーを担当し、2011年からムーンスター140周年プロジェクトに加わり、現在ファインヴァルカナイズ等の商品企画マネージャーを務めている。
 
 

FINE VULCANIZED by MOONSTAR
ALWEATHER ¥14,000+tax
 
 
About MOONSTAR
1873年に創業した、福岡県久留米市の老舗シューズメー カー、ムーンスター。140年以上の長い歴史の中、精品主義を受け継ぐ伝統と数少ない国内でのヴァルカナイズ製法にこだわる。しなやかで丈夫な仕上がりと美しい風合いの最 高の品質を目指し、現在でも久留米に置く自社工場内での熟練した職人による、昔ながらの靴作りを守り続けている。

 
INFORMATION |
株式会社ムーンスター
カスタマーセンター 0800-800-1792
https://moonstar-manufacturing.jp/

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